診断型組織開発とは何か (その4)~アクション計画~
(本日のお話 2115字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
年明けより参加をしておりました、
南山大学、立教大学、玉川大学合同の
診断型組織開発を学ぶ3日間の合宿。
本日も引き続き、
その学びを皆様にご共有させて
いただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは
【診断型組織開発とは何か(その4) ~アクション計画~】
それでは、どうぞ。
■診断型組織開発のステップでは、
以下の8つのステップがある、
とお伝えいたしました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<「診断型組織開発」の流れ>
1)エントリーと契約
2)データ収集
3)データ分析
4)フィードバック
5)アクション計画 → 本日はここ
6)アクション実施
7)評価
8)終結
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
というもの。
■ここまでのお話は、
「1)エントリーと契約」で、
クライアントのニーズを大きく把握、
進め方やお互いの役割を合意し、
「2)データ収集」で
インタビュー、アセスメント、観察などで
プロセスに関するデータを収集。
そして
「3)データ分析」で
クライアントが現状を理解できる
材料となるようにデータを整理し、
「4)フィードバック」で、
データをクライアントにフィードバックをし、
対話を通じて、”プロセス”についての気付きを促進する、
…という内容でした。
■そして今日は、
「5)アクション計画」
ということで
”焦点づけられ、共有された
クライアントのプロセスの課題について
変革をするためのアクションを計画する”
となるよりクライアントに
ググッと踏み込むステージに
進んでいきます。
■ちなみに、
「アクション計画」というと、
・研修プログラムを作る
・研修のタイムラインを作る
みたいにイメージされそうですが、
組織開発は、通常の研修とは違います。
その特徴とは、
”変革のアクション計画も
クライアントとCA(チェンジエージェント)で対話し、
共に作り、合意をする”
ところに違いがあります。
■というのも、組織開発は
『組織の効果性と健全性を高める』
という手法であり、
最終的には外部の介入なし、
つまり「自分たち自身で」
自己治癒、自己改善、自己成長できる
組織をつくっていくのが組織開発なのです。
ゆえに、
1on1のスキルとか、
マネジメントのヒントを伝えるとか、
仕組みを変えるという表層的な事象ではなく、
”組織の水面下で起こるプロセスに目を向ける”
(例:役割、関係性、リーダーシップ、業務手順、雰囲気等)
わけです。
そして、プロセスとは、
”複雑に絡んだ選択肢があり、
一つに特定できるものではない”
という特徴がありますから、
ゆえに、
”クライアントとCA(チェンジエージェント)が
対話を通じて、「何に取り組むのか」のアクションも
共に合意をしていく”
というステップが
組織開発では重要になるし、
また特徴とも言えるかと思います。
■上記の内容も踏まえて、
「5)アクション計画」
におけるポイントとは、
『「あてっこモード」でやってはならない』
ことです。
つまり、
「データを見ていてわかりました。
あなた達の課題はこれです。
こういったアクションで行います」
と当て推量的スタンスを崩さず、
一方的に伝えることはしてはいけない、
ということ。
…というのも、そのような
「あてっこモード」になると、
・クライアントの中に
「そもそもそれが課題じゃないし、、、」と
心理的な抵抗感・反発が起こるリスク
あるいは
・クライアント側に
「あなた方(コンサルタント)が何かしてくれるんでしょ?」という
依存モードが生まれる
ことが起こってしまう可能性があります
■ちなみに上記の
「あてっこモード」のようなものは
組織コンサルタントとして有名な
エドガー・シャインの言葉を借りると
「医師・患者型」
と呼んでいました。
つまり、
”医師として診断し
処方箋(解決策)を提案する”
という関わり方であり、
結果としてクライアントは受身になります。
*
対して、望ましい関わり方とは
「共につくるモード」であり、
それをまたシャイン風にいうなら、
『プロセス・コンサルテーション型(伴走型)』
と呼びます。
それは、
”クライアントが自らの課題を見定めて
自ら課題の解決に取り組んでいく過程を支援する”
というスタンスで関わることです。
■ということで少しまとめると、
「5)アクション計画」において
CA(チェンジ・エージェント)は
「クライアントがアクション実施後に
どんな状態になったら望ましいのか」
(=どこの/誰が/誰と誰が/どんな課題が
どんなふうに変わったら望ましいか)
を解像度高くイメージすること。
そして、
「望ましい状態に到達するために
このようなアクションはどうか」
という提案を考え、まとめること。
しかし、
あてっこ、決めつけをせずに
対話をしながら合意できるように
「余白をつくる」
ことも重要となります。
■あまり粗すぎたり、
抽象度が高すぎてイメージできないと
それはそれで合意が取れない。
しかし、
微に入り細に入り設定をしすぎると
「それじゃない」or「任せるよ」モードに
なってしまう。
ゆえに、
・「対話中心」のアクションプランを提案として作りつつ、
・「余白」を持ちクライントと共に作り、合意する
という微妙なさじ加減を持ち、
”いい感じの中庸”
を目指していくのが大事、
というお話でございました。
*
ということで続きの
「6)アクション実践」については
また明日に続けさせていただきます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
我々を救ってくれるもの、それは友人の助けそのもの
というよりは、友人の助けがあるという確信である。
エピクロス(古代ギリシャの哲学者/BC341-270)
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