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『なぜ部下とうまくいかないのか ~「自他変革」の発達心理学~』

今週の一冊『なぜ部下とうまくいかないのか 〜「自他変革」の発達心理学〜』

2446号 2020年11月1日

(本日のお話 1716字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、

朝8時から16時すぎまで
ストレングス・ファインダーのワークショップ実施、

その後、夕方17時30分からは、
某企業の社内有志の勉強会の
ゲストスピーカーとしてお話させていただきました。

また、そのまま懇親会へ参加。

濃厚で充実した1日でございました。

(ご参加頂いた皆様、
改めてありがとうございました!)





さて、本日のお話です。

毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する、
今週の一冊のコーナー。


今週の一冊は、

=========================

『なぜ部下とうまくいかないのか 〜「自他変革」の発達心理学〜』

著:加藤洋平


=========================
です。



■今週の一冊。

『成人発達理論』

という理論について
書かれた本です。


実は「成人発達理論」については、
累計3冊目のご紹介です。

あまりにも面白いので、
個人的にハマりまくっております。


そして、この考え方は
ぜひ多くの社会で活躍する大人の皆様に、
知っていただきたい!

そんな思いで本日も

『なぜ部下とうまくいかないのか 「〜自他変革」の発達心理学〜』

をご紹介させていただきたいと思います。


※ちなみに、これまでの『成人発達理論』に関する
バックナンバーはこちらです。
お時間があれば、ぜひ!

↓↓

今週の一冊『リーダーシップに出会う瞬間 成人発達理論による自己成長のプロセス』
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/9448/

今週の一冊『成人発達理論による能力の成長 -ダイナミックスキル理論の実践的活用法-』
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/9453/





■ちなみに、
「成人発達理論」とは、

読んで字のごとく、


「大人は、どうやって成長していくのか?」


について考察された理論です。


ハーバード大学育大学院教授
ロバート・キーガン氏が提唱し、

欧米では知られている一方、
日本ではまだまだ知られていない理論です。



■元来の発達心理学では、

「子供のうちは成長するけど、
大人になったら成長しない」

これが通説でしたが、
実際はそうではなく、大人も成長するのだ、

としているのです。


そして、

「大人がいかに成長するかのステップ」を

ざっくりお伝えすると、
以下の通りとなります。

(※発達段階1は大人になる前の子供なので、
一部割愛しています)


このフレームを当てはめるだけでも
自分にとっての視点の広がりになるかと思います。



<成人発達理論 まとめ>


◯「利己的段階」(発達段階2/成人の約10%)

(考え方)
・自分だけ良ければよい
・周りは自分の欲求を満たす道具である

から始まり、


◯「他者依存段階」(発達段階3/成人の約70%)

(考え方)
・組織や集団に従属。他者の意見に従う
・会社のルールはこうだから。上司がこう言ったから
・自分の意思決定基準を明確に持っていない


へと続き、


◯「自己主導段階」(発達段階4/成人の約20%)

(考え方)
・自分なりの価値観や意思決定基準を設けている
・自律的に行動をできる
・自己成長に強い関心がある


へと至ります。



更に行くと

「自己変容・相互発達段階」として、
(発達段階5/成人の1%未満)

・自分の価値観に囚われることなく、
多様な価値観・意見などを汲み取り意思決定する

・自らの成長に強い関心を示さず、
他者の成長に意識のベクトルが向く



、、、となっていきます。



■ちなみに、発達段階が上の法が、
良さげな感じがしますが、

実際、そのレベルでなければ
できないこともあるので、

(例えば、利己的段階で飽くなき欲求と
エネルギーを持つからこそ
成し遂げられることがある、など)

一概に「発達段階が上のほうがいい」とも言えず、
一つのプロセスにしか過ぎません。



ただ、いずれにしても、
上の段階に登っていくことで、

・人間としての器の成長
・他者への認知の幅が広がる

など繋がるため、

”大人として成熟していくプロセス”

とも言えますし、

チームワークを発揮して
他者と自分を相互に影響を与え合う
一つの存在としてみなし、

より成果を出していくことに
繋がっていくとも言えるでしょう。



■そして、今回の

『なぜ部下とうまくいかないのか 〜「自他変革」の発達心理学〜』

の本。


この本では、小説仕立てで、

・大手製造業勤務
・45歳課長(妻と2人の子供)
・サラリーマン

の山口光という架空の人物が
主人公となり、

とあるバーで、
「成人発達理論」を教えているコーチ:室積氏と
出会うところから始まります。


(このバーで出会う系の設定、
成長系の本では実に多いのですが(笑)
やっぱり、わかりやすくて面白いです)



■そして何気ない会話から、
相談が始まるのです。


「チームワークが苦手で、
自分勝手な部下がいるのだが、
どう関わったらよいのだろうか?」

とか

「優秀だか、”指示待ち人間”の部下いるが、
どのように育てればよいのだろうか?」

とか

「自分独自の考えを持っているが、
個性が強すぎて他者の意見を無視する部下は、
どう育てればいいか?」


などを、コーチングしていくのです。


ちなみに上記の部下とは、
上から

・発達段階2/利己的段階の部下

・発達段階3/他者依存段階の部下

・発達段階4/自己主導段階の部下

です。



■その中で答えとして、

「”問い”により考えさせることが
上司の役割である」

とか、

「ピアジェ効果。
無理やり成長をさせることはできない。
本人のステップを大事にすること」

とか、

「自分自身の発達段階を高めなければ、
知識・スキル以上のことを教えることはできない」

そして、


『自らの頭の中を”言語化”する訓練がなければ成長はない』


など、多くの気づきを経て、
主人公の山口光の航路が
大きく変わっていきます。



■そしてその軌跡が、


「仕事と人と対話を通じて
”人として成長していく”」


という疑似体験をしていく…

そんな構成で、
興味深く読めます。


しかも、
文体もあまり堅苦しくなく、
かつ本もさほど厚くなく、

2〜3時間くらいで
さらりと読めるのもよいです。



■ぜひ、

「部下をいかに育てるのか?」

について、知識やスキルではない
本質的なところから向き合いたい方は、
参考になることが多いはず。



また、部下を育てるためには、

「結局、自らが成長するしかない」

ということを、明確に
突きつけられる本でもあります。


最後にその一節を、
ご紹介したいと思います。


(本文より引用)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

<コーチングと自己成長>


エグゼクティブ・コーチングの効果について
研究をしているオットー・ラスキー博士が、
発達理論の観点から興味深い調査結果を報告しています。

ラスキー博士は、エグゼクティブを対象に、
1年間のコーチングを提供し、

エグゼクティブの意識段階の発達に与える効果について
調査をしました。


この結果明らかになったのは、

”エグゼクティブよりも意識段階の低いコーチは、
1年間のコーチングを提供しても、
エグゼクティブの意識段階の成長に一切寄与しなかった”

ということです。

逆に

”エグゼクティブよりも意識段階の高いコーチは、
1年間のコーチング通じて、エグゼクティブたちの
意識段階の成長を促すことができた”

ということです。


※引用 『なぜ部下とうまくいかないのか 〜「自他変革」の発達心理学〜』 より

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(ここまで)


部下の成長を願うなら、

あるいは誰かを育てる、
教える立場にある人は
クライアントの成長のためも、


1)圧倒的に学び、知識をつける

2)自らの考え・心象風景を言語化する訓練をする

3)意識段階を引き上げていくプロセスを歩み続ける


ことが必須だと言えるでしょう。



人を育て、気づきを与えるためには
自分自身が変わり続けること。

そのことを忘れないようにしたい。
自戒を込めて、そんなことを思った一冊でした。

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<今週の一冊>

『なぜ部下とうまくいかないのか 〜「自他変革」の発達心理学〜』
(著:加藤洋平)



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