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『居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書』

今週の一冊『居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書』

2838号 2021年11月28日

(本日のお話 2195字/読了時間2分半)


■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、終日大学院の授業。
その後、キックボクシングジムへ。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、お勧めの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は


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『居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書』
東畑 開人 (著)

https://www.amazon.co.jp/dp/4260038850/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_8DRRNJ8XJ9GJNTABWQ8G

=========================


です。



■少し前にもご紹介いたしましたが、
今週の一冊は改めてこの本を。

簡単なあらすじは、

京都大学大学院で心理学のハカセ号を取得した
東畑さん(通称:トンちゃん)が、

沖縄の精神科デイケア施設に職を得て
そこでアカデミックな世界と違う、
リアルな現場での体験を綴ったノンフィクションの物語

です。




■これは私が個人的に
気になってしまう領域なのですが、

「心の傷を癒やす」

という手法については、

なんとなくブラックボックスで
実際にどんな風に関わるのか、

というのはイメージができませんでした。


繊細な領域でもあり、
幼少期の家庭環境等の影響もある、

等でそれらの物語を第三者的に見て
”そういった問題がある”という感覚は、
なんとなく持っていたものの、

それ以上の深さを
理解することはできない、
理解する術を持たないという感覚でしょうか。



■この本のスゴイところは、
著者の東畑さんの巧みな表現力。

重たくなりがちなテーマなのに、

抜群のユーモアを持ちつつ、
デイケアでの日々を、くすりと笑える
エピソードとして描く技量です。


、、、かといって、
ただ面白おかしく書くだけではなく、

学術的な視点も織り交ぜながら、
読み手を飽きさせることなく


・ケアとセラピー
・心の問題とは
・カウンセリングで扱えること
・精神科デイケア業界の闇


などをこの『居るのはつらいよ』という
著者の若き精神科医としての時代を
追体験させてくれるような作品なのです。



■それは著者の方が、

「この世界を伝えたい、
 伝えようとする”意志”」
 
と、

「それらを、専門性を持ちながら、
 一般の人にわかりやすく伝えられる”技量”」
 
が合わさったからこそできる
芸術のようなものだな、、、

と私は思ってしまいました。



■以下、本書のご紹介です。

Amazonにて一部のシーンが紹介されて
おりましたので、そちらも含めて、
雰囲気を感じていただければと。


(ここから引用)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<出版社からのコメント>


主人公の若き心理士は、ようやく見つけたデイケアの職場で、
上司からいきなり「トンちゃん」と命名され、こう言われた。

「とりあえず座っといて」

座ってみる……。凪の時間……。

トンちゃんは1分と間が持たない。
そこで隣で新聞を読みふけっているおばさんに話しかけてみた。

「あの……何を読んでおられるんですか?」
「新聞だけど」

 そりゃそうだ、見りゃわかる。

「……なんか面白いことありますか」
「別に。ただのスポーツ新聞だけど」
「……ですよね」

心理学ハカセの専門性ははかなく砕け散った。

しかし、甲子園に出た興南高校をテレビで一緒に応援したり、
朝夕ハイエースでメンバーさんを送迎したり、
レクの時間に一生分のトランプをすることによって、
やがて「ただ居るだけ」の価値を見出していく。

それにしても、なぜこの「ただ居るだけ」の価値が
人々に伝わらないのだろうか。

トンちゃんは、「居場所」「暇と退屈」「愛の労働」
「事件」「遊び」「中動態」「会計」「資本主義」
などの概念を足がかり、探求を始めた。


この探求の旅は、彼自身の一身上の変化とともに、意外な方向に転換する。

なぜこの「善きケア」がときにブラック化していくのか、
という問いが彼を衝き動かしたのだ。

一般社会で居づらい人たちのためのアジール(避難所)が、
なぜアサイラム(収容所)に転化するのか?

それは偶然の出来事なのか?

ケアという行いに内在した構造的な原因があるのか?

そして、いったい何がケアを損なうのか?

トンちゃんは血を吐きながら(実話)、
じりじりと真犯人を追いつめていく。


――本書の価値は、これらの考察が、
見事な物語として展開しているところにあります。

主人公をとりまくハゲ、デブ、ガリの看護師三人組にはケアの何たるかを教えられ、
強気の事務ガールズのヒガミサと「ケアのダークサイド」に挑み、
月の住人ユウジロウさんには内輪受けのギャグで心底癒されます。

そして最後、主人公がこのデイケアを去るとき、
やくざに追われ続けて20年のヤスオさんとのキャッチボール風景はじつに感動的です。

ここでは詳細は書けませんが、代わりに著者の言葉を引いておきましょう。


「ただ居るだけ」の価値を、
僕は官僚や会計係を説得する言葉にすることはできない。

だけど、僕は実際にそれを生きた。
だから、その風景を、そのケアの質感を、語り続ける。


本書はケアとセラピーについて考え抜かれた思想書であると同時に、
沖縄で知り合った人々との魂の交流を描く、極上の物語です。


*第19回大佛次郎論壇賞受賞、
*紀伊国屋じんぶん大賞をW受賞


※Amazon本の紹介より引用
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)



■、、、気づけば半分くらい
引用になってしまいましたが、

出版社からのコメントからも
そのアツい内容を感じされるかと。

ぜひ、人の心に興味がある方
カウンセリング等に興味がある方、

一読の価値、あるかと思います。


私は本書を読みながら、
なぜだか癒やされた気持ちになりました。
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<今週の一冊>

『居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書』
東畑 開人 (著)

https://www.amazon.co.jp/dp/4260038850/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_8DRRNJ8XJ9GJNTABWQ8G

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