「フォロワーシップ」とは何か(その4)~「役割ベースのアプローチ」を紐解く:前編~
(本日のお話 2954字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は2件のアポイント。
夜は、13キロのランニングでした。
5月の100キロマラソンに向けて、
あと3ヶ月なので、月150~200キロを目安に、
走る習慣を取り戻していきたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
昨日に引き続き、本日も
「フォロワーシップ」をテーマに
学びを深めてまいりたいと思います。
※参考論文は引き続き、
MaryUhl-Bien、Ronald E.Riggio、Kevin B.Lowe、Melissa K.Carsten(2014)
『Followership theory: A review and research agenda』
(フォロワーシップ理論:レビューと研究のアジェンダ)
でございます。
それではまいりましょう!
タイトルは
【「フォロワーシップ」とは何か(その4)~「役割ベースのアプローチ」を紐解く:前編~】
それでは、どうぞ。
■フォロワーシップについて
昨日までのお話で
”フォロワーシップを考えるにあたっての
いくつかの視点”
をお伝えしてまいりました。
・フォロワーシップは
リーダーシップとセットで語られること
・ゆえに、フォロワーシップ研究という分野は
リーダーシップ研究の中に組み込まれて論じられてきたこと
・その中でフォロワーシップ理論については、
大きく以下の2つのアプローチ(考え方)がある
ということをお伝えしました。
■ほにゃらら研究とか、
ほにゃらら理論と呼ばれるものは、
実に広大です。
先人たちの軌跡に頭が下がる思いと同時に、
わけわかめ状態にもなりがちかもしれません。。。
、、、が、しかし
全体像を知ることで
「フォロワーシップとはなにかという
世界地図が手に入る」
とも言えるかもしれませんし、
きっとそれは意味があること(のはず!)
かと思われます。
■ということで、今日は
昨日お伝えしました。
「フォロワーシップの2つのアプローチ」の中でも、
『役割ベースのフォロワーシップ』
を掘り下げてお伝えしたいと思います。
※詳しくは昨日のメルマガより↓↓
「フォロワーシップ」とは何か(その3)~フォロワーシップ研究の全体像はコレだ~
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4106165/
■ちなみに
「役割ベースのフォロワーシップ」とは
こんな項目がございました。
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<役割ベースのフォロワーシップ_一覧>
1)「フォロワーシップ・タイポロジー」
2)「フォロワーシップ・ロール・オリエンテーション」(カーステン)
3)「暗黙のフォロワーシップ理論」(サイ)
4)「リーダーの行動の形成者としてのフォロワー」
5)「フォロワーシップ・ビヘイビア」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これらについて、
どんな事が研究されてきたのかを、
まとめてみます。
ただ、上記の1つ1つが濃密なので今日は
「1)フォロワーシップ・タイポロジー」
(フォロワーシップの特徴とスタイル)
についてまずはまとめたいと思います。
こんな内容でした。
(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<役割ベースのフォロワーシップ>
1)「フォロワーシップ・タイポロジー(特徴とスタイル)」 のまとめ
(説明)
・フォロワーの特性やスタイルを類型化する、という考え方。
これまでも様々な研究者がそれぞれの類型化を行っています。
類型化についてフォロワーシップの初期の研究で
最も引用されているのが、以下、KELLEY(1988)の研究です。
◯KELLEY(1988)=「フォロワーを依存ー非依存、受動ー能動で4つの象限に分類」
・依存的ー非依存的、受動的ー能動的 の4つの象限を用いる
・そして、疎外的なフォロワー、模範的なフォロワー、適合的なフォロワー、受動的なフォロワー
2つの次元の中間に位置するセンターグループ(プラグマティスト・フォロワー)とする
・効果的なフォロワーとは
「自発的であること」「独立した問題解決者であること」
「グループや組織にコミットしていること」の資質を持つ
・フォロワーには、受動的で依存的なステレオタイプの「羊」から
能動的だが依存的な「イエス・ピープル」まで、
リーダーが支持したことに盲目的に従うステレオタイプのフォロワーがいると指摘。
すべてのフォロワーを、能動的で非依存的な「模範的なフォロワー」にすることを提唱し、
最高のフォロワーとは、受動的な羊ではなく、積極的に関与し、
勇気ある良心を示すフォロワーである、と主張した
**
・その他、以下のようなタイポロジー(特徴とスタイルの類型化)が
登場してきました。以下、各研究の特徴をご紹介いたします。
◯アイラ・チャレフ(1995)=「勇敢なフォロワー」という考え方を提唱
・『The Courageous Follower』という本を出版。
効果的なフォロワーシップとして、”勇敢であること”を重視した類型化の考え方。
また、チャレンジが低いフォロワーのスタイルとして
「実行者」「パートナー」「個人主義者」「リソース」の4つを上げた
(※先日「ザ・フォロワーシップ」として紹介した本の方です)
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4105251/
◯KELLERMAN(2008)=「フォロワーのエンゲージメントレベルにおいた5つのカテゴリ分け」をした
・「なにも感じず、何もしない」から「情熱的に取り組み、深く関与する」までの5つのタイプを、
「孤立者」「傍観者」「参加者」「活動家」「熱狂者」とした。
◯JEAN LIPMAN-BLUMEN(2005)=「なぜフォロワーは有害なリーダーに従うのか」を議論
・フォロワーには3つのカテゴリがあるとした
1,良心的なフォロワー:騙されやすく有害なリーダーの言うことに疑うことなく従う
2,リーダーの側近:毒舌リーダーの分身のような役割。リーダーのアジェンダにコミットする
3,悪意のあるフォロワー:欲や妬み、競争心に駆られている人たち。リーダーに反抗し、失脚させようとする
(おそろしや・・・・)
◯HOWELL AND MENDEZ(2008)=「フォロワーの役割志向の様々なタイプ」を類型化した
1,リーダーシップの役割をサポートし、補完するインタラクティブな役割
(献身的なフォロワーの場合もあれば、忠実な「羊」の場合もある)
2,独立した役割としてのフォロワー
(高いレベルの自律性と、高いレベルの能力が含まれる。例:エンジニア、医師、大学教授等)
3,リーダーと対立して働く独立した役割志向
(ネガティブなタイプ)
4,リーダーとフォロワーの役割を交互にこなす「シフト型」
(状況に応じて、リーダーシップを発揮したり、目立たないフォロワーになったりする)
※一部引用・著者編集
MaryUhl-Bien、Ronald E.Riggio、Kevin B.Lowe、Melissa K.Carsten(2014)
『Followership theory: A review and research agenda』(フォロワーシップ理論:レビューと研究のアジェンダ)より
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)
■さて、いかがでしょうか。
読んでみても、とても広いですね(汗)
いずれによせ、
「1)フォロワーシップ・タイポロジー」
(フォロワーの特徴やスタイル)
の類型化の仕方だけでも、
・「ケリーの4象限(+センター)」
・「勇敢なフォロワー」としての類型化
・「フォロワーシップのエンゲージメントレベル」の5つのカテゴリ
・「なぜフォロワーは有害なリーダーに従うのか」の3つのカテゴリ
・「フォロワーの役割志向の様々なタイプ」の4つのカテゴリ
と様々な切り口があることは、
感じられたのではないか、
と思います。
■これらの切り口ですが、
・「理想的なフォロワーとはなにか?」
という観点で見るのか
・「有害なリーダーに影響されないフォロワーとは何か?」
という観点で見るのか、
・「フォロワーの志向からどんな分け方ができるのか?」
という観点で見るのか、
同じフォロワーシップというカテゴリでも、
違った視点を与えてくれるように思います。
■そして、これは、
”「フォロワーシップ」を自分たちのこと”
として考える際に、とても大切なことだと私は感じました。
*
例えば、個人的な感想ですが、
官僚的、年功序列が強い組織に、
「勇敢なフォロワーが大事!」と声高にいっても
あんまり現実的ではないかもしれませんが、
「有害なリーダーに従うフォロワー」という観点で
自分たちが陥る可能性がある集団浅慮を考えると
現実的な議論ができるかもしれません。
組織やチームの現状に即して
フォロワーシップについても、
求めるものや望ましいもの、現実的なものも
きっと変わってくるのでしょう。
■と、すると、
ステレオタイプ的に、
1つの考え方だけに固執するのではなく、
色んな考え方、アプローチを知っておくことも
有効なのだろうな、、、
と感じております。
お勉強ばかりでもよろしくありませんが、
「参照枠」を広げることは、武器になる、
と思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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<本日の名言>
自分より賢き者を近づける術を知りたる者、ここに眠る。
(墓石に刻まれた言葉)
アンドリュー・カーネギー(米国の実業家/1835-1919)
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