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2888号 2022年1月17日

「自己変革スキル」がアンラーニングを促進する

(本日のお話 1757字/読了時間2分)

■おはようございます。紀藤です。

さて、先日よりご紹介しております、
「アンラーニング」(学びほぐし)について
引き続き学びのご共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう。

タイトルは

【「自己変革スキル」がアンラーニングを促進する】

それでは、どうぞ。

■臨床心理学や
カウンセリング心理学において

『自己変革スキル』

と呼ばれるものがあります。

正式には

”Personal growth initiative”
(自己成長主導性)

といい、「変革や改善のためのスキル」と
提唱者のクリスティーン・ロビチェックが説明している、
、、、とのこと。

■そして、

「自己変革スキル」とは
以下の4つの次元で説明されます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<自己変革スキル 4つの次元>

1)変革の準備・・・
自分の中で変える必要がある部分を理解している

2)計画性・・・
自分を変えるための計画の立て方を知っている

3)資源の活用・・・
自分を変えようとするとき、
積極的に支援を探し求めている

4)意図的行動・・・
成長の機会があれば、見逃さないようにしている

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

見ていただいて、
なんとなく想像ができるかもしれませんが

この「自己変革スキル」は、
今回のテーマの「アンラーニング」に
大いに関わっています。

その点について、
少し掘り下げてみましょう。

■米国の調査データを用いて、

自己変革モデルを
統計的に分析をした結果、

”自己変革スキルを持つ人ほど
アンラーニングを実施し、
結果としてワークエンゲージメントが高くなる”

ことがわかりました。

そして、同じモデルを
日本国内でも同様に行ったところ
同じ結果が出ました。

つまり、日本・米国問わず、
同じ結果となったとのことで、
信頼がおけるモデルであることがわかりました。

■上記から、

「自己変革スキル」

「アンラーニング(学びほぐし)」

「ワークエンゲージメント」

というように道筋が繋がり、

”自己変革スキルがアンラーニングを媒介して
ワークエンゲージメントを高める”

といえます。

(ちなみに、「自己変革スキル」は
「直接、ワークエンゲージメントも高める」ため、
正しくは、2つのルートがあるとなります)

■と、理論的な話を
著書より引用させていただきつつ、
お伝えさせていただきましたが、

これ、結構大事な示唆が
含まれている、と思うわけです。

、、、というのも、

「確かにアンラーニングは大事。
でも、なかなかできないよね・・・」

というのが現実だから。

まさに”言うは易し行うは難し”です。

この状況を打破し、
アンラーニングを実践するためには

急がば回れ、ではないですが
少し前の段階から見ると実現性が高まるのでは、

と思うわけです。

■アンラーニングは

その「阻害要因」として、
以下のことがあることがわかっています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<アンラーニングを阻害する要因>

1位 技術・スキル習得の難しさ 58.5%
2位 職場の理解不足 22.8%
3位 過去の習慣・心理的抵抗 18.7%
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※詳しくはこちら↓↓
アンラーニング(学習棄却)の全体像 ~きっかけ・阻害要因・結果としての影響~
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4078307/

■アンラーニングしようと思っても
「技術・スキル習得が難しい」とか
「職場の理解がない」

等で断念してしまうことが
往々にして起こるということであり、

ここにアプローチするためは

「アンラーニングが大事!」

という直接的なアプローチ以前の
なんらかの施策が重要になる、

と思うわけです。

■ではどうすればよいか?

そのためには、まさに

”アンラーニングにつながる
「自己変革スキルを高める」”

こと、これが大事ではなかろうか、
ということ。

例えば、

『変革の必要性を意図的にデザインする』

つまり、

”自分の中で変える必要がある部分を
理解する内省の機会を設ける”
(=自己変革スキル「変革の準備」)

等もできそうです。

あるいは、

『周囲からの協力を得る』

こと、つまり

”自分を変えようとするとき、
積極的に支援を探し求めている”
(=自己変革スキル「資源の活用」)

ことができるような支援策も考えられます。

■アプローチは一つではなく
いくつもありますが、

「アンラーニング」に影響する
周辺の理論や、背景にあるつながりを
紐解いていくことで、

”何をすればアンラーニングを確率高く、
促すことができるのか”

も見えてくるかと思います。

■心理学者のクルト・レヴィンが

『良い理論ほど実践的なものはない』
(Nothing is so practical as a good theory)

という言葉を残していますが、
そんなことを思い出したお話でした。

※松尾睦(2021)『仕事のアンラーニング 働き方を学びほぐす』
P78-94を引用・参考にさせていただきました。

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<本日の名言>

大切なのは、問うことをやめないことです。
好奇心は、それ自体で存在理由を持っているのです。

アルベルト・アインシュタイン(ドイツの物理学者/1879-1955)

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