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2648号 2021年5月22日

学び方には”2つの志向”がある ~省察とガイドライン、どっちがお好き?~

(本日のお話 2175字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は3件のアポイント。
並びに夜は大学院の授業でした。



さて、早速ですが
本日のお話です。

今日は

「学び方の志向」

について、

最近学んだお話を
(私自身の反省も含めて汗)

皆さまにご共有させていただければと思います。

それでは早速参りましょう!

タイトルは、

【学び方には”2つの志向”がある ~省察とガイドライン、どっちがお好き?~】

それでは、どうぞ。

■オトナの学習で

最も効果的なのは
「経験学習」と言われます。

これまでのメルマガでも
何度もお伝えしておりますが、

経験し(経験)
振り返り(省察)
学びを概念化し(抽象的概念化)
次のアクションに活かす(試行)

を踏み、

”自身の経験を内省し
学びに変えていく”

というのが、

大雑把に言って
「経験学習」と呼ばれるとのこと。

(まあ、細かくは色々あるのですが
ざっくりそんな感じです)

■人は経験から学ぶ。

シンプルかつパワフルで
納得がいくメッセージです。

研究結果でも、
経験からの学びは学習効果が極めて高い、
ともいわれています。

ゆえに、私も企業研修で、
よく使っています。

例えば、

「ワークを通じて、どんな気づき、
学びがありましたか」

と問いかけてみたり、

組織開発的の一つとして
チームコーチングとして関わるときには、

もっとディープに、抽象度高く、

「今、何が起きていましたか?」

なんて、その場に
問いかけてみたりもします。

■そうすると、受講者は、
大体パターンが分かれます。

ひとつは、

「今、ちょっと緊張感が
あったと思います」

と感じたことを
言葉に出せる人。

もうひとつは、

「”何が起きてますか”って
どういう意味ですか?」

と明らかに意味がわからん的な表情を
浮かべている方。

実際、その気持もわかるし、

まあ、そんなものだよな、
でも「内省する」というのは、

大事な学び方だよな、、、

くらいに、私は思っており、
これまでも疑うことなく、

問いを投げておりました。

■そんな中、
「省察的学習」について、

理論的に語っている名著

『教師教育学』(F・コルトハーヘン)

では、”内省する”学びについて、
こんな風に書かれていました。

以下引用です。

(先生を教育する話ですが、
皆さんにも当てはまるお話かと思います)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

一定数の教育実習生は、

省察の技法を実際に用いようとしても
なかなか上手くいかなかったり、

それらの技法にどんな意味があるのか
納得できなかったりするのです。

これは、”学びの志向”と
呼んだものに関連しています。

”内的志向”を持つ教育実習生は、

自身の経験を省察することを通じて学びたがり、

”外的志向”を持つ教育実習生は、

教師教育者からの指示やガイドラインを求めがちです。

後者のタイプの実習生が
自分たちに合わないやり方(=省察的学習)を
学ぶように押し付けられると、

無意味なことに多くの時間を
費やさせられていると感じてしまう可能性があるのです。

※『教師教育学』F・コルトハーヘン.学文社.2010 (P270)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

、、、とのこと。

■つまり、

「どんな気付きがありましたか?」

という省察的な学びが好きな人もいれば、
(=内的志向の人)

「このガイドラインに従って
進めて下さい」

という型に沿った学びが好きな人もいる、
(=外的志向の人)

ということ。

それは学びの志向だから、
いい悪いではなく、

”それ”を求めているわけであり、
求めていない学び方を無理に提供されても

テンション鬼下がりなだけで、

「意味分かんないんスけど」

で終わってしまう、ということ。

、、、これを、この文章を見て、

「あー、たしかにな、、、」
(あの時も、この時もそうだったかも)

と痛く反省をしたのでした。

■そして、上記の文章は、
以下のように続きます。

(引用続き)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

したがって、

外的志向をもつ実習生を
より内的に志向させるための

丁寧に作られた方略が
必要となるわけです。

この方略を展開する際には、

<ゆっくり馴らしながら>

と実行することが大切です。

外的志向の教育実習生に対して

省察技法を用いるように
プレッシャーを過度にかけてしまうと、

逆効果になりかねません。

※『教師教育学』F・コルトハーヘン.学文社.2010 (P271)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

、、、とのこと。

結論からいえば、

省察的な学び方は

多くの研究結果から、
学習効果が極めて高いことがわかっており、

オトナの学びには
長期的に役立つことが証明されています。

、、、でも、
無理強いはいけない。

■あくまでも

「オトナの学びは本人が主体」

であるがゆえに、

すべての対象者に
一つの学び方が当てはまるとは限らない。

「フレーム」や「答え」がほしい
という受講生も存在しています。

そういった受講生の場合には

「効果的な枠組みやガイドライン」を
明確に示すワークのほうが

学習者にとって効果的と言うことを
もっともっと理解しないといけないな…

そんなことを書籍を読みつつ、
思ったのでした。

■人と人に相性があるように、

学び方も、人により
”合う・合わない”がある。

理論的な結果がある、と
変に見てしまっていると

「これがいいのだ!」

と思いがちですが

学びも知識も、
その人それぞれにアレンジして
届ける事は極めて大事である、

当たり前のことではありながら、
改めて「主役は人である」ことを

しみじみ感じた次第でございます。

自戒を込めて。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

私は現実をしっかりと見据えた
理想主義者でありたい。

ロバート・ケネディ(米国の政治家/1925-1968)

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