今週の一冊『天才性が見つかる 才能の地図』
(本日のお話 3154字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、大学院の仲間の
論文の進捗報告会への参加でした。
お昼は月1回のピアノのレッスンと、家族で公園へ。
また、夜は1件の打ち合わせでした。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日は「今週の一冊」のコーナー。
最近読んだ本の中で、お勧めの一冊をご紹介したいと思います
それでは早速まいりましょう!
今週の一冊は
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<今週の一冊>
『天才性が見つかる 才能の地図』
鈴木 祐 (著)
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です。
■「才能」については、最近ますます注目度が高まっています。
「ストレングス・ファインダー」の無料テスト付きの書籍『さあ、自分に目覚めよう!』は、
日本経済新聞出版社の2022年の売上ランキング1位でした。
また、2023年11月10日にはフジテレビの『ノンストップ!』という番組では、
ストレングス・ファインダーの特集が30分ほどの枠で放映されました。
不透明な時代において、何を頼りにできるのだろうか?
会社や組織もずっと頼れなさそうだぞ。。
そんな中で、最終的に頼れるのは「自分自身」。
そんな自分には一体どんな才能や強みがあるのか、
自分には秀でた何かがあるのだろうか。
それを知りたい!教えてほしい!という欲求が生まれるのは、
まあ、自然な流れとも言えそうです。
■さて、そんな「才能」をテーマにした本は
たくさんあるわけですが、この本はそれらと何が違うのでしょうか。
私が思うのは「科学的論文を渉猟して書かれた本」であること。
著者の鈴木さんは16才の頃から年間5000本もの論文を読み続けているサイエンスライターです。
彼の著書は『YOURT TIME』『無=MU』など、多くのヒット本があります。
彼の書籍では、前半で科学的なデータを紹介する「理論の話」があり、
後半にはそれらの知識をいかに活用するのかという「実践のヒント」が紹介される流れが多いように感じます。『理論✕実践』という構成。
これが、彼の作品に説得力を与えています。
そして今回の書籍もそうした構造で書かれています。
■では、具体的にどのようなことが書かれているのでしょうか?
以下、書籍で何度も紹介される本書のキーフレーズをご紹介いたします。
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<才能のルール>
才能のルール1:人生とは、「異能バトル」である
才能のルール2:才能とは、グループ内の「かたより」が評価された状態である
才能のルール3:ルールがあいまいな世界ほど、あなたは異能バトルに勝ちやすくなる
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興味深いのが「何をもって成功とするのか」の定義をしていること。
本書では成功の定義を
「社会的地位」「収入」という2つが高い状態としています。
(「幸福度」を用いないのはそれが主観的な状況であるため、
判断が難しいからとしています)
■まず、第一部では「才能の誤解」を解いていきます。
才能にまつわる様々な研究から、著者はこれまでの研究と違った立場を打ち出しています。
たとえば、
◯「好きや得意なことで才能を決めてはいけない」
・好きなものは変化していく。
・また好きなものを追えば社会で活躍できるというデータはない。
・あるいは好きなものは必ずしも社会から求められていないことも多い
(好きや得意というと、多くはスポーツや音楽、芸能系になることも多いが、それらの仕事は社会全体の3%しかない)
◯「自然とやってしまうことに注目してはいけない」
・自然とはやっていないが、能力が高いこともあるため
◯「長所を伸ばすより、欠点を直す方が効果量が大きい」
・既にモチベーションが高い場合は、欠点を意識したほうがパフォーマンスが上がりやすい(ただし、若手の場合は、得意なことに集中したほうがモチベーションはあがりやすい)
◯「成功に欠かせない能力というものは存在しない」
・IQと社会的成功の相関関係はない。また、遺伝や生まれの問題より、環境の影響のほうが大きい
などなど。
■これまでの才能や強みのお話について、
むしろ反対する意見を展開しているように見えます。
しかし、ただ反対しているという話ではなく、
現場でどこかで感じている
「強みや長所に注目した”だけ”では、
パフォーマンス上がらない」
と感じる思いに関連する背景や理論を紹介しているイメージ。
「才能に注目すればOK」と主張を単純化するのではなく、
違った視点を提供することで、
「才能を発揮して成果につなげるルール」を、
より正確に伝えることができる話になっています。
■個人的に、本書の一番おもしろかったところは
「才能のルール
才能とは、グループ内の「かたより」が評価された状態である」
という部分。
ちょっと分かりづらいので私の例で説明します。
例えば、私は今大学院のランニング部なるグループに所属しています。
私はこのグループ内では「ランニングが得意な人(才能がある人)」と評価をされます。
これはランニング部というグループ内で、
私のランニング経験が「かたよっているから」です。
しかし、大学院のグループの中では
私の「論理的思考力」はかたよってはいません。
(別にすごくないということ)
それは大学院の仲間にはもっと論理的な人はゴロゴロいるからです。
一方、別のグループにいくと
「論理的思考力はやや強め」という”かたより”による評価が生まれたりします。
私の持っている能力は絶対的には変わらないはず。
しかし「どのグループにいるのか」によって、
才能として評価されるものが変わってくる、ということです。
■評価され、地位や収入が上がる事を成功とするならば、
「1)自分が置かれている場所で評価される」または、
「2)自分が評価される置き場所を見つける」の
いずれかになります。
「2)自分が評価される置き場所を見つける」のは、
それなりの分析時間やトライ&エラーも必要になるかもしれません。
ゆえに、最初の一歩としては「今いる現状」を分析して、
その上でどう戦うのかを考えるほうが多くの人にとってはフィットするようにも思います。
*
そして、どのように自分の「かたより」に価値を与えていくのか。
そのための実践エクササイズとして、
「フィールド分析」「かたより分析」などを踏まえて、
具体的に考えていく提案をしており、これらを踏まえて考えることで
自分の「才能を活かしていく戦術」が見つかるのかもしれません。
■ただ「才能や強みに注目すればいいんです」のほうがわかりやすくて、
ウケが良いかもしれませんが、その背景にあるものも含めて語られているのが本書の魅力だと感じます。
ストレングスファインダーも素晴らしいですし、私もとても好きですが、
もう一歩踏み込んで考えてみたい方などには、特にお勧めしたい一冊だと感じました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<今週の一冊>
『天才性が見つかる 才能の地図』
鈴木 祐 (著)
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