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3625号 2024年1月28日

今週の一冊『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』

(本日のお話 2896字/読了時間5分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日、沖縄から茨城(妻の実家)に移動です。
これから「勝田マラソン」に参加してきます。
5~6年ぶりのフルマラソン。

最近はウルトラマラソンばかりでしたが
久しぶりで楽しみです。善戦したいと思います。



さて、本日のお話です。

今日は、最近読んだ本の中から「おすすめの一冊」をご紹介いたします。

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<今週の一冊>

『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』

早瀬 信 (著), 高橋 妙子 (著), 瀬山 暁夫 (著), 中村 和彦 (監修)

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■「組織開発」が身近に感じられる一冊

管理職、人事の方などであれば、「組織開発」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。最近、少しずつ広がってきた印象がありますが、それでもそれが何を意味するのか、具体的に何をするのか?というのを説明できる人は少ないようにも思います。

そもそも「組織開発」という言葉が、なんだかむずかしい。そして抽象的なので、距離感を感じさせる気もします。

そんな中で今回の一冊は「組織開発とは、職場で働く私達にとって、とても身近で、ハードル低く、誰もが始めることができるものなのだ!」と思わせてくれる一冊です。

内容としては、主に4つの章に分かれて展開されています。

Chapter1:組織開発の「きほん」
Chapter2:組織開発の「はじめ方」
Chapter3:組織開発「実践のポイント」(事例)
Chapter4:組織開発を始めよう

どの章もめちゃくちゃわかりやすく、すっと入ってきます。

おそらくその理由は、言葉の選び方、また事例の紹介の仕方が、シンプルで、まさにタイトル通り”やさしい”からでしょう。著者の皆様が、たくさんの職場をなんとかしたいと思う方に届くように、と本書に込めた思いも感じます。まさに、タイトルどおりの一冊です。

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■組織開発の「きほん」

本章では、あるマネジャーの物語が紹介されます。新規営業で数字をあげなければならない会社の方針がある。しかし年長メンバーはどうやら納得がいっていない様子で、若手メンバーも「大丈夫です」と言いながら、なんとなく不安を感じる雰囲気でした。それからしばらくして、若手メンバーが辞めてしまいました。

・・・そんな物語。

こういう話、あるあるです。そしてこうした「目に見えないもやもや」を取り扱うのが組織開発です。

◯組織開発の定義とは

著者らは、シンプルに「意図的に行う、良いチームや良い組織づくり」が組織開発の定義として紹介していました。より丁寧にお伝えすると、

”組織開発とは、現場にいる人達が自ら、人と人との関係性を通して組織内の違和感のあるプロセスを見直し、より良い組織をつくる活動”

と表現していました。

組織開発の効果とは

そして組織開発のプロセスによって、以下の3つの効果が手に入るとされています。

(1)【効果性】目標達成ができる
(2)【健全性】明るくイキイキ元気がある
(3)【継続性】良い状態を自分たちで継続できる

では、実施にどのように組織開発をはじめればよいのか?についても続く章で述べていきます。

◯組織開発の「はじめ方」

では、どのように「組織開発をはじめる」のか?そのための考え方として、「プロセス」というキーワードを紹介しています。

タスク・プロセスとメンテナンス・プロセス

一つが、「タスク・プロセス」。
意思決定のされ方、目標の共有、役割分担、手順や仕事の段取りなど、”目に見えにくい問題事象”です。

もう一つが、「メンテナンス・プロセス」。
職場の雰囲気や組織風土、メンバーのモチベーション、メンバー同士の関係性など、”目に見えない問題事象”です。

そして、「組織開発は、このタスク・プロセスと、メンテナンス・プロセスの両方を見直していく活動である」としています。

なぜ、このような、水面下のプロセスが重要かというと、こうした水面下のモヤモヤが、顕在化した(する)問題に影響を与えるからです。

たとえば、職場のメンバーの関係性が、少しギスギスしているようだ。あるいは組織風土が上意下達で受け身なようだ。生産性の低下に繋がるようにみえる、目に見えづらいので、直接手を触れる機会はない。こうした顕在化した問題の水面下にある問題の真因に、意図的に手を伸ばし、対話によって課題解決を目指すのです。

そんなプロセスに触れる「組織開発のはじめ方」として

・とにもかくにも「対話」による関係づくりが大事
・「対話の環境づくり」をはじめること
・「ポジティブなテーマ」を設定しよう
・異なる意見・考え方を「気づく」場を目指す

などの心構え・工夫を述べています。

組織の成功循環モデル

そして、ダニエルキム博士の組織の成功循環モデルを参照に、組織開発の流れを整理されています。これは「関係の質」が「思考の質」「行動の質」に影響を与え、「結果の質」にも影響を与えるとしたモデルです。

ポイントは「関係の質」を高めることが重要であり、そのためにも対話を行うことの重要性に繰り返し触れています。

◯対話で重要な「5つの価値観」

その他、対話のための5つの価値観なども紹介されていました。以下、引用いたします。

【対話で重要な「5つの価値観」】
(1)プロセスの観察に基づく ータスク・プロセスとメンテナンス・プロセスに目を向ける
(2)ヒューマニスティック ーすべてのメンバーを大切に尊重する
(3)デモグラフィック ー小さな声を大事にする
(4)システム思考 ーさまざまな視点からアプローチしてみる
(5)協働的 ー協調の精神を大切にする
P74-75

***

■組織開発「実践のポイント」

そして、次の章では、7つの組織の成功事例から、組織開発を紐解いていきます。
中小企業2社、大企業2社、地域コミュニティなど、様々な組織規模の事例を見ることで、組織開発の具体的なイメージが分かるような構造になっていました。

それぞれの組織の事例がとても丁寧に解説されており、本書の半分くらいはこの実践事例にページが割かれています。この部分は、特に真似をして試すことができるものなので、おすすめだと感じました。

ただ、個人的に印象だったことが、色々とやったけれども、それらをシンプルにいえば、

・社員一人ひとりの声を聞く
・ゆるくつながっておく
・皆で目的を明文化する
・自分自身を語ることで関係性を構築する etc

誰もがやろうと思えばできる「小さな一歩」とも言えることだった、ということです。
しかし、それが確かに、組織にポジティブなインパクトを与えていることが、組織開発が実はもっと多くの人に身近で、かつ有用なものだと示している証拠のようにも感じました。

***

■まとめ(個人的感想)

本書の後半では更に、組織開発に関わる際のスタンスを、最初に時間を取る、焦らない・諦めない、誰でもきっかけは作れる、というように、励ましのような言葉も踏まえて語られています。

読みながら、「組織開発って、もっとシンプルに考えていいんだ」と思える一冊で、心理的なハードルをぐっと下げてくれます。

『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』でもあるし、個人的な感想を付け加えるならば「働くみんなのための」という枕詞もつけてもよいような、そんな感想を持つ一冊でした。

より多くの人が、こうしたプロセスに目を向けることが当たり前になるといいな、そんなことも思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!

※本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。
よろしければぜひご覧ください。

<noteの記事はこちら>

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<今週の一冊>

『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』

早瀬 信 (著), 高橋 妙子 (著), 瀬山 暁夫 (著), 中村 和彦 (監修)

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