今週の一冊『米国人エグゼクティブから学んだポジティブ・リーダーシップ -やる気を引き出すAI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)-
(本日のお話 3155字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、10キロのランニング。
また、昼からはオンラインセミナーに参加。
「コロナがいかに世の中を変えていくのか?」
というテーマのセミナーでしたが
学ぶこと、考える事が多い内容でした。
たしかに、多くの経済ニュースを見ていると
経済的に厳しくなってくるのは、
これからと想像せざるを得ません。
冬にいよいよ大手の運輸系の会社も危なくなり、
連鎖するようにお金を使わなくなり不況が深刻になる
、、、と想像したときに、
(実際にそうはなってほしくないですが)
この流れが
2021年夏以降まで悪化するという想定で、
ゼロベースで今後の計画を見直そう、
と気を引き締めた次第です。
あまりに「楽観」をしていて、
その通りにプラスにならなかったときのダメージのほうが、
よっぽど恐ろしいものがあるので、
ここは慎重に「悲観モード」で自分を律していきつつ、
今できることを粛々とやっていきたいと思います
また、夜から人がいなくなってからは
妻と2時間ほど空いている街を散歩でした。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、オススメの一冊をご紹介する、
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は
========================
『米国人エグゼクティブから学んだポジティブ・リーダーシップ
-やる気を引き出すAI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)-』
(著:渡辺誠 )
https://www.amazon.co.jp/dp/B01LXZOWZY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_bZxPEbA6NJTK8
========================
です。
■4/25(土)の日経新聞の朝刊に、
こんな記事が掲載されていました。
『テレワークの部下持つ上司 「意思疎通不足」31%』
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58481260U0A420C2L83000/
内容としては、こんなお話。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
テレワークが導入されている中、
民間企業が管理職と一般職にアンケートを取ったところ、
・管理職150人の回答は
「コミュニケーションがなくさびしい 31%」
・一般職150人の回答は
「人間関係のストレスがなく気楽 37%」
「通勤時間がない分、読書や勉強などスキルアップの時間がもてる 38%」
だった。
一般職が集中できて生産性が高まっていると感じている一方、
管理職は業務依頼や確認ができず、成果を出せていないと感じる、
というギャップが浮き彫りになった。
※日経新聞 4/25朝刊より一部引用
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
という記事内容です。
■一部の管理職へのアンケートではありますが、
確かに納得かも、、、と思いました。
実際に私も話を聞いていると、
管理職の方のお悩みも聞きます。
「そもそも管理職の役割ってなんなんだ?」
「自分が見ていないとサボっているのではないかと不安だ」
とか。
おそらく形は様々ではあっても、
テレワークになり、
マネジメントスタイルを内省する管理職の方も、
多くいらっしゃるのではないか、、、
と想像しております。
■さて、そんな中で、
今週取り上げている一冊、
『米国人エグゼクティブから学んだポジティブ・リーダーシップ
-やる気を引き出すAI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)-』
という本。
ちょっとタイトルが長いのですが、
注目されている組織開発の手法、
『AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)』
について、その考え方と具体例について
紹介をしている一冊です。
アプリエイティブ・インクワイアリー(略してAI)は、
appreciate(価値を認める)
inquiry(質問)
が元になった言葉。
直訳すると『価値を見つける質問』という意味になります。
もう少し抽象度を高めると、
”「ポジティブ心理学」を元にした
人の組織の力を引き出す手法”
とも言い換えられるかと。
(ちょっとまだよくわからないですよね)
■この本は、日本のビジネスパーソンが陥りがちな
マネジメントの問題点からスタートします。
日本では課題解決の基本は、
PDCAとか、デミング賞などのTQCが元になっており、
「不具合原因追求型の問題解決」
が多いと著書は語ります。
例えば、問いとして、
「なぜできなかったのか?」
「どこを改善すればよいのか?」
「ミスの原因は何だったのか?」
という”原因を探求する”という問い。
(あるある、という感じではないかと)
■この質問自体が悪い、
というわけではないのです。
ただ、この質問が効果的に機能するのは、
・機械、プロセスなど
”仕組み”にアプローチするとき
であり、
・専門家など、
適切な知識とスキルがあれば難しくとも解決できる
困難系の問題・課題のとき
です。
■たとえば、
車が故障して、赤いランプがついている。
↓
しかし、専門家ではない自分にはわからない。
↓
専門家に見てもらったら
電気系統の◯◯の部分に異常があることがわかった。
↓
だからそこを治そう。
みたいな時は、
「不具合原因追求型のアプローチ」
で良くしていくことはできます。
メイド・イン・ジャパン・クオリティも、
こうやって出来上がってきました。
■、、、しかし、です。
問題なのは、
この「不具合原因追求型の問題解決アプローチ」は
『「人や組織」には向かない』
のです。
確かに
「なぜできなかったのか?」
「どこを改善すればよいのか?」
「ミスの原因は何だったのか?」
を口癖のように聞かれ続けて、
自分の仕事に対する承認や称賛がなかったり
十分ではなかったとしたら。
やっぱり、コミュニケーションは
億劫になっていくでしょう。
また、詰められるのだろうな、、、
と頭によぎると、精神的に、
物理的に距離を取りたくなるのが、
人間というものです。
■原因追求も時には大事。
ただ、人や組織に対しては
基本的なスタンスとして、
「ポジティブなアプローチの方が効果的である」
ということが研究によりわかってきた、
ということ。
ここが、ポイントなのです。
■ポジティブ組織学で有名な
キム・キャメロン教授が語る
『ひまわり効果』
というものがあります。
ひまわりが太陽を向くように、
“人は誰でも、喜び、高揚、充実、幸せ、安心、という
ポジティブな感情を与えてくれる人や組織に近寄りたがる”
という性質のことであり
そして、ポジティブな感情に満たされると、
“人と組織に活力が与えられ、
業績にもプラスの影響がある”
と研究によりわかった、と述べています。
■明確に原因が分かっている問題のときは、
「不具合原因追求型も問題解決」も重要。
ただ、人と組織に関わる複雑な問題、
例えば、
「どうしたらチームのやる気を高められるのか?」
「どうしたら顧客満足度をもっと向上させられるのか?」
「どうしたら皆が生産性高く働くことができるのか?」
というテーマや、人の成長などに関しては
「ポジティブ・アプローチ」のほうがより効果的である
とのこと。
■そして、
そのためのポジティブ・アプローチの手法の一つが、
『AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー=価値を見つける質問)』
とされています。
ちなみに、「これ聞いときゃいい」みたいな、
”魔法の質問”みたいな話ではありません。
(当然ですが)
「価値を見つける質問」は一つの考え方の体系であり
それらを形にし、成果につなげるために、
以下4つの哲学と具体的な手法があります。
基本哲学1:ポジティブの原則(プラスの側面に光をあてる)
基本哲学2:対話による社会構成主義の原則(チームメンバーを尊重する)
基本哲学3:質問による変化創造の原則(効果的な質問で、アイデアを広げる)
基本哲学4:全体巻き込みによる組織力強化の原則
とのこと。
■詳しい具体的な事例や、
どのような質問を、
どのようなタイミングで挟めばよいのかなどは、
ぜひ著書を読んでみていただければと思います。
(「先週学んだことはどんなことだったのか?」
「何があれば、最高のチームになれるだろうか?」など
すぐに使える、よい質問も学べます)
■冒頭に、
『テレワークの部下持つ上司 「意思疎通不足」31%』
の日経新聞の管理職と一般職のギャップを
記載をさせていただきました。
これは私の見解ですが、もしかすると
「不具合原因追求の問題解決型アプローチ」を
良かれと思って繰り返し続けてきた結果、
上司と対話をするのが疲れて、
離れた瞬間に「気楽」と感じた、、、
という一般職の方も、いるのかもしれません。
管理職の皆さまは大変です。
ただ、今求められているものが
「プロセス管理」という
マネジメントの側面だけでなく
「人を育てる」
「メンバーを奮起させる」という
リーダシップの側面を求められているように
私は感じております。
大きなチャレンジですが、
一つ参考になることもあるかな、と思いますので、
ご興味がある方はお手にとっていただければ、
参考になることもあるかと思います。
よろしければ、ぜひ。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
==============================
<今週の一冊>
『米国人エグゼクティブから学んだポジティブ・リーダーシップ
-やる気を引き出すAI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)-』
(著:渡辺誠 )
https://www.amazon.co.jp/dp/B01LXZOWZY/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_bZxPEbA6NJTK8
==============================