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3460号 2023年8月14日

「ハッピー・サーベイ」で終わらせない ~『人材開発・組織開発コンサルティング』 第5章 人と組織の課題解決の7つのステップ(ステップ6 評価する)を読んで~

(本日のお話 3888字/読了時間6分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は、読書。

また面白いと噂のインド映画『RRR』を
AmazonPrimeにて視聴。

感想は、めちゃくちゃ面白かった!

勢いがあるエンターテイメントで、
インドの生命力を感じる作品でした。
お勧めでございます。



さて、本日のお話です。

今日も引き続き、
人材開発・組織開発の「日本初の教科書」である、

『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』
(中原淳/著)


を題材にまとめと感想をお伝えしたいと思います。

本日のテーマは「評価」。

ということで、本日もまいりましょう!

タイトルは

【「ハッピー・サーベイ」で終わらせない

~『人材開発・組織開発コンサルティング』
第5章 人と組織の課題解決の7つのステップ(ステップ6 評価する)を読んで~】

それでは、どうぞ。

■ある業界に所属していると、

”当たり前となっている慣習”

と出会うことがあります

私(紀藤)も軸足を置いている
人材開発・組織開発の世界では

「ハッピー・サーベイ」

というのが
それにあたるかと思われます。

つまり、研修のアンケートで

”参加者の満足度を確認する”

というものです。

「今回の研修に満足しましたか?」という質問が
代表的なものですね。

そして、ネーミングからも感じられる通り
「ハッピー・サーベイ」と揶揄する表現を用いつつ

”参加者の満足度を聞くのは
ナンセンスではないか?”

とする流れがあります。

■さて、そんな風に言われる理由は

「参加者が満足したからと言って、
研修で伝えたかった学びが
”現場で実践される”とは限らないから」

です。

研修の主目的は、

「対象者の行動変容を通じて、
現場と経営にポジティブなインパクトを与えること」

です。

ゆえに、

「満足した」
→「でも何も変わらなかった」

では、正直笑えません。。。

それよりも、

「満足はあまりしなかった」
→「しかし重要なことを学び、現場に活用できると思った」

ほうが本来の目的にヒットしている
と言えそうです。

■もちろん、

こうした評価(ハッピーサーベイ)が
必ずしも悪いとは、思っていません。

その質問が広く使われるようになった背景も、
”研修”という施策が、”現場の人に喜んでもらう”という
機能も果たしています。

理屈っぽく言えば、

「様々なHR施策」は従業員にとって

「組織からの支援を受けている知覚」
(=知覚された組織支援:POS)

に影響があるとされています。

このPOSは
間接的に業績や離職防止、遅刻・欠勤にも
良好な効果を示すとされていますし、

ゆえに「ハッピー・サーベイ」そのものが
100%意味がない、とも思いません。

※参考バックナンバー
↓↓
「うちの会社、うちらのことよく考えてくれてるよね」こそ大事 ー”知覚された組織的支援(POS)”から学びー
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/10864/

、、、ただし、

あくまでもそうした満足度は
”サブ的なものである”、

これを忘れてはなりません。

■一番大切なことは

その研修を行った上での
インパクトをわかるようにすることです。

・その研修は、
どのような目的で行ったのか?

・その目的を達成するために
どのような参加者の行動変容を
実現しようとしたのか?

・それらを定量(数字)・定性(物語)で
経営者・人事責任者・現場など
関係する人々がわかるように取得できているか

というように、

『然るべき方法で「評価」すること』

ここが重要になるわけです。

人と組織二関連する
なんとも目に見えづらい施策だからこそ

・研修の予算を取り
人材開発・組織開発施策を継続するためにも、

・目に見えないプロセスを
継続的に改善させるためにも

とても重要なことが「評価」である。
といえるのでしょう。

■、、、しかしながら、

実態はなかなか悩ましいもの(汗)

一番わかりやすい&やりやすい
「研修直後のアンケート調査」は
最も活用されていますが、

十分がかといえば、そうとも言えません。

しばし、現場や経営から
こういうツッコミをもらうわけです。
(よくあるあるです、、、)

たとえば、

・研修内容は良い評価でも、
現場での実践がされたかどうかを
どのように測定しているのか?、とか

・研修参加者の「事前・事後の行動変化」を測定しないと
研修の成果を測定はできないのでは?、とか

・「研修参加者と、研修に参加しなかった人で比較」しないと、
厳密な研修成果を測定はできない、とか

などなど。

うーん、まさにその通りです。

あるいは、データや数字を使ってみせても

・同じ研修でも
「成果が出た人とそうではない人の違い」は
なんだったのか?

・「どのような内容が、実践に繋がった」のか?
そのためにどんな工夫を参加者がおこなったのか

というような、

アンケート調査の
「5:大変満足したー1:満足しなかった」の
数字では測定できないような”行間”も気になります。

これらのことを評価として知るからこそ、
研修の実施を現場への展開につなげることができる、

という声もあります。

■しかし、加えて悩ましいのが、

「じゃあ、それらのことを
ガッツリ測定しようじゃあないか」

と思っても、

シンプルにそうはいかないこともある、
ということです。

なぜならば「現場の協力」が
必要になるからです。

現場は、忙しいものです。

そこに加えて人事からの

・定期的なストレスチェックの調査票
・エンゲージメント調査の質問票
・他のセルフアセスメント、

などを次々に依頼していたりすると、
現場からの反感につながる恐れもあります。

ゆえにこの施策は
どこまで現場に協力を依頼するのが妥当なのか?

という疑問も考える必要があります。

■、、、というように

一言で「評価」といっても
それに関するアクションを実施する上で

・評価の方法
・評価の水準
・評価のデザイン

など多角的に検討する必要が出てきます。

では、どうすればよいか?

そのための補助線を示してくれるのが
ご紹介する「ステップ6 評価する」の
項目となります。

ということで、以下ポイントを
引用させていただきます。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【第5章 人と組織の課題解決の7つのステップ
(ステップ6 評価する) ポイントまとめ】

・評価の活動は、
・コンサルタントが実施する人材開発・組織開発の品質向上
・クライアントへの説明責任を果たすことにもつながる



<1,評価とは何か?>

1)評価の種類

・形成的評価(Formative Evaluation)
- 「形を整える(=自分の実践を改善する)」ための評価

・総括的評価(Summative Evaluation)がある。
- 「まとめる(=自分の実践の効果を総括する)」ための評価

2)評価の水準

・1950年代、評価の水準についての基本的な考え方を構築したのが、ドナルドカークパトリック。
4段階のレベル(水準)があるとした。
・レベル1:反応→ レベル2:学習→ レベル3:行動→ レベル4:成果

3)評価のデザイン

{1}1群事後デザイン:人材開発・組織開発の働きかけを行ったグループ(実践群)のみ/事後
{2}1群事前事後デザイン:人材開発・組織開発の働きかけを行ったグループ(実践群)のみ/事前事後
{3}2群事前事後デザイン:人材開発・組織開発の働きかけを行ったグループ(実践群)と行わなかったグループ(非実践群)/事前事後
{4}単一事例実験法(ABA法):介入時、介入中断時など、都度都度データを取得する



<2,経営にインパクトを与える評価>

1)企業内における評価手法の選択

・経営にどれだけインパクトをもたらすかによって、
評価レベル・評価のデザインの選択する

2)「研修転移」を測る遅延質問紙調査

・「研修転移」=研修で学んだことを、しっかりと現場で実践し、成果につなげていくこと
(レベル3行動レベルの評価)

・「遅延質問紙調査」:調査であると同時に、
学んだことや自身が立てたアクションプランを思い出すきっかけになり、行動の実践を促す「リマインド効果」もある

3)評価をどこまで行うか

・評価をどこまで厳密に行うのかは、課題の重要性や、
働きかけが経営にもたらすインパクトの大きさ、組織が大切にしている価値観などによる

4)「数字」と「ストーリー」で説得せよ!

・「定量データ(数字)」と「定性データ(生声・エピソード)」を組み合わせると、
経営者・決裁権者・プライマリークライアントへの説得力を増す

・近年よく実践されている方法「サクセスケース・メソッド」。
「研修で学んだことを、どの程度、仕事に活かせましたか?」

※引用:
『人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門』(中原淳/著)
P405~P424
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

■上記のような考えで

評価を行うための枠組みを
いくつも自分の中に持つことができれば、

「これってなんの意味があるの?」

という目に見えづらい人材開発・組織開発の価値を
「見える化する」ことができます。

それは、きっと、
これからますます重要になってくる
人・組織に対する取り組みの価値を広く知らしめる、
創造的な活動でもある、と感じています。

■こうした調査を行うことは、
正直骨の折れることです。

しかし、向き合うことは
これからもますます必要とされてくる、

そうしたことを感じさせられるパートでした。

、、、ということで、明日は

人材開発・組織開発の7ステップの最後
「ステップ7 別れる」に続けます。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

きみは人生を安易にしたいか。
それならば常に群衆の間にとどまれ。
そして群衆と一緒になって、我を忘れよ。

ニーチェ
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