メールマガジン バックナンバー

今週の一冊(続・番外編)『ポジティブ心理学の挑戦 ~”幸福”から”持続的幸福”へ~』(2)

今週の一冊(番外編)『ポジティブ心理学の挑戦 ~”幸福”から”持続的幸福”へ~』(1)

2260号 2020年4月28日

(本日のお話 2944字/読了時間3分半)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は2件のアポイントと打ち合わせでした。

GW明けに、友人の経営者を交えて、
ある「座談会企画」を行うことになりました。
また後日ご案内いたしますのでぜひお楽しみに!



さて、本日のお話です。

コロナになってから積読状態になっていた、
"名著と言われているけれどサクッと読めない重厚系の本"を、
じっくり読む機会が増えています。

実際、そのような本は学びが深くて、
「!」という驚きとともに、
なんでもっと早く読まなかったのか、、、

と積読をしていた自分を棚上げして、
思ってしまうこともしばしば。

■そして、また出会ってしまいました。。。

今日は、毎週日曜日にご紹介している
『今週の一冊』コーナーの番外編ということで、

一つ今読んでいる名著から、
学びをご共有させていただければと思います。

タイトルは、

【今週の一冊(番外編)『ポジティブ心理学の挑戦 ~”幸福”から”持続的幸福”へ~』(1)】

それでは、どうぞ。

■以前から、私の中で、
ずっと引っかかっている葛藤というか、
矛盾のようなものがありました。

それは、「幸せな人生」という
ちょっと大きなテーマについて、です。

■この話を説明するにあたって
思い出すのが、ある私の親友。

彼は本当にいつも幸せそうで、

「そのままでOKだよ」
「毎日楽しめば良いんだ」
「無理しなくて大丈夫」

といつ何時も心から言っています。

そこに何の自己矛盾も、
他者から見た嘘くささもありません。

骨の髄からの純粋な
素晴らしきポジティブ思考。

■そんな彼を見ていると、
「いいなあ」と憧れとともに、
こうも思うのです。

「自分も、彼のように
毎日楽しめばいい、そのままでOK、
無理しなくて大丈夫、と言えるようになったら
本当に、幸福なのだろうか?」

と。

■答えはわかりませんが、
自分の体感覚として、

「何もせず、ありのままでよい」
「今を楽しめばよい」

という感覚だけでいることが
”幸せ”と”充実”にどうしてもなじまず、結局、

・100キロウルトラマラソン
・トライアスロン
・メルマガ毎日配信

など、なんだかMっぽい企画に
身を投じていくことになっています。

■それは、なんでしょう、
自分の中での”満足度の形”が、
ちょっと疲れはするのですが、

「自分を拡げるプロジェクト」
「何かに没入する修行の旅路」

のような刺激物によって
生きている感、命を燃え上がらせている感、
すなわち「自分なりの満足度と幸福」を見出している、、、

と感じていたのでした。

■「そのままでよい」
「今を楽しめばよい」。
とっても、素敵な考えです。

「チャレンジしつづける」
「昨日の自分を超え続ける」。
なんだか、聞いていて暑苦しいです(苦笑)。

本当は温かい、お日様のもとで、
”幸せ”の感覚を毎日味わえれば
それに越したことはない。

しかし、そうありたいけど、そうもなれない
狭間にいることで、

「チャレンジし続けることでしか
満足を感じられない(と感じる)自分」

とは、なんとも生きづらい選択を
しているのではなかろうか、

と感じていたのでした。

そしてずっと、
その「葛藤や矛盾」のような感覚、
あるいは「幸せな人生に対する問い」を持ち、
生きておりました。

■そして思います。

結局、

「『幸せ』とは一体何なのだろうか?」

と。

■そんな疑問を持つ中で
先日紹介され偶然出会った本が、

この、

『ポジティブ心理学の挑戦 ”幸福”から”持続的幸福”へ』

の著書なのでした。

■さてこの著書は、
アメリカの心理学会の会長であり、
ペンシルバニア大学心理学部の
マーティン・セリグマン教授が書いた書籍です。

彼は、心理学部の教授であり、
「理論」として再現性があるものを追求します。
(学問ですからね)

本文でも興味深いことに
セリグマンは以下のように語っています。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私は実のところ「幸せ」という言葉が大嫌いだ。

幸せという言葉はあまりにも乱用されていて、
ほとんど意味を成さない言葉となってしまっている。

科学には使えない言葉だし、
教育、セラピー、公共政策、
あるいは単に自分の生き方を変えるなど、
実践的な目標に対しても役に立たない。

ポジティブ心理学における第一歩は、
この『「幸せ」の一元論』を解消して、
幸せをもっと使える言葉にすることだ。

幸せについて理解するにはそれなりの理論が必要となる。

※本書より引用
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

■うーん、いいですね。

自己啓発と理論は一線を画する感じがします。
期待ができそうです。

ちなみに、上記に書かれていた、

『「幸せ」の一元論』とは、
「人間のあらゆる活動は幸せのためにある」というように
人間のあらゆる動機が、結局はたった一つのものに帰着するという考え方、

のことを意味します。

セリグマンは、
人間のやることはすべて「幸せ」になるためか、というと、
そんな単純なものではない、と言っています。

また、「幸せ」という言葉にも、
それを構成するあらゆる要素があるはず。

それを「理論」として形にしたいと思い
そしてその『幸せの理論』を、

・心理学の見地から
・感覚ではなく理論的に
・かつ実現可能なように

まとめ、
そして一般向けにも分かりやすく書かれた本が、

『ポジティブ心理学の挑戦 ~”幸福”から”持続的幸福”へ~』

なのです。

■では、何が書かれているのでしょうか?

まず、セリグマンは、
「幸せ」という言葉について探求をします。

そして、

”「幸せ」という言葉は問題がある"

と指摘する所から始めます。

明るい感じ、快活な感じ、元気、笑顔、、、。

幸せという言葉は
すぐにこれらの明るいイメージと結びつくものの、
それが「人の選択に影響をどう影響を与えるか」には
明確に説明ができない、とします。

かつ、明るい気持ちがあれば
充実した人生かと言うと、
そういうわけでもなさそうだ。。。

■ゆえに、その探求の先に、

”「幸せ」→「幸福理論」へと一歩進んだ理論”

へと展開していきます。
ちなみに、
幸せより一歩進んだ「幸福理論」とは、
”幸せを3つの異なる要素”に分けて分析するものでした。
その「幸福理論」とは以下のものです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「幸福理論」の3つの要素

1)ポジティブ感情(楽しい、歓喜、恍惚感、心地よさなどの快の人生)

2)エンゲージメント(フロー、時が止まる感覚、充実した人生)

3)意味・意義(自分よりも大きいと信じるものに属して、そこに仕える生き方)
※これらの3つの要素が「人生の満足度」を決めるとする。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■「幸福理論」によると、

ただ、気持ちいい、楽しい、心地よい、
だけが「幸せ」を決めるものではなく

・フロー、没入感を感じられたり(=エンゲージメント)、

・自分が大切だ、意味があると思う仕事やプロジェクトに
人生を捧げると感じていること(意味・意義)、

これらのことも相まって、
「人生の満足度」を定義する、

としています。

■つまり、この理論だけでも、
冒頭に私がお伝えしていた、

私の「幸せ」に対する違和感が
少し拭えたように感じがします。

「今のままで大丈夫」
「毎日楽しめばいい」

その感覚、「幸福理論」の視点からみると、
「1)ポジティブ感情」にのみフォーカスをしている

ということになります。

■しかし「幸福理論」から考えると
その他にも、大切な要素があります。

同時に、私にとっても大事なのは、
それがたとえしんどい事、ドキドキすることでも

「没入感・フローの体験」(=エンゲージメント)

があり、

「大事だと信じることのために突き進むこと」(意味・意義)

があると、やっぱり
「うわー、今めちゃくちゃ命燃やしているわ」
という「人生の満足度」と感じて仕方がないのです。
(私の場合、です)

ゆえに
「ありのままで大丈夫」「今を楽しもう」の
一点突破のポジティブ感情だけで
自分の人生の満足度を高められるものではない、

とも気づき、自分が幸福を感じやすい、
上記3要素の配合比率があるなあ、と感じたのでした。

■、、、と、ここまで
アツく語っておいてなのですが、

実はセリグマンはこの
”「幸福理論」にも不備があった(!)”と
と続けています。

そして、
セリグマンはより発展させた形での

『ウェルビーイング理論』

へと発展させ、更に理論として隙がなく、
より計測可能なものに展開していくのでした。

■ということで、だいぶ長くなりましたので

「幸せ」→「幸福理論」→「ウェルビーイング理論」

の『ウェルビーイング理論』については、
また明日に続けます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

==============================
<本日の名言>

私が科学研究を行うのは、
自然の不思議を理解したいという抑え難い願いからです。
それ以外の感情が動機というわけではありません。

アルベルト・アインシュタイン(ドイツの物理学者/1879-1955)

==============================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す