今週の一冊『書いてはいけない』
(本日のお話 1813字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、家族でお台場の「うんこミュージアム」に行ってきました。
子ども(4歳)も、お姉さんの掛け声に併せて「う◯こー!!!」と絶叫していました。
こうしたタブーをかわいらしく、アミューズメントとしてしまうコンセプトに事業づくりのネタとしても勉強になったのでした。
その他、夜は大学での打ち合わせなど。
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さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、最近読んだ本の中から一冊をご紹介する「今週の一冊」のコーナー。
先日、近所の大型の本屋さんを訪れたときに、著者の森永氏の書かれた、同テイストの表紙がずらりと並んでいました。タイトルは『書いてはいけない』『ザイム真理教』『日航機はなぜ墜落したのか』など、陰謀論を彷彿させるような、一瞬眉を潜めてしまうような文言です。
著者の方の名前は聞いたことがあるものの、あまり詳しく知らなかったものの「膵臓がんステージ4で、遺書として覚悟を持って書いた」というような内容に興味をそそられたのがきっかけでした。
評価の数とは裏腹に、賛否は大きく分かれる本だとは思いますが、まずは内容を紹介してみたいと思います。
それでは、どうぞ!
■本書の概要
著者はステージ4膵がんの告知を受け、「命あるうちに真実を書き残す」と決意したとのこと。
そして、本書は著者の40年超の取材と分析を凝縮し、“日本経済が墜落した本当の原因”を、メディアが触れない3大タブーとして、著者の独自の視点から書き記しています。
ちなみに、3大タブーとは、(1)ジャニーズ性加害問題、(2)財務省のカルト的財政緊縮主義(著者は「ザイム真理教」と命名)、(3)日航123便墜落事故です。
著者の主な結論として、「権力とメディアの共依存」→「誤った政策決定」→「経済ダメージ」という負のスパイラルを生んできた、と述べています。
・・・うーん、今まで読んでこなかったタイプの著書で、なかなか衝撃的です。
以下、本書で書かれている内容について、簡単にまとめてみます。
■メディアが触れない3大タブーとは
ちょっとまとめるのも躊躇してしまいますが(汗)、各章のポイントを簡単に押さえてみたいと思います。
(1)ジャニーズ事務所
・無視された東京高裁判決
2004年の高裁判決が「性加害の事実」を一部認定しながら、広告・報道各社が黙殺してきた経緯を精査。森永氏は「判決文こそ最大のファクト」とし、法より空気が優先された構造があるとする。
・ビジネスモデルの分析
退所タレントを二次利用しない“出口戦略の欠落”が、グループごとの短命化=レーベルの焼畑化を招いたと論じる。
(2)ザイム真理教
・カルト概念の再整理
統一教会との比較で、カルト=教義の絶対化、外部批判者へのレッテル貼り、信者の自己犠牲の正当化の三点が酷似すると指摘。
それらと、財務省の「プライマリーバランス黒字化教義」に適用。財政緊縮策(増税)に偏る、カルト的考えがある、と述べる。
(3)日航123便はなぜ墜落したのか
・事故調査報告の矛盾
圧力隔壁破壊説の物理的成立条件を航空力学の基礎式で再検証。森永氏は「隔壁説だけでは尾翼後部の蜂の巣状破断面が説明できない」と主張する。(ここは自衛隊の過失についての話が展開されていますが、書くのが憚られるのでやめておきます)
■まとめと感想
本書をまとめながら、いくつかの内容を「書けないな…」と文字にするのをためらって、消してしまいました。そういう意味ではまさに「書いてはいけない」というタイトル通りの内容のようにも思います。
こうした「タブー」という話は、面白い話かもしれません。たしかに、にわかに信じがたい内容が、著者の独自の観点から推察した内容として、時に断定口調で書かれています。
しかし、いくつかのパーツを組み合わせて、言い換えれば物語を編み上げていると言えなくもありません。パーツとパーツを組み合わせて「そうであるらしい」として、断定することは気をつける必要があります。
しかし、ある事実から一つの物語を見出すと、調べるほどに「そう見えてくる」ということはよくある話ですし、そしてその可能性は著者も本文の中で、何度も認めています。
一方、著者が長年時間をかけて調べていった覚悟は感じます。ゆえに、そうなのかな、そうだとしたら怖いな、という迫力を生み出している著書だと感じました。
この著書を読んでの一番の学びは「メディアを批判的に見る姿勢」です。
「表面で報じられていることの裏側にある真実」は、組織でもあるわけですから、より大きな国レベルでも、当然あるのでしょう。
そして、そこには大きくメディアも関わっている。その第一線で40年間関わってきた人の言葉には考えさせられるものがあります。そうした存在を感じるという意味で、違う視点を与えてくれた一冊だと思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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