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3181号 2022年11月6日

今週の一冊『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』

(本日のお話 3877字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、大学院の
「キャリアとリーダーシップ論」の授業。

午後からは、大学院の同期の仲間と
論文のフィードバック会への参加でした。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、お勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は、

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『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』

伊達 洋駆 (著) すばる舎


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です。

■書籍の帯には
このような記載が書かれています。

「組織行動論のエビデンスに基づく
再現性の高い施策のヒント」

とのこと。

そう、こちらの著書の
とても魅力的なポイントは、

”組織行動論”の研究結果

を元に書かれている点です。

■個人的な感想で恐縮ですが

私も特に大学院に入ってから
様々な理論を知りました。

現状の課題を説明するために
役に立ったと思うものを並べて見ても、
実にたくさんの種類があるな、と思っております。

たとえば、思いつくままに
羅列してみるとこんな感じでしょうか。

***

<採用と定着に関するもの>
・組織社会化
・リアリティショック
・リアリスティックジョブプレビュー

<人材育成に関するもの>
・研修転移・評価
・学習理論(経験学習、リフレクション)
・組織学習(シングルループ、ダブルループ)
・OJT

<組織の成果指標に関するもの>
・組織コミットメント
・ワークエンゲージント
・職務満足度
・モチベーション(外発的/内発的)
・ウェルビーイング
・知覚された組織支援(Perceived Organizational Support)

<職場環境に関するもの>
・組織文化
・組織的公正
・職務設計理論

<マネジメントに関するもの>
・リーダーシップ理論
(変革型リーダーシップ、交換型リーダーシップ他)
・フィードバック
・コーチング
・目標管理制度
・上司と部下の交換関係(LMX)

<個人に関するもの>
・自己認識
・心理的資本(HERO/希望、効力感、レジリエンス、楽観性)
・学習目標指向性
・キャリア理論
・ジョブ・クラフティング

***

などなど。

■上記は、ごくごく一部。

網羅的に書き出したら
もっともっと膨大な数になるかと思います。

ちなみに個人に関わるもの、
マネジメントに関わるものなどは
明確に分けることもできないものもあります。

ただ、こうした理論を知ることは
実に有益だと感じます。

■立教大学大学院
リーダーシップ開発コースの授業で、

「理論を学ぶことがなぜ役立つのか?」

という問いについて、
先生がこのように語られていたのが
印象に残っております。

***
<理論を学ぶ4つの効用>

1,結果をある程度、”予測”できる
2,ある事実を、”説明・解釈する”手がかりが得られる
3、ある現象を、”整理すること”ができる
4,仮説を生み出す、”母体になる”ことができる
***

とのこと。

■理論を活用することで
シャバ(現場)において

「こうすれば、こうなる」という
研修などの施策の「予測」もたてられやすくなります。

それ以前に、たとえば、今起こっている
”従業員のモチベーションが低い”みたいな事実があったとすると
その事実を、理論から「説明・解釈」できます。

加えて、モチベーションの低下という現象を
引き起こしている構造を「整理する」ことも可能になります。

そして、どこに何をすれば良くなるのかなど
対処法についても「仮説を生み出す」きっかけにもなります。

■つまり、

「理論とは実践に役立つもの」

なのです。
論文検索サイト「Google Scholar」の
検索窓のすぐ下には

”Stand on the shoulders of giants”
(=巨人たちの肩に乗れ)

と書かれていますが、
理論には大いなる力があると感じます。

■一方、理論を知っていれば
即使えるかというとそうでもない。

一つの現象を取り上げても
様々な理論が絡み合います。

どの理論を
どのように組み合わせて考え
活用するのかを整理する必要がありますし、

そのためには、理論についても
実践の課題についても、俯瞰して見るための
学術的に幅広い知見、実践における経験が必要になります。

■そんな中で今回ご紹介させて頂いている書籍は

学術界から産業界へと
キャリアを積み重ねた方によって書かれており、

ゆえに、職場における
人と組織の課題について網羅し
理論と実践を可能にされた書籍だと私は感じました。

特徴として、

1,「現場の課題」を、理論を元に説明されている
2,「課題に関する対処法」も理論ベースに提案されている
3,解決策に関する「副作用」も丁寧に記述されている

という点が、
実にわかりやすく、有用で
素晴らしいと感じました。

■以下、書籍のご紹介です

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

本書では、人や組織をめぐる44項目の課題を取り上げ、
会社における人の心理や行動を探求する「組織行動論」の研究知見をもとに、
対策を解説しました。
実務に有益なエビデンスがひととおり揃う一冊です。

<本書の内容>

目次
Part 1 採用にまつわる処方箋
01 求職者の応募を増やしたい
02 オンライン面接で志望度を高めたい
03 候補者の適性を評価したい
04 リファラル採用を推進したい

Part 2 マネジャーにまつわる処方箋
05 マネジャーの部下育成力を高めたい
06 マネジャーの部下サポート力を高めたい
07 上司と部下の関係性を改善したい
08 次世代リーダーを育成したい

Part 3 評価と上司部下コミュニケーションにまつわる処方箋
09 評価に対する不満を解消したい
10 多面評価を機能させたい
11 面談で上手くフィードバックしたい
12 本音を言える雰囲気を醸成したい
13 職場のコンフリクトに対処したい

Part 4 育成と自律性にまつわる処方箋
14 新人を早期戦力化したい
15 教育研修の効果を定着させたい
16 自ら成長を求めてほしい
17 従業員の行動を変えたい
18 従業員のやる気を高めたい
19 従業員の自発性を高めたい
20 キャリア自律を促したい
21 キャリアの停滞を打破したい
22 将来への期待や意欲を高めたい

Part 5 組織・文化・人事制度にまつわる処方箋
23 ダイバーシティを推進したい
24 適材適所の配置を実現したい
25 会社への帰属意識を醸成したい
26 経営理念を浸透させていきたい
27 失敗から学べる会社を作りたい
28 よりよい組織文化を作りたい
29 職場のチームワークを高めたい
30 目標管理制度を機能させたい
31 制度を現場で用いてほしい

Part 6 仕事と組織にまつわる処方箋
32 イノベーション創出力を高めたい
33 従業員の仕事内容を明確にしたい
34 仕事のエンゲージメントを高めたい

Part 7 労働環境や働き方にまつわる処方箋
35 新しい技術の導入を進めたい
36 従業員の満足度を高めたい
37 テレワークをうまく運用したい
38 働きやすいオフィスにしたい
39 会社を健全な状態に保ちたい
40 従業員に幸福に働いてほしい
41 仕事の改善を進めたい
42 ワークライフバランスを推進したい
43 働く上でのストレスを軽減させたい
44 従業員の定着を促したい

<出版社からのコメント>

■皆さんは会社の中で、次のような状況に陥ったことはありませんか。

・上司と部下の関係をよりよいものにしたいが、どうすればよいかわからない
・次世代リーダーを育成していきたいが、何から手をつけるべきか見当もつかない
・人事評価に不満を持つ人が多いが、どのような対策が有効か不明である
・本音を言える雰囲気を作りたいものの、具体的な取り組みは何もできていない …など

外からうまくいっているように見える会社でも、実際はさまざまな課題を抱えています。
一方で、それらの課題にどう対処すればよいかを調べ始めると、さまざまな情報が大量に出てきます。
どれが適切かよくわかりません。

人や組織の課題について、その原因と対策を考えるための良質な「エビデンス」を提供したい。
それが本書の狙いです。

本書において特に紹介するのは、「組織行動論」の研究知見です。
組織行動論とは、会社の中の従業員の心理や行動について探求する経営学の一領域です
(近年は、他領域との境界が曖昧になっていて、本書でも産業組織心理学や組織論などの知見も部分的に参照しています)。

組織行動論の研究知見をもとに解説する課題は、全部で44項目です。
人や職場をめぐる課題を、できる限り幅広く抽出しようと努めました。
新任のマネジャーや人事担当者にとっては、課題一覧を眺めるだけでも学びがあるかもしれません。

抽出した44項目の課題を読み解く研究知見を取り上げ、原因と対策を説明しています。

それだけではありません。
本書の重要な特徴として、「副作用」にも言及している点が挙げられます。

薬に主作用と副作用があるのと同じように、
人や組織の課題への対策には、主作用があれば副作用もあります。
副作用とは、本来の目的とは異なる、望ましくない働きを意味します。
本書が副作用に一定の紙幅を割いているのは、副作用に関する情報が市場でほとんど出回っていないからです。

副作用のない薬はありません。
対策が新たな課題を生み出す恐れもあります。
会社をよくしようとしての働きかけが状況を悪化させるとすれば、残念なことです。
そうした事態を避けるためにも、副作用を知った上で、適切な場面と方法を考慮して対策を講じなければなりません。

本書の知見を社内外のメンバーで共有し、具体的な施策に落とすためのディスカッションのきっかけにしてください。
(本書まえがきより)

※Amazon本の紹介より引用
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

■この目次を見るだけでも勉強になります。

またそれぞれの理論について、
引用論文も豊富に紹介されているので
参照することでさらなる知見を得ることも可能です。

これの引用論文を1年かけて読み進めたとしたら、
ものすごい知識量になるだろうなと感じました。

そして、私もちょっとずつ読み進めたい、と思いました。

人・組織の課題に関わる方には
特におすすめの一冊でございます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<今週の一冊>

『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』

伊達 洋駆 (著). すばる舎


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