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1722号 2018年11月4日

今週の一冊『ムーブ ユア バス』

(本日のお話 2856字/読了時間3分半)


■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、企業研修の企画。

”よりよい研修を提供する”という
一つのゴールのために、最近ひたすら考えに考えています。

本当にやることがいくらでもあるな、と感じますし、
時間がいくら合っても足りない、と思います。

土日の誰からも連絡が入らない時間に、
集中をして、これらのことを行うことは、

”超重要な投資の時間”

として、大切にしないとな
と最近益々思っております。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、オススメの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は、

==========================

『MOVE YOUR BUS(ムーブ ユア バス)』
(著:ロン・クラーク)



==========================

です。


■この本の「帯」に書かれている、
ある文言が気になり、思わず買ってしまいました。

それは、

”『7つの習慣ティーンズ』のショーン・コヴィー氏推薦!”

という売り文句。

『7つの習慣(ティーンズ)』と
ティーンズの部分がちっちゃく書かれていたのが、
なんとなく出版社の工夫を感じます。。。


いずれにせよ『7つの習慣』の著者である、
スティーブン・R・コヴィー博士の息子さんが、
ショーン・コヴィー氏。

フランクリンコヴィー社の経営にも関わっているので、
個人的に気になりました。



ちょっと余談になってしまいましたが、
ご商会したい一冊の『ムーブ ユア バス』
著者のロン・クラーク氏。

印象的なキャリアを持ちます。


彼は「小学校の先生」でした。

熱量があり、力量もあり、
実際に多くの学生を導いてきた、
「超一流」の先生、といえば正しいでしょうか。

彼は2001年、彼が28歳の時に、
ディズニー社が主催する

『全米最優秀教師賞』

を受賞。

そして、その後、
ローン・クラーク・アカデミー(RCA)を設立し、
教育関係者を対象に研修を行い、
毎年数千人に影響を与えています。

ちなみに『7つの習慣』も学校向けに、

「リーダー・イン・ミー」

という、学校改革プログラムになっていますが、
そのプログラムにも、ロン氏は関わっています。


■そんな、ロン・クラーク氏。

彼が

「良い学校を作る!」

という目的に向かって、
いろんな先生をマネジメントし、
素晴らしい学校を作るメソッドの中で見つけた、

”リーダーシップスタイル”
”組織開発の手法”

があるのです。

そして、それこそが、
今回ご紹介している、

『ムーブ ユア バス』

に書かれているお話です。


■日本の学校教育が難しいのと同じように、
アメリカの学校教育も、大変なようです。

自由なアメリカ、という印象が
もしかするとあるかもしれませんが、
ロン氏いわく、

”平均的な生徒に合わせようとする”

という学校の構造。

そして、

”ダメな教師がいても、
 教師は終身雇用で守られているからクビにできない”

という日本と同じ、あの問題。

そして、

”一生懸命、ダメな先生にハッパをかけても、
 学校全体は、全然良くならない”

という”組織のあるある話”、、、。

そんなことが、
アメリカの学校経営の日常で、
頻繁に起こってきたそうです。


■まるで、私達も直面する、
「現代社会の問題」を風刺したかのようです。

一つ、会社という組織を考えてみても、
そこには、

・一生懸命頑張る人

・それなりに頑張る人

・こなすだけの人

・隠れてサボる人

が、入り乱れている。

その中で、どうすれば、
組織はもっと良くなるのか頭を抱える、
人材開発担当者。管理職、リーダー。

その構造と、非常によく似ています。


■「人材開発」の世界では、


『2:6:2の法則』


と呼ばれる話が、よく話題になります。

内容は、平たく言えば、以下のような話。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・上位2割の生産的な人が、8割の成果を生み出す。

 中位6割は、そこそこやってくれる。でも、
 圧倒的な成果や、組織を圧倒的に進ませてくれるわけではない。

・下位2割は、やる気がなく、何をやるにしても受動的で、
 いつも組織の問題を引き起こす。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

、、、なんとなく、皆さまの日常でも、
思い当たるところがあるかもしれません(汗)


■この『2:6:2の法則』に代表される状態が、

その組織が数名であれ、数十名であれ、必ず現れてくる。

そして、

「上位2割が辞めてしまう」
「中位が一向に自分から動こうとしない」
「出来ない下位2割が気になって仕方がない」
(そして、エネルギーを持って行かれる)

という”悩み”に直面する、

そんな現状があるように思うのです。


■では、そんな中、
私達はどうしたらよいのでしょうか。

そのための一つの方法、
考え方のヒントとして、ロン氏はこう語ります。


『組織を「バス」に見立てよう』


、、、と。



『ビジョナリーカンパニー』という、
ビジネス書のベストセラーでは、
「組織に所属する」というのは、


”同じバスに乗る”


ようなものだと言いました。

組織が目指す方向に、皆で向かっていく。
組織全体が、同じ方向を向く。

だから、組織は組織たり得るし、
相乗効果が発揮できる。

逆に言えば、
「同じバスに乗っていない」人は
組織にいる資格がない、、、

そんな話でした。


■つまり、どんな形であれ、
今いる社員、メンバーは、

「同じバスに乗っている乗組員」

と見立てみよう、とするのです。



しかし、バスには、
”5種類の乗組員”がいるのです。

ここが、ポイントなのです。

具体的には、こんな乗組員。

~~~~~~~~~~~

1人目は、「ランナー」。

バスを前に走らせる。
エネルギッシュで、常に高いパフォーマンスを出す。
組織を前に、前にと進めてくれる。


2人目は、「ジョガー」。

ランナーほどではないが、
バスと同じくらいのペースで合わせるように走る。
自分の役割を全うすることが、自分の仕事であり、
それ以上は自分からやろうとはしない。


3人目は、「ウォーカー」。

その名の通り、歩いている。
つまり、走っているバスのお荷物になっている。
能力不足、熱量不足など理由は諸々だが、
概して高いパフォーマンスが出せず、走ろうとしない、
またはよく躓き、バスのペースを落とす。


4人目は、「ライダー」。

乗っているだけ。完全なお荷物なのに、
椅子が固い、揺れる、など文句ばかり言う。
しかし、バスに乗っている権利は100%あると思っている。
グチが多く、ネガティブな影響を与える。


5人目は、「ドライバー」。

つまり、バスの運転手。
その組織の頭であり、そのドライバーによって、
組織の成果は大きく左右される。

~~~~~~~~~~~~~~~


このカテゴリーで、
組織の乗組員を考えてみるのです。

すると、見えてくるものがある。


■つまり結局は、

『2:6:2の法則』

と同じように、

【皆がランナーになることはない】

という、現実なのです。

当たり前の話を、
違う表現で言っただけ、といえばそうかも知れません。

しかし、

”秀逸なメタファー(比喩)”

というのは、思考を整理する、
強力な武器になり得るのです。

それが、この本の良いところなのでうs.


1,組織は、一つのバスである。

2、そこには、いろんなタイプの乗組員がいる。

3,それぞれの乗組員は、一定数いることを理解した上で、
  「バスを動かす」ために、誰に、どのように接するか考える


という提案を、コミカルに、
かつわかりやすい例えで示してくれているのです。


■この本は、どんな人でも読める、
大変平易な本です。

自分自身のことを考える上でも、
よい振り返り材料になるでしょう。
(自分がウォーカーの場合も、あるかもしれません)

その場合、自分が今何をすべきか、
も提案してくれています。

また、もし皆さまの役割が、
「組織をマネジメントする」であれば
メンバーと接する上での、大きな指針となりうるでしょう。



色々な人がいる中で、

『ムーブ ユア バス』

をするために、何が必要なのか?


それこそが、重要です。

そして、それらを考えたい方には、
オススメできる一冊です。

極論で書いてあることもありますが、
読みやすくて、わかるわかる!となるかと思います。


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<今週の一冊>

『MOVE YOUR BUS(ムーブ ユア バス)』
(著:ロン・クラーク)



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