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3531号 2023年10月25日

25の論文レビューでわかった!(その3) 「職場における強み開発」の介入における5ステップ

(本日のお話 2456字/読了時間3分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は1件のアポイント。
その他、研修プログラムの開発など。

また夜は、コーチ仲間でもある方の、
YouTube動画にゲスト出演させていただきました。

”FacebookライブとZOOMが接続できる”
 
ということも初めて知りまして、
大変刺激的な時間でございました。

こういうこと自分ももっとやっていきたいな、
と感じたこの頃です。

(最近引きこもりがちなので、
 外に出たいと思います)



さて、本日のお話です。

今日も「強み」のお話を、
お届けしたいと思います。

先日は、

”「職場における強み開発」の介入方法を一挙にご紹介”
 
ということでご紹介いたしましたが、
これらの介入方法をまとめると、
結局どのような「統合モデル」になるのか?

というお話です。


ということで、早速まいりましょう!

タイトルは



【25の論文レビューでわかった!(その3)
 「職場における強み開発」の介入における5ステップ】



それでは、どうぞ。



■先日よりご紹介させていただいている論文、


『職場における強みの活用:文献レビュー』
Miglianico, Marine, Philippe Dubreuil, Paule Miquelon, Arnold B. Bakker, and Charles Martin-Krumm.(2020).
“Strength Use in the Workplace: A Literature Review.”


では、

「組織における強みの活用」について、
全598の論文の中から25の論文を選出し、
その内容をまとめています。

(ほんとにありがたい論文!)


■その結果、わかったこと。

まず、大きい傾向として

”強みの活用と開発は
 仕事のパフォーマンスと職務満足度と正の相関がある”
 
ことがわかりました。

そして、

”組織における強み開発の介入方法にも
 いくつかの手段がある”

ということもわかりました。

※詳しくはこちら↓↓
 https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4627464/


■さらに、

複数の論文で語られる
”組織における強み開発の介入方法”をまとめてみると、

「強み開発の5ステップの統合モデル」

として提案できそうだ、としています。

これが実にわかりやすく、
また私も強みの介入する実践者として見ても
整合性が取れた実用性のあるモデル、と感じたのでした。



ということで、
これらが一体どのようなものなのか
以下まとめてみたいと思います。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【組織における強み開発の5ステップ ―統合モデルー】

<ステップ1:準備とコミットメント>

*「強みのアプローチと介入方法について参加者に教育する」こと。

・アプローチの価値を理解し、プロセスに関わるステップを理解し、
 介入に積極的に関わってもらうために極めて重要である。
 (Clifton & Hartner, 2003)

・このステップにより、肯定的な情報よりも否定的な情報に注意を向ける
 人間な自然な傾向である「否定性バイアス」を軽減することができる。

**

<ステップ2:識別>

*「参加者の強みを特定する」こと。

・強みの特定方法としては、以下の手段がある
 a, 心理測定のツール活用(VIA、ストレングス・ファインダー、Strength Profile)
 b, 自分自身を観察する(パフォーマンス・エネルギー・自分らしさ、フローに関わる活動を特定する)
 c, フィードバックを収集する(同僚や上司などから自分の強みについてフィードバックをもらう)
 
・異なる手法を組み合わせることで、個人の強みのより正確な全体像を得ることができる。
 (Dubreuli and Forest, 2017)
 
**

<ステップ3:統合>

*「個人のアイデンティティに強みを統合する」こと。

・このステップにより、個人が新しい情報(強み)を把握し、吸収し、
 自分の行動の理由をよりよく理解することができる。
 
・具体的には、本人が強みをより深く認識できるようにするために、
 「強みを過去の成功体験と関連付ける具体的な質問」を考えることである。

**

<ステップ4:行動>

*「強みを活用するための”具体的な変化”を決定する」こと、
 「本人が意図した”変革を実行”する」こと。
 
・理論を行動に移すためには、「強みの活用」を具体的に
 個人、グループ、組織の目標は取り組みに投資する必要がある。
 
・そのためには、上司、同僚、コーチがフォローし、
 サポートして提供して進捗を促す必要がある。(Linley, 2008)

**

<ステップ5:評価>

*進捗の測り方は、
 「本人の主観」(強みの認識と活用、目標達成、幸福感など)、あるいは
 「客観的な指標」(介入前に測定した、仕事への満足感、モチベーション、仕事への取り組み、職務遂行能力)
 によって決めることができる。
 
・介入の影響を測定することで、手順の有効性を確認し、
 再調整を行うことができる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。



■なるほど、実に納得です。

そして弊社が提供させていただいている強み開発も、
細かい部分は色々工夫があるとて
大きな流れとしてはまさにこの通り。

まさに、

1 準備とコミットメント
2 識別
3 統合
4 行動
5 評価

を踏んでいる、と感じました。



■統合モデルとは、言い換えると

”強みの開発をする上での「王道」”

ともいえるのでしょう。


そういう意味で、介入を計画する上では、
上記のステップがきちんと押さえられているか?

これらを見極めることは
とても重要なことなのだろうな、と思います。

しばしば、

・「強みの識別」にはどのツールを使うのか?
(VIAかストレングス・ファインダーか)

・「評価」はどの項目を聞いたほうがよいのか?

など具体的なところにばかり
目が行くこともありますが、

ストレングス・ファインダーにも
VIAなどのツールの良し悪し以前に、

こうした「大きな抑えるべき流れ」を知っておくと、
より適切で、効果的な介入も出来るようになるのだろう、

そんな事を思いました。



■ちなみに、本論文の最後には、

「論文の限界」として、3つ挙げられています。

1,強みの開発は最近のアプローチであるため、
  明確な結論を提示する前に、さらなる理論と研究の必要性がある
  
2,ほとんどの研究で自己評価尺度を使用している。
  また、自己申告による業務遂行能力を用いているため、
  結果も社会的望ましさのバイアスも受けやすい
  
3,強みの分類手段の妥当性に関するエビデンスが不足している。
  完全な因子分析の結果が得られているのは、VIAの1つだけである
  
とのこと。


まだまだ、世界的に見ても
研究を深めていく必要がある領域なのだな、と感じますし、

いわんや日本では更に
まだまだの発展途上の領域でもあるのだ、

そんなことを思った次第です。


私も、この領域について
読むほどに興味が湧いてきたので、
さらなる深掘りを進めてまいりたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

人生の意味は、あなたの才能を見つけること。
人生の目的は、それを解き放つこと。

パブロ・ピカソ
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