メールマガジン バックナンバー

3660号 2024年3月3日

今週の一冊『頭のいい人が話す前に考えていること』(前半_黄金法則編)

(本日のお話 3568字/読了時間5分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日、沖縄から東京へ戻ってまいりました。
良きリモートワークの時間でした。
今週は対面を含めてたくさんの研修があるので、頑張りたいと思います。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日はお薦めの一冊をご紹介する、今週の一冊のコーナー。

今週の一冊は、

======================
<おすすめの一冊>

『頭のいい人が話す前に考えていること』(前半)

安達 裕哉 (著)

======================

です。

それでは早速まいりましょう!

■「2023年ビジネス書ランキング1位!」「いま一番売れている本!」なる帯の書かれたこの一冊。本屋さんに行くたびに、いつも平積みされており、気になって読んでみました。

結論からすると「めっちゃいい本!」の一言。著者の安達さんのブログを拝読している中で、きっと素敵な本を書かれるのだろうな・・・と思っておりましたが、さすが期待を超える作品だと感じました。

■一度読んだら読み返さなくてよいビジネス書
興味深いのが、本の冒頭にて、「”いい本”の定義とは、何度も読み返したくなる本と思うかもしれないが、この本は「一度読んだら読み返さなくて良い本を目指す」」と記載されていました。

確かにビジネス書に求めるのは「仕事の役に立つ」ことです。何回も噛み締めて読むより、自分に役立ちそうなことだけ、短くポイントだけ教えてほしい、そして最大の効果が欲しい、というのが読者の本音かと思います。

この本への期待を言葉にするならば「読むだけで頭がよい人の話し方や思考法が手に入る(できれば一回読んだだけで!)」が正直ところかもしれませんです。都合が良い話はないと思っても、ぶっちゃけそう。
頭良い人が話す前に考えていること、一発読んでそのままインストールしてくれたらどんなにいいことか。

さて、そんな本書の特徴は、最初に「頭がよくなるための法則と思考法」すなわち、「知性と信頼を同時にもたらす『7つの黄金法則』と『思考法』」がまとめられていることです。

それを復習用の二つのシートとして、手元に置いておくことで、頭のよい人が話す前に考えていること、あるいは心掛けていることのポイントを思い出すことができ、意識し続けることができる、という構成になっています。

では、「7つの黄金法則」と「思考法」のポイントとはなにか? 具体的に本書より見てまいりましょう。

■知性と信頼を同時にもたらす「7つの黄金法則」
◯法則1:とにかく反応するな

ヤクザ映画で死ぬのは「感情に反応的になる人」。確かに、反応的になるというのは、何かあったらすぐキレるなどです。自分の周りの知的で頭がよいと感じる人は、誰かの感情や言葉に対して「反応的」になる人はほとんどいません。

知性溢れる人は、動揺しそうな場面でも、自分で受け止めて冷静に対応できます(『7つの習慣』でいう、刺激と反応の間にスペースを開ける(第一の習慣)ができる人)。こういう状況では焦ってしまいそう、感情的になりそう、というところでも自分を客観視する力に優れているように思います。うん、修行が必要です(汗)

◯法則2.頭の良さは「他人」が決める
そもそも「頭が良い」とはなんなのでしょうか?
偏差値が高いこと?、それとも知識が多いこと?、あるいは分析的に考えられること?、はたまた、具体と抽象を往還しながら言葉にできること?、それとも相手のことを配慮しながら言葉を選べること?

これらのことを考えると、「これができれば頭がよい」という「絶対的に共通した基準はないように思えます。ただ、一つ言えること。それは「頭が良いかどうかは決めるのは他人である」ということ。

「勉強ができても、頭が良くない」と評される人もいます(空気が読めない、知識をひけらかす、など)。そう言われる理由は、そこの文脈に応じます。
ただ、周りから「頭が良い」と評価されることは信頼の証であり、自分の企画や考えが周りに伝わりやすくなります。ゆえに、重要です。

とはいえ「頭がよい」の一つの要素を絞ると、そのキーワードは「SQ(Social Intellligence:社会的知性)」だそうです。これは「他者の思考を読み、他者の信頼を得て、他者を動かす能力」とされています。
相手が何を考えていて、どのように対応するのが望ましいのか・・・この部分にアンテナを立てることは「頭の良さ」に関わっている能力と言えそうです。

◯法則3:人は「ちゃんと考えてくれている人」を信頼する

人は、自分のことを「ちゃんと考えてくれる人」を人は信頼します。付け焼き刃で、賢そうなコメントをしている人・乗っかるだけのコメントをする人(たとえば「議論が必要ですよね」「そのアイデアはいいと思います」など)は、実際何も言っていないことがバレているものです。

大学院のリーダーシップの授業で「あなた自身が汗をかいているか」は人に影響を与えるものでもある、と言うコメントが会ったことを思い出しました。要領よくではなく、相手のために寄り添って考えてくれる人に、人は知性と信頼を感じるのでしょうね。

◯法則4:人と戦うな。「課題」と戦え
最近は「論破する」のがショーのように流行っているように見えます。しかし、実際のシャバで相手を論破をしたところで残るのは遺恨ばかり。それが「頭のいい人の行動」とは言えなさそうです。

コミュニケーションの現場で、得たいことは「相手の主張より自分の主張が正しいと証明すること」”ではありません”。得たいことは「相手の主張の奥にある本質的な課題を見極め、解決すること」です。登るハシゴを間違えてはなりません。

◯法則5:伝わらないのは話し方でなく、「考え」が足りないせい
著書に面白い例が紹介されていました。それは、「ある人が告白してフラれたとして、告白の仕方が原因なのか、それとも告白するまでに原因があるのか?」という問いです。

おそらくこの場合、多くの方が「告白の仕方ではなく、告白する”まで”に原因がある」と答えるでしょう。そもそも、よほどまずい告白の仕方をしない限り、相手が告白の申し出を受けるかどうかは決まっていそうです。
しかし、こと「話し方・伝え方」になると、”その場で使えるテクニック”に走ってしまうことがあるのではないか、本書ではそのように警鐘を鳴らします。

型を覚えて、その通り伝えるのも意味がないわけではありません。でも、人は「伝えた後のQ&Aの対話のやりとり」や「引き出しの多さ」などから、知性を感じるのです。
つまり、話し方のテクニックを満たしたからといって、=頭がいいと思われるわけでもありません。あくまでも型は型であり、限界があると知ることが重要なのかもしれません。

研修講師で、シナリオ通りに話す講師は「台本に書かれたイイコト」を言っている風で、頭の良さ(知性と信頼)を感じることはなかったな、と思い出しました。(自戒を込めて・・・)

◯法則6:知識は「だれかのため」に使って初めて知性になる
なまじっか知識があると、それをどうしても伝えたくなってしまうかもしれません。こんなことが知ってるんだよ、こんな情報があるんだよ。その行為は一定の尊敬を集め、承認欲求を満たしてくれるかもしれません。

しかし、このような知識を披露しても、相手の役に立たなければ、「ただの知識の押し売り・ひけらかし」になってしまうのです。こうなっては、知性と信頼を生み出すことには繋がりづらくなってしまいます。

「知識が相手のためになるかどうか?」というフィルターを持ち、知識を常に誰かのためにお渡しする、というスタンスを持つ。これが「知識を知性にする」とのこと。なるほど、気をつけよう・・・!

◯法則7:承認欲求を「満たす側」に回れ
人は「承認」を得たい生き物です。SNSなどは、まさに承認欲求を満たしたツールでもあります。いいね!やスキ!がもらえるとやっぱり嬉しいものです。(うん、すごくわかります)

法則6の「知識を披露したくなる」も、まさにそれゆえ。しかし、「自分が承認欲求をもらう側ではなく、承認欲求を満たす側になると、コミュニケーションの強者になれる」と本書では述べます。人は承認欲求を満たしてくれる人のそばにいたいと思うものです。

では、どうすればよいか? 本書では「自信を持つ(自尊心を高める)」こと、「口でなく結果で有能さをアピールする」と述べていました。また人に対して「親切にする」ことは、誰かの承認欲求を満たすことになります。

よって、「結果を出した上で、人に親切にすること」。これがコミュニケーションの強者となるポイントとのことでした。

■まとめ(前半)

本書は28万部売れて、多くの方が手に取られている著書とのことで、なるほど、読みやすいと感じさせられました。

「論文」のようなフォーマットで、正確に書き記す方法もあります。しかし、論文はやはり読みづらいもの。できるだけ多くの方に知見を届ける上で「わかりやすさ」や「記憶に残るストーリー」などの料理の仕方はとても大事だと感じさせられました。

そして、そうした話を自分自身も引き出しとして持っておきたいものだ、そんなことも思う読書体験でした。(本書では上記の内容一つ一つに、カラフルなエピソードが書かれていますので、ご興味がある方は是非本書をお読みいただければと思います)

ということで、後半は明日に続けたいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

==========================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す