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2889号 2022年1月18日

「上司の攻める姿勢」が部下のアンラーニング(学びほぐし)に影響を与える

(本日のお話 2095字/読了時間2分半)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は終日、若手向けの研修。
その後、12キロのランニングなど。



さて、先日よりご紹介しております、
「アンラーニング」について
引き続き学びのご共有させていただければと思います。

今日は「上司の行動とアンラーニングの関係」についてです。

それでは早速まいりましょう。

タイトルは

【 「上司の攻める姿勢」が部下のアンラーニング(学びほぐし)に影響を与える 】

それでは、どうぞ。

■「背中を見て育つ」

なんて言葉がありますね。

上に立つ人の影響は
大きなものがある感覚があります。



人の成長は『70:20:10の法則』がある、
というお話があります。

ーーーーーーーーーーーーーーーー
70:業務経験から
20:上司など他者の薫陶から
10:研修や本から

人は学び、成長する
ーーーーーーーーーーーーーーーーー

というお話です。

「20:上司など他者の薫陶から学ぶ」

ですが「20」ほどは
他者から学ぶわけで決して小さくもない、

とも言えそうです。
(少なくとも研修よりは影響が大きい)

そして、実際に

「職場の上司の活動が、部下のアンラーニングに
どのような影響を与えるか」

という問いを持ち調査をした、

というのが本日ご紹介するお話です。

■問いとして注目した行動が

「上司の『探索的行動』」

です。

『探索的行動』とは、

”実験的試みを通して
新しい知識を獲得しようとする活動”

を意味します。

(つまり、上司自体が、
やったことがないことに積極的にチャレンジし
革新的な行動をする、ということ)

■探索的行動についてですが、

組織や個人において
「2つの活動の概念」があるとされます。

それは以下の2つです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1)「活用」(exploitation):

・”既存の枠組み”において、
業務を改善・拡張する活動
(=既存の資源を使い、既存の製品を、既存の顧客に提供)

2)「探索」(exploration):

・実験的試みを通して
”新しい枠組み”を見つけてようとする活動
(=新しい知識を用いて、新しい製品やサービスを開発、新しい顧客に提供)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

想像のとおり、

「活用」は、短期的な利益が得やすく、
「探索」は、長期的に勝ち続けるために
必要な活動です。

企業は短期的な利益を得るために
「活用」に重きをおきがち。

ただ著書『両利きの経営』などでは

「活用と探索のバランス」

が企業を短期と長期目線、
双方を見た上で重要である、

と伝えています。

■そして上記の

「活用」と「探索」の考え方は、
個人レベルにも当てはまるとされています。

そして、

”「探索的活動」を行うマネジャーは
新しいルーティンを探索し、

実験的に新しいアプローチをビジネス・プロセスに取り込み、
既存の信念を再考する傾向にある”

とのこと。

探索的活動を重視する上司は
短期だけでなく、新しいことを試し
学ぶのです。

■そして、実際にこのような

”「探索的活動を行う上司」の下で働く部下が、
果たしてどのような影響を受けるのか?”

について、調査を行いました。

結論をシンプルにまとめると、
以下の通りになります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<探索的問い>
「探索的活動を行う上司」の下で働く部下が、
どのような影響を受けるのか?

<調査方法>
・製薬会社A社115名の回答結果から
統計分析を実施

<結果わかったこと>

◯上司の探索的活動は
部下の「学習志向(学び重視)」に影響を与える

◯そして「学習志向」は「内省」を促し
内省が「アンラーニング」に繋がる

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

つまり、整理をすると

「上司の探索的行動」

「(部下の)学習志向を高める」

「(部下の)内省を高める」

「(部下が)アンラーニングする」

というモデルになっていることが
わかりました。

■ここから何が言えるのか?

あえてデフォルメして言うと

(やっぱり)
『部下は上司の背中を見て学んでいる』

という話かと。

上司自身の探索的行動は、

(今の業務プロセス、製品、
サービス、市場などについて)

・新しい可能性を調べている

・やり方を大幅に変更しようとしている

・新しい知識やスキルを学ばないといけない活動をしている

ことに繋がります。

そしてその姿勢を見て、

部下が「自分も学ばなければ」となり、
それが結果的に、部下の働き方を
見直すことにもつながる、

となるのです。

■他者の背中を見て

「学びの姿勢」
「成長しようとするマインド」

を私たちは見習っています。

たまたま今の上司が
その様な探索的な人であればラッキーですが、

そうでなくても、

”自分の所属の枠を超えて(越境して)
革新的な他者をロールモデルにする”

ことも可能です。

つまり、

ボランティア、副業、
地域コミュニティ、社会人学校等、
交流会、勉強会などの

「学びのコミュニティ(実践共同体)」に所属し、
そこから成長マインドを保つこともできます。

■やっぱり

「背中で姿勢を学ぶ」

のはあるようですし、

上司側、部下側、
双方にとって影響を受け合うことが
証明された、実に興味深い事例だな、
と思った研究でした。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

※松尾睦(2021)『仕事のアンラーニング 働き方を学びほぐす』
第5章 P98-112を引用・参考にさせていただきました。

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<本日の名言>

若者を確実に堕落させる方法がある。
違う思想を持つ者よりも同じ思想を持つ者を
尊重するように指導することである。

フリードリヒ・ニーチェ(ドイツの哲学者/1844-1900)

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