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『あなたの話はなぜ「通じない」のか』

今週の一冊『あなたの話はなぜ「通じない」のか』

2929号 2022年2月27日

(本日のお話 2125字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、
旧来の友人と家族での交流。

近所にあった”遊び場”なる
地域交流センターに行ってみました。

知らないだけで意外と身近にも
便利なスポットがあるんだな、と発見がありました。
灯台下暗し、ですね。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、お勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は

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『あなたの話はなぜ「通じない」のか』(ちくま文庫)

山田ズーニー(著)


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です。

■「何を言うか」よりも「誰が言うか」。

自分が20代の頃働いていた会社で、
先輩から言われたことが記憶に残っています。

そして、
人生経験を積めば積むほど、
本当にその通りだな、と感じます。

■発言した内容が

目の前の相手やその場の人達に
受け取ってもらえるかどうかは、
色々な変数があります。

発言した言葉そのものではなく
話者が「信頼されているか」も大事ですし

言っていることが「本音である」と
根本の思考が伝わることも大事だし

「論理的である」という
伝え方の技術も重要であり、

論理だけではなく「共感できる」という
感じの良さも必要になってきたり…

話が「通じる」には
実に多くの要素があることは、
きっと皆様も感じられることではないかと。

■その中で、今回ご紹介の本は、

文章表現・コミュニケーションインストラクターとして、
言葉を操るプロフェッショナルとして活躍されている
山田ズーニーさんが、

「話が通じるためのコミュニケーション術」

について懇切丁寧に教えてくれているのが
この一冊です。

■コミュニケーション系の本は
数多く出版されていますが、
この本の素晴らしいところは、

「この本に書かれている一文一文が
”伝わってくる”という迫力がある」

ところです。

月並みに紹介されるテクニックを
「まず結論から言いましょう」みたいに
ただわかりやすく説明するのではないのです。

抽象的なようですが、

著者の山田ズーニーさんが、

自分自身が”相手に伝わること”について
誰よりもたくさん考えて

相手との間に架け橋を作るために
多くの葛藤をして、

そして、膨大な文章を書き上げる中で、
自分自身に馴染む伝わる言葉を
使いこなせるようになった表現力を持って、

「相手に話を通じさせるためには、
一体何が必要なのか」

を具体例と、力のある言葉で
わかりやすく解説してくれている、

と感じます。

■本文より、

いくつか印象に残ったことを
ご紹介させていただきます。

**

<想いが通じる5つの基礎>

1、自分のメディア力を上げる
2、相手にとっての意味を考える
3、自分が一番言いたいことをはっきりさせる
4、理由の説明をする
5、自分の根っこの思いに嘘をつかない

「話が通じるためには、日頃から人との関わり合いの中で、
自分というメディアの信頼性を高めていく必要がある」

「その人の根っこにある思い・発言の動機、
これを「根本思想」と言う。言葉は、ちょうど氷山の見えるところのようなもので、
水面下には、その何杯も大きな、その人の生き方や価値観が横たわっている。
だから、短い発言でもごまかしようなく、にじみ出て、わかってしまう」

**

<目指すのは結果だけか?>

うそは、本当の意味で人を動かさない。
人はそれほど愚かではない。

仮にうそで、相手が自分の思うように動いたとしたらどうだろう?
相手が愚かしく見えるのではないだろうか。

(中略)うそで切り開く世界にいるのは、うそで操作していい人間、
内面も意外性ももたない外側だけの人間、
自分の術中にはまった愚かしい人間、

そして何より、一人一人違った内面を持つ人間を、
そのようにしか見ることができず、そのようにしか関われない自分。

外には、自分の思いで関わることができない世界がただ広がっていくばかりだ。
そんな世界に、生きるエネルギーがわくだろうか。

**

<通じるものには根拠がある>

1、伝えたいものがある(切実な動機)
2、伝えるだけのものがある(10年以上の経験に象徴される)
3、伝える技術がある(表現技術)

少なくとも、この3つの根拠がそろうまで、
ものごとは突き抜けていかない。

私もうまくいかなかったものは、
見事にどれかを落としている。

逆にうまくいったことは、背景に10年以上の積み上げがあって
それをつなげられるものばかりだ。
通じるものには理由がある。

引用:山田ズーニー『あなたの話はなぜ「通じない」のか』(ちくま文庫)』

**

■言われてみたら
当たり前のような話かもしれません。

しかし、それこそ文字の羅列であるのに、
一つ一つの言葉に「力」があると感じますし、
説得力を覚えます。

そして、自分を振り返った時に、
”相手に通じる”ことを考えたときに、

まだまだ出来ていないこと、
たくさんあると感じるとともに、

その根底にある「自分のあり方」も
考えさせられたように思いました。

何となく表面で
うまくコミュニケーションをこなすだけの虚しさも
考えさせられました。

論理と感情。

想いと技術。

そして自分が伝えたいことは何か。

バランス良く高める技術も抑えつつ
人と深く通じ会えるために
大切なことが書かれている本だと思います。

おすすめです。

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<今週の一冊>

『あなたの話はなぜ「通じない」のか』(ちくま文庫)

山田ズーニー(著)


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