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今週の一冊『未来のスケッチ -経営で大切なことは旭山動物園にぜんぶある-』

今週の一冊『未来のスケッチ -経営で大切なことは旭山動物園にぜんぶある-』

2377号 2020年8月23日

(本日のお話  2132字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は早朝から1件の打ち合わせ。

その後、10-18時にて
毎月恒例の勉強会への参加。

その後、システムコーチングの
打ち合わせでした。

また今月末が期末で、
かつ今週が山場なので、
そこを越えたら少し本など読んで
ゆっくりしたいなあ、

などと思っております。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日はオススメの一冊をご紹介する
今週の一冊のコーナー。

今週の一冊は

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『未来のスケッチ』 経営で大切なことは旭山動物園にぜんぶある

遠藤功 (著)

https://www.amazon.co.jp/dp/B01FSGH4OK/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_WNCqFb7R8CQ5K

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です。

■皆さまは、北海道の旭山動物園の
エピソードをご存知でしょうか。

これは、2000年代に、
「奇跡の再生」と呼ばれ
多くのメディアに取り上げられ、

そのストーリーは
数々のメディアに取り上げられ
書籍化、映画化もされた

知る人ぞ知る実際の
サクセスストーリーです。

■そのムーブメントは、
2007年をピークにして、
今は落ち着いているものの、

経営危機が叫ばれていて
来場者数が年間30万人を下回ったときから、

ピーク時は日本屈指の上野動物園に
匹敵する230万人を越え、

そして今なお安定的に
100万人の来場者数を誇る
一つのブランドとしての動物園となったことは、
着目すべき事実であると言えそうです。

そして、このケースは
早稲田大学ビジネススクールの
授業の一コマにもなったそう。

■では、この旭山動物園、
どのようにして「奇跡の再生」を
成し遂げたのでしょうか?

結論からすると、

『14枚の現場の方が描いた「未来のスケッチ」』

これが奇跡の再生の
出発点となっていた

と語られます。

■そして、その背景にある事実を
早稲田大学ビジネススクール教授の遠藤功氏が
旭川動物園に行き、坂東元園長に取材し、
完成させた本がこの一冊です。

そしてわかったことは
たまたま宝くじがあたったような
「奇跡」ではなく、理論があった、ということ。

魔法のような”マジック”ではなく、
背景がある”ロジック”があったのでした。

■ではその「ロジック」とはなにか。

大きく言ってしまえば、

『ビジョンの持つ力』

です。

「ビジョン」とはよく言われる話でしょう。

多くのリーダーも「ああ、ビジョン大事だよね。
うちの会社にもあるよ」と言えてしまうもので、
表面的に捉えられそう。

でも大切なのは、
そのビジョンを描いた背景、
すなわち「質や深さ」。

かつ、”ビジョン”を形にする上での
「現場を起点にした仕組み」などに
旭山動物園の凄さが隠れていると感じます。

■旭山動物園の場合、1989年当時、
現場で働く一人ひとりの飼育員が、

「自分の担当している動物は、こんなにもすごい!
この魅力を何とか伝えたい」

と語り合っている姿を
当時の菅野元園長が見たところから始まりました。

そのときに、

「せっかくだから、
展示施設のアイデアとして
まとめてみてはどうか?」

と、仕事が終わった後に
皆が夜集まって、アイデア出しの作業が
始まりました。

■中心メンバーは、
後に園長になる小菅さん、

そして復活劇のインタビューになった
これもその後園長となる坂東さん、
(当時若手だった)

後に、飼育係員から
絵本作家にとして活躍されるあべさん、

など4人があつまり、

「こういう施設にしたらいいよね!」

と皆が夢を語り合ったのでした。

■「これは難しいよね…」
「実現可能性がなさそうだ…」

そんなことは一切言わず、
ただただ夢や理想を語り合う。

そして広がったアイデアが
合計20枚のスケッチとなり
(現存するのは14枚)

それの描かれたものは

「奇跡の再生を成し遂げた旭山動物園を
まさに表した姿」

なのでした。

■注目したいのが、

『未来のスケッチ』を描いた1989年当時は
旭山動物園にとって真冬の時期であった

ことです。

環境としては、
来場者は減る一方。

夢を描いても
実現する予算もない。

動物園の理想とされる運営は
描いたものと逆とされていた時代。

旭川市のお荷物と思われていた。

、、、そんなときに、

現場の思いある4人が、
最も厳しい時に、理想的なビジョンを描き、
「旗」を立てたのです。

そして10年の時を経ながら、
ビジョンが実現されていった。

このストーリーに

魂が入った「ビジョンが持つ力」と、
そこから私達が学ぶものがある、

と感じるのです。

■「ビジョンを描く」と、
言葉にすることは簡単です。

しかし、
ビジョンとは「Vision」つまり、
目に見える(Visible)なものであるので、

”細部までイメージされている”

ことがなければ、
厳密には絵のような姿として
描くことはできません。

「動物園のペンギンの魅力を
どのように表現し、楽しんでもらうのか?」

を考えると、

コンセプトも、
施設のレイアウトも、
説明の文面も、
お客様がどのような
反応をしているのかとういう表情も、

細部までイメージができなければ、
”ビジョンを描く”ことはできないのです。

■しかし、「ビジョンを描く」ことができると、、

「自分達が向かいたい先が明確になる」

そして、

「ビジョンに引力が発生する」

ため、皆がそちら側に
自然と引き寄せられたりするのです。

メンバーは一丸となり、
向かうべき方向もひとつになる。

それは「ビジョン」が持つ
魔法のような、でも確かに存在する力です。

■かつ、ビジョンを描くと、
現実とのギャップも明確になります。

・何が今足りないのか?
・どうすれば実現できるのか?
・形にするチャンスはないだろうか?

と無意識に探すような
そんなメカニズムが発動していきます。

■結果、時を経て
ビジョンが形になることは、
十分起こりうる。

そんな奇跡の背景になるロジックを
この旭山動物園の事例は
教えてくれています。

■ちなみに書籍では、具体的に
旭山動物園がとった施策が書かれています。

早稲田大学ビジネススクールの
授業としても語られているものなので、

「ビジョンが大事」
「とにかくビジョン!」

という粗削りの話ではなく、

実際に現場で、

・どんな姿勢を持つことが推奨され
・何が行われたのか
・そこにはどんな失敗があったのか
・何が要因で結果に繋がっていったのか
・どのようなことを汎用的に学べるのか

が、わかりやすくまとめられています。

動物園の事例ではありますが、
私達の職場でもそのまま活かせる、
重要なメッセージが含まれる一冊。

特に組織のリーダーの皆さまは、
参考になられるかと思います。

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<今週の一冊>

『未来のスケッチ』 経営で大切なことは旭山動物園にぜんぶある
遠藤功 (著)



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