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2730号 2021年8月12日

「リーダーシップを開発する」ための6つの実践方法(その4)~ジョブアサインメント~

(本日のお話 2853字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は打ち合わせ3件。
また、研修企画の作成。
並びに企画書作成などでした。



さて、本日のお話です。

引き続き、

『LEADERSHIP DEVELOPMENT:A REVIEW IN CONTEXT』
(リーダーシップ開発:文脈の中での見直し)
デイビッド・V・デイ

の論文から、学びと気づきを
ご共有させていただければと思います。

(2回で終わる予定だったのに
気づいたらずっとこの論文から
離れられなくなっております・・・汗)

、、、がそれくらい学びが深い、ということで、
早速まいりたいと思います!

タイトルは、

【「リーダーシップを開発する」ための6つの実践方法(その4)~ジョブアサインメント~】

それでは、どうぞ。

■「リーダーシップを開発する
一般的な、でも有望な実践方法があるよ」

と、ペンシルバニア大学の
デイビッド・V・デイは、
以下の6つを述べていました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【リーダーシップを開発する有望な実践方法】

1)360度フィードバック

2)コーチング

3)メンタリング

4)ネットワーキング

5)ジョブ・アサインメント(仕事の割り当て)

6)アクション・ラーニング

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そして、昨日まで

1)~4)をご紹介してまいりました。

※過去バックナンバーはこちら↓↓
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/3931815/

、、、ということで、
今日は続きまして、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5)ジョブ・アサインメント(仕事の割り当て)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

のお話をご紹介できればと思います。

■いきなり質問ですが、

Q,これまでのキャリアを振り返ったとき、
「自分が成長した」と感じた瞬間は
どんなときでしょうか?

、、、こう問われたら、

皆様は、どのように
お答えになられますでしょうか?

、、、

おそらく様々な回答が出るかと思いますが、

「自分にとってチャレンジングな仕事に向き合ったとき」
(昇進、昇格、異動、転職などで役割が変わったとき)

と答えられる方、
いらっしゃるのではないかと思います。

■リーダーシップの分野で有名な、
神戸大学教授の金井壽宏氏は

『リーダーシップ開発には
”一皮むけた経験”が重要である』

と言いました。

まさに、人を成長させるのは、
一皮むける、つまり、

「自分をストレッチさせる経験」であること、
それは一つの事実かと思います。

そして、そのストレッチされる経験の
きっかけとなるものが、

”ジョブ・アサインメント(仕事の割り当て)”

です。

■ちなみに、

ジョブ・アサインメント(仕事の割り当て)

の特徴は以下のように
説明されています。

・概要:仕事の役割やスキル、社会化の域面で
”ストレッチ”させる仕事を提供すること

・効果:より広い範囲でのビジネスの理解
スキルの開発がされる

・強み:仕事に関連した学びを加速させる

とのこと。

確かに、仕事の役割で

「新人育成担当」でも「メンター」でも
「リーダー」でも「マネジャー」でも、
「部長」でも「社長」でも、

”新しい役割”を与えられると、
これまでの延長線上ではない能力を
発揮することが求められます。

その時はめちゃくちゃ大変で、
乗り切ることしか考えられない!

という状況だったとしても、
振り返ってみると、

そのタフな経験が
自分を成長させてくれた、

ということは往々にしてあるものです。

(まあ、大変なんですけどね汗)

■ご紹介の論文でも、

リーダーシップ開発の文脈において、
仕事の割り当てについて、
このように語られています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
”仕事の割り当ては、マネージャーにとって、
チームの構築、より優れた戦略的思考者になる方法、

貴重な説得力と影響力のスキルを得る方法を学ぶ上で、
特に役立つものとして認識されている”

(McCall, Lombardo, & Morrison, 1988)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

まあ、そりゃそうだ、
ということですが、

いずれにせよ、

”「仕事の割り当て」はとても大事”

なわけです。

■、、、といいつつ一方、

”とはいえ、
ジョブアサインメントにおいて
注意すべきこともある”

とも言われています。

以下、その理由について
論文から引用します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
失敗を発展的にとらえる上級管理職は
非常に少ない。

苦難から学ぶことは、
挑戦や変化に直面したときの個人の回復力を高め、

長期的にはパフォーマンスを
向上させることができるにもかかわらず、

組織のトップレベルには、能力開発への関心よりも、
最大のパフォーマンスを追求する人々が
多く存在していることの方が圧倒的に多い。

(Hollenbeck & McCall, 1999)。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とのこと。

つまり、

『仕事の割り当ては能力開発に有効。

わかっちゃいるけど、
そのような長期的な”能力開発の効果”を考えずに、

短期的な視点で、
成果を出せそうな人に仕事を割り当てるがちだよね』

ということですね。

■確かに、成果は大事です。

ゆえに、

長期的な「能力開発」の視点と
短期的な「最大のパフォーマンス」の視点。

これを比べたときに
つい短期目線になるのは、
致し方ないことかもしれません。

でも、それって

長期継続的に見たときに、
組織全体を考えたとき本当にいいのだろうか?

と、問われているようにも感じます

■「ストレッチングな仕事」というのは、

私たちを成長させてくれる、
実に”貴重なチャンス”なわけです。

そして、それらのものが
ゴロゴロ転がっているかというと、

今の時代、意外と
そうでもないのです。。

低成長な時代。
新たな仕事もポジションも
増えづらくなっている。

とすると、その中では、

「ストレッチングな仕事」というのは、

『貴重で希少な、
選ばれし者のみが得られる”経験資源”』

とも呼べるものである。

組織は「経験資源を配分すべき」という話を
先日大学院の授業で聞きましたが
まさにそのとおり。

我々は、

”ストレッチングな仕事経験がもたらす価値”

を仕事を与えるほうも、
そして受けるほうも、

もっともっと認識することが
大事なのだろうな、と思います。

■その他、
ジョブアサインメントに関連して、

仕事の横移動(ジョブローテーション)についても、
こんな研究結果が出ています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
”ジョブローテーションによって
どのようなスキルが得られるかという質問に対して、

1位:ビジネスに対する幅広い視野(回答者の46%)
2位:適応性と柔軟性(31%)、
3位:リーダーシップスキル(19%)

であることが明らかになった”
(Campion, Cheraskin, & Stevens, 1994)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とのこと。

抽象度を上げると、

「新しい経験」は自分の成長につながる

ということは、仕事の割り当てと
同じことなのでしょうね。

■ということで、

「ストレッチした仕事経験」

は私たちの能力開発に役立つ、

このことをしかと認識し、

・昇進・昇格
・新しいプロジェクトの参加
・他の部署への異動

などを積極的に活用して
自分と組織を育てていきたい、

そんなことを思った次第です。

私も自分で会社をやっているので、
攻め続けて、自分で経験資源を
どんどん取りに行かないとな、

と思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

運命とは偶然の問題ではなく、選択の問題である。
それは、待つものではなく、自分の手で獲得するものである。

ウィリアム・ジェニングス・ブライアン(米国の政治家/1860-1925)

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