今週の一冊『ムーブ ユア バス』
(本日のお話 2856字/読了時間3分半)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、企業研修の企画。
”よりよい研修を提供する”という
一つのゴールのために、最近ひたすら考えに考えています。
本当にやることがいくらでもあるな、と感じますし、
時間がいくら合っても足りない、と思います。
土日の誰からも連絡が入らない時間に、
集中をして、これらのことを行うことは、
”超重要な投資の時間”
として、大切にしないとな
と最近益々思っております。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、オススメの一冊をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は、
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『MOVE YOUR BUS(ムーブ ユア バス)』
(著:ロン・クラーク)
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です。
■この本の「帯」に書かれている、
ある文言が気になり、思わず買ってしまいました。
それは、
”『7つの習慣ティーンズ』のショーン・コヴィー氏推薦!”
という売り文句。
『7つの習慣(ティーンズ)』と
ティーンズの部分がちっちゃく書かれていたのが、
なんとなく出版社の工夫を感じます。。。
いずれにせよ『7つの習慣』の著者である、
スティーブン・R・コヴィー博士の息子さんが、
ショーン・コヴィー氏。
フランクリンコヴィー社の経営にも関わっているので、
個人的に気になりました。
*
ちょっと余談になってしまいましたが、
ご商会したい一冊の『ムーブ ユア バス』
著者のロン・クラーク氏。
印象的なキャリアを持ちます。
彼は「小学校の先生」でした。
熱量があり、力量もあり、
実際に多くの学生を導いてきた、
「超一流」の先生、といえば正しいでしょうか。
彼は2001年、彼が28歳の時に、
ディズニー社が主催する
『全米最優秀教師賞』
を受賞。
そして、その後、
ローン・クラーク・アカデミー(RCA)を設立し、
教育関係者を対象に研修を行い、
毎年数千人に影響を与えています。
ちなみに『7つの習慣』も学校向けに、
「リーダー・イン・ミー」
という、学校改革プログラムになっていますが、
そのプログラムにも、ロン氏は関わっています。
■そんな、ロン・クラーク氏。
彼が
「良い学校を作る!」
という目的に向かって、
いろんな先生をマネジメントし、
素晴らしい学校を作るメソッドの中で見つけた、
”リーダーシップスタイル”
”組織開発の手法”
があるのです。
そして、それこそが、
今回ご紹介している、
『ムーブ ユア バス』
に書かれているお話です。
■日本の学校教育が難しいのと同じように、
アメリカの学校教育も、大変なようです。
自由なアメリカ、という印象が
もしかするとあるかもしれませんが、
ロン氏いわく、
”平均的な生徒に合わせようとする”
という学校の構造。
そして、
”ダメな教師がいても、
教師は終身雇用で守られているからクビにできない”
という日本と同じ、あの問題。
そして、
”一生懸命、ダメな先生にハッパをかけても、
学校全体は、全然良くならない”
という”組織のあるある話”、、、。
そんなことが、
アメリカの学校経営の日常で、
頻繁に起こってきたそうです。
■まるで、私達も直面する、
「現代社会の問題」を風刺したかのようです。
一つ、会社という組織を考えてみても、
そこには、
・一生懸命頑張る人
・それなりに頑張る人
・こなすだけの人
・隠れてサボる人
が、入り乱れている。
その中で、どうすれば、
組織はもっと良くなるのか頭を抱える、
人材開発担当者。管理職、リーダー。
その構造と、非常によく似ています。
■「人材開発」の世界では、
『2:6:2の法則』
と呼ばれる話が、よく話題になります。
内容は、平たく言えば、以下のような話。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・上位2割の生産的な人が、8割の成果を生み出す。
中位6割は、そこそこやってくれる。でも、
圧倒的な成果や、組織を圧倒的に進ませてくれるわけではない。
・下位2割は、やる気がなく、何をやるにしても受動的で、
いつも組織の問題を引き起こす。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
、、、なんとなく、皆さまの日常でも、
思い当たるところがあるかもしれません(汗)
■この『2:6:2の法則』に代表される状態が、
その組織が数名であれ、数十名であれ、必ず現れてくる。
そして、
「上位2割が辞めてしまう」
「中位が一向に自分から動こうとしない」
「出来ない下位2割が気になって仕方がない」
(そして、エネルギーを持って行かれる)
という”悩み”に直面する、
そんな現状があるように思うのです。
■では、そんな中、
私達はどうしたらよいのでしょうか。
そのための一つの方法、
考え方のヒントとして、ロン氏はこう語ります。
『組織を「バス」に見立てよう』
、、、と。
*
『ビジョナリーカンパニー』という、
ビジネス書のベストセラーでは、
「組織に所属する」というのは、
”同じバスに乗る”
ようなものだと言いました。
組織が目指す方向に、皆で向かっていく。
組織全体が、同じ方向を向く。
だから、組織は組織たり得るし、
相乗効果が発揮できる。
逆に言えば、
「同じバスに乗っていない」人は
組織にいる資格がない、、、
そんな話でした。
■つまり、どんな形であれ、
今いる社員、メンバーは、
「同じバスに乗っている乗組員」
と見立てみよう、とするのです。
*
しかし、バスには、
”5種類の乗組員”がいるのです。
ここが、ポイントなのです。
具体的には、こんな乗組員。
~~~~~~~~~~~
1人目は、「ランナー」。
バスを前に走らせる。
エネルギッシュで、常に高いパフォーマンスを出す。
組織を前に、前にと進めてくれる。
2人目は、「ジョガー」。
ランナーほどではないが、
バスと同じくらいのペースで合わせるように走る。
自分の役割を全うすることが、自分の仕事であり、
それ以上は自分からやろうとはしない。
3人目は、「ウォーカー」。
その名の通り、歩いている。
つまり、走っているバスのお荷物になっている。
能力不足、熱量不足など理由は諸々だが、
概して高いパフォーマンスが出せず、走ろうとしない、
またはよく躓き、バスのペースを落とす。
4人目は、「ライダー」。
乗っているだけ。完全なお荷物なのに、
椅子が固い、揺れる、など文句ばかり言う。
しかし、バスに乗っている権利は100%あると思っている。
グチが多く、ネガティブな影響を与える。
5人目は、「ドライバー」。
つまり、バスの運転手。
その組織の頭であり、そのドライバーによって、
組織の成果は大きく左右される。
~~~~~~~~~~~~~~~
このカテゴリーで、
組織の乗組員を考えてみるのです。
すると、見えてくるものがある。
■つまり結局は、
『2:6:2の法則』
と同じように、
【皆がランナーになることはない】
という、現実なのです。
当たり前の話を、
違う表現で言っただけ、といえばそうかも知れません。
しかし、
”秀逸なメタファー(比喩)”
というのは、思考を整理する、
強力な武器になり得るのです。
それが、この本の良いところなのでうs.
1,組織は、一つのバスである。
2、そこには、いろんなタイプの乗組員がいる。
3,それぞれの乗組員は、一定数いることを理解した上で、
「バスを動かす」ために、誰に、どのように接するか考える
という提案を、コミカルに、
かつわかりやすい例えで示してくれているのです。
■この本は、どんな人でも読める、
大変平易な本です。
自分自身のことを考える上でも、
よい振り返り材料になるでしょう。
(自分がウォーカーの場合も、あるかもしれません)
その場合、自分が今何をすべきか、
も提案してくれています。
また、もし皆さまの役割が、
「組織をマネジメントする」であれば
メンバーと接する上での、大きな指針となりうるでしょう。
*
色々な人がいる中で、
『ムーブ ユア バス』
をするために、何が必要なのか?
それこそが、重要です。
そして、それらを考えたい方には、
オススメできる一冊です。
極論で書いてあることもありますが、
読みやすくて、わかるわかる!となるかと思います。
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<今週の一冊>
『MOVE YOUR BUS(ムーブ ユア バス)』
(著:ロン・クラーク)
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