今週の一冊『マラソンは毎日走っても完走できない』
(本日のお話 2546字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、4kmのランニング。
また「アートから生じる学びを考えるワークショップ」への参加でした。
大変面白かったのですが、こちらの学びについては、
また後日ご紹介したいと思います。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、最近読んだ本の中から1冊をご紹介する「今週の一冊」のコーナーです。
今週の1冊はこちら。私の最近の日課のマラソンネタでございます⋯!
─────────────────────────────
『マラソンは毎日走っても完走できない 「ゆっくり」「速く」「長く」で目指す42・195キロ (角川SSC新書)』
小出 義雄 (著)
─────────────────────────────
ふと思えば、マラソン関連の本でも、筋肉理論やトレーニング理論といった少しマニアックなものばかりを読んでいました。
しかし本書は、「Qちゃん」こと高橋尚子選手や鈴木博美選手などを育てた名監督・小出監督による、マラソンの指南書です。
わかりやすい監督の言葉で「(特に初めてフルマラソンに挑戦する人が)何をすればいいのか」が明快に書かれており、改めて自分のマラソントレーニングを見直すきっかけになりました。
そして、たまたまですが、この本を読みながら「なぜ自分が走るのか」についても、あらためて考えさせられました。
ということで、さっそく内容を見ていきましょう!
■フルマラソンを走る全ての人におすすめ
本書は、初めてマラソンに挑戦する人、特に完走を目指す人を主な対象として書かれている本です。
ちなみに「完走」とは、何とか歩いてゴールではなく、最後まで、エネルギーを切らさずに「走り切る」というような意味です。
「初マラソンで完走したい」あるいは、何度かフルマラソンを挑戦して「毎日走っているのに、いつも最後に歩いてしまう」、そんな人たちが、どうすれば最後まで走りきれるのか。
その方法が、平易な言葉で具体的に書かれています。
興味深いのは、序盤では初心者向けのやさしい内容ながら、中盤から終盤にかけて一気に本格的なトレーニング論へと展開していく点です。
たとえば小出監督はこう述べています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
市民マラソン大会に目を向けてみると、レース後半から歩いてしまったり、途中から休憩してやっての思いでゴールする人がとてもたくさんいます。
ゴールまで到達しても、完走できたと言っていいものかどうか。(中略)
たとえば、みなさん「毎日1時間も走っている」と言います。
ところが、よくよく聞いてみると、自宅の周りをトコトコと気持ちよく走ってそのまま帰ってきて終わり。(中略)
では、どうしたら速く走れるのか?
答えは、「トレーニングに負荷をかける」ことです。
本書では、その方法をランナーのレベルに合わせてわかりやすく紹介していきます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そんな事を言いながら、途中から、高橋尚子選手が富士山の山頂付近の標高で何十キロも走ったり、400m全力疾走+200mジョグのインターバルを100本(計60km)走っているというプロのエピソードも紹介していきます。
もちろんプロの選手なので違いますが、同じ人間が、「ここまでやるのか」と圧倒されます。同時に「まだ自分は出し切っていない」と感じさせられるのです。
▽▽▽
結局、人はどんな分野でも、自分の限界をほんの少し超えたところに指先をかけたとき、新しい自分と出会い、力を発揮できるのだと思わされます。
また、小出監督は「食事も休養もトレーニング」と述べ、体重管理やコンディションの理解なしにベストパフォーマンスは出せないと説きます。
いろんなレベルの人が対象なので、真剣にやると、必然的にここまで追求していくことになるわけです。とてもよくわかります。
(タイムを伸ばすために、身体の柔軟性、脂肪を落とすための食事、理想的な休養の取り方、理想的な体型に近づくフォームなどを考えると、結局生活全体のマネジメントになるのですよね⋯!)
超一流アスリートが、どんな視点でレースに臨んでいるのかが丁寧に語られており、とても勉強になりました。まだまだ、自分にもできることはある。そう思わせてくれる一冊でした。
■「ツラいのにわざわざ走る理由」を考えた
この本を読みながら、「なぜ自分は走るのか?」について、ふと立ち止まり、思いました。
というのも、一流のアスリートは「なぜそこまできつい思いをして、練習をするのか?」と疑問に思ったときに、比べようもないですが、同じ問が自分に戻ってきたからです。
少し話が離れますが、私は生まれて初めての著書の執筆をしています。
正直、仕事や子どもと遊ぶ時間を考えれば、ランニングなんてしない方がずっと時間を確保できる。
それなのに、朝から体幹トレーニングをして、顔を歪めながら12kmのインターバル走をこなし、週末は20km走でゼーハー言いながら走る。なぜ、そんなことをわざわざするのだろうか・・・。
その理由は2つあると思いました。(個人的な話ですが)
1つは、「少しでも魂がこもった本として言葉にしたいから」です。
願掛けみたいなものですが「自分が一生懸命生きている」と感じないと、書いている言葉がぶよぶよした、たるんだものになりそうな気がするのです。
それを「肉体的に追い込む」という儀式で補っているように思いました。
2つ目が、「人材開発・組織開発に向き合うため」です。
仕事はありがたいことに順調で、非常に自由もあります。家族経営の小さな会社なので、組織の中での葛藤や摩擦はほとんどありません。
けれども、そんな環境にどこか「負い目のような感情」を抱いているのに、いつしか気付いていました。・・・というのも、多くの人は職場で、さまざまな人間関係やプレッシャーの中で懸命に働いています。そして、人間関係と目標達成など、様々な葛藤の中で働くほど大変なことは、個人的にはないような気がします。その”葛藤”を体験していない自分。そこに少し引け目を感じていたのだと思います。
だからこそ、肉体を極限まで追い込むことで、負い目なくクライアントに向き合いたい。これも、気分の問題ですが、その感覚が、どこかで分を支えてくれるような気もするのでした。
つまり「走ることで、人生に“締まり”が生まれる」ということです。
それが、私にとってのランニングの意味なのだと気づきました。
(もちろん単純にタイムが伸びるのが面白いうのもあります⋯!)
■マラソンシーズンがはじまる
いよいよマラソンシーズンが始まります。そしてこの週末、20kmのタイムトライアルを実施したところ、平均4分11秒/kmで走ることができ、自己ベストを更新しました。
まだ総合力は足りませんが、インターバル走や坂道ダッシュで心肺を鍛えながらスピードを高め、平均4分10秒以内で30kmを走れるようになれば、いよいよサブスリー(3時間以内で走る)が見えてきます。
マラソンも仕事もそのほかも、一生懸命に向き合っていきたい。そう思わせてくれる本でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
※本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。よろしければぜひご覧ください。
<noteの記事はこちら>
