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177キロマラソン体験記 ~ 超ウルトラマラソンを走ると、どんな感情が生まれるのか? 後編〜

1975号 2019年7月18日

(本日のお話 2943字/読了時間4分)

■おはようございます。紀藤です。

今日も一昨日・昨日に引き続き、
超ウルトラ177キロマラソンに参加した体験談について、
皆様に感想と気づきをご共有させていただきたいと思います。

後半戦(146キロ地点:7月15日(月)昼12時頃から)の、
体験共有でございます。

タイトルは、

【177キロマラソン体験記 ~超ウルトラマラソンを走ると、どんな感情が生まれるのか? 後編~】

それでは、どうぞ。

■この界隈では、
100キロを越えるウルトラマラソンを、
「超ウルトラマラソン」と呼びますが、
1日目を終えた時点で、

ウルトラマラソンと
超ウルトラマラソンの間にある「壁」を、
舐めていた、甘く見ていたことを痛感していました。



2日目の朝。146キロ地点。
7月15日(月)は、爽やかな晴れでした。

初日と比べて風が適度に吹き、
最高気温も25度程度と、気持ち良いランニング日和。

普通なら、、、です。

快晴と裏腹に、心の中は雨模様です。
眠いのです。ただただ、眠い。
足も痛い。

■あと30キロ。
たった、30キロです。

普段なら30キロは別にそんなに構える距離ではない。
しかし、このとき1キロあたり10分~11分。
早歩き位のスピードしか出ません。

11分×30キロ=330分、5時間半。

総計算した瞬間、
30キロだと心が持たない事に気づきます。
次のチェックポイントの156キロを目指そう。

そして、あと7キロ、6キロ、5キロとカウントダウンをしながら、
次のチェックポイントに足を進めます。

156キロ、あと20キロの
第7チェックポイントに到達。

そこでは、レンタカーを借りて、
要所要所で応援してくれる妻が、
エアーサロンパスを持って、待っていてくれました。

ツラすぎる中で、安心できる人がいるだけで、
本当に救われる気がしました。

別に状況は変わっていなくても、
「そこに心許せる人が待っている」という事実が、
どんな食事より、栄養ドリンクより、
一番のエネルギーになることを、このレースで改めて感じました。

ものの数分の会話でも、エネルギーが湧いてきました。
妻よ、ありがとう。

■100キロマラソンのときは、
少しでも速く、去年の自分を超えるのだと、
歩かないことを選択し続けることができました。

そして終わった時には、
最後まで投げなかった、よく耐えた自分に対して、
自然と涙がこぼれました。

しかし、177キロマラソンのこのとき、
「もう終わればどうでもいい」とすら思っていました。

「意志の力」が、奪われるのを感じました。

「暴力的なまでの睡眠欲求」によって、
意志が無に帰していくのです。

「ガードレールの裏側」を見つけると、
「売地」と書かれた空き地を見つけると、
「田んぼのあぜ道」を見つけると、

ふらふらと引き寄せられ、眠りたい衝動に駆られます。

そして、実際、幾度となく気を失うように道端で5分だけ寝る、、、
ということを繰り返しました。

車で通る人の奇異な目も、もはや気になりません。
眠い。ただただ、眠い。

そんな事を考えながら、
砂時計の砂を少しずつ減らしていくように、
残りの距離を刻んでいきます。

ただ足を動かすために、頭の中で、
僅かな足を動かすモチベーションを探し続けます。

残り11キロ。165キロ地点。

■165キロチェックポイントの
「黒石駅」に到着。

そして、そこには偶然、
一緒に出場した藤田さん(通称:フジタマン)という友人
(ここまで253キロを走り抜けてきた猛者)と再開します。

予期せぬ仲間との出会い、邂逅というのは、
ここまで嬉しいものなのか。

ここまでの疲れが吹き飛んだ気がして、
ふたりとも満身創痍ながら、固い握手をします。

「あと10キロ。頑張ろう」

そうやって、最後の10キロは、
フジタマンと旅路を共にする事になりました。

■最初は歩きながら、
二人でここまでの旅路をフライング気味で語ります。
しかし、すぐにしんどくなって口を開けなくなる。

歩くと進まないのです。
歩いても、走っても、どっちもツライ。

であるなら、走ってさっさと終わらせようということで、
二人で、「電柱ゲーム」をはじめました。

僅かなモチベーションをひり出す、
ウルトラマラソンでポピュラーな一つの手法です。

電柱3本分走って、1本歩く。

それをただひたすら繰り返します。
すると、みるみる残りの距離が減っていきます。

あと、5キロ。4キロ、3キロ、2キロ。

終わりが近づくに連れて、
足に力が戻ってきます。

そして、藤田さんと手をつないで、ゴール。

、、、ようやく、終わった。

達成感というより、安堵感。

そして、風邪気味の中、走り続けた代償なのか、
声が潰れてでなくなっていました。

■177キロマラソンを振り返って、
一番の学びになったことは、

”諦めないこと”

、、、ではありません。

正直なところ、今一番思っているのは、

【人間には「睡眠」が必要】

という学びです。

「睡眠を奪う」というのは
究極の拷問であると聞いたことがありますが、
納得できた気がしました。

わずか1日なのに、ここまでツラいとは。。。

ランニングのツラさと、違う種類のツラさ。

終わりがないツラさ、寝かせてくれ、
という心の叫びというか、、、
これが続いたとしたら正気でいられないように思います。

そんな中走る、263キロの部の出場者たち、、、
50時間近く、ほぼ不眠不休で走る50代など妙齢の方。

信じられません。

■そしてもう一つは、

【人が力をくれる】

ということ。

辛い時に、誰かが応援してくれる、
それは物凄いパワーになります。

自分が信頼する妻、仲間であれば、
その力は2倍、3倍、4倍となる。

知らない人でも、
例えば、青森の子どもたちが、

「がんばってください!」
「おはようございます」
「こんにちは」

礼儀正しい挨拶の数々でも、
その瞬間だけかもしれませんが、
折れた心がしゃんとする気がしました。

人の力は偉大です。

改めて、応援してくれた数々の方(特に妻)には、
感謝しかありません。

■そして、最後は、

【小さく、でも着実に進むこと】

の大切さでした。

この177キロマラソンですが、
「想像を遥かに超えたツラさ」でした。

その中で70キロ地点くらいからは、
練習不足と体調不良も相まって、苦痛でしかありませんでした。

それでも、
「まずは10キロの先のチェックポイントを目指そう。歩いてもいいから」
そうやって刻むことで、ゴールに近づいていきました。

それは、マラソンだけではなく
遠い道のりに思えることすべてことにおいて、
同じことが言えるのではないかと思います。

■今回の177キロは、もはやスポーツの域ではないと感じますが、

「肉体での学び」

は研修やセミナーを超えるほどの
多くの気づきを身体で体感することができます。

ゆえに、もしこの話を受けて少し心に引っかかりがある方、

体力に自信のない方でも、まず2キロのファン・ラン二ングを、
自分に自信をつけたい人、成長を感じたい人にはフルマラソンチャレンジを、

「自分自身の人生の舵」を、
より強く、しっかり握るためのツールとしてのランニングを、
ぜひオススメしたいと思います。

ただ、177キロマラソンは、
ちょっとオススメできませんが(汗)

、、、ということで、
3回に渡る超長文の177キロ体験記でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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<本日の名言>

人生で最も大切なことは、
はるか彼方にあるものを見ようとすることではなく、
目の前にはっきり見えるものをきちんと実行することだ。

トーマス・カーライル(スコットランド出身の歴史家・評論家/1795~1881)
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