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2902号 2022年1月31日

「ジョブ・クラフティング行動」を測定する尺度 ~4つの因子と21の質問~

(本日のお話 2706字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

さて、少し間が空きましたが
先日よりお届けしております

「ジョブ・クラフティング」

をテーマに、本日もお届けして参りたいと思います。



今回はジョブ・クラフティングの研究の著しい増加に繋がった、
とある論文をご紹介させていただきます。

被引用数1598と、多くの論文等で引用されている、
オランダの研究者による論文で、

MariaTims、Arnold B.Bakker、DaantjeDerks(2012)
『Development and validation of the job crafting scale』
(ジョブ・クラフティング・スケールの開発と検証)

というタイトルになります。


曰く、

”このオランダ(研究者の)グループが
 シンプルなモデルに依拠してジョブ・クラフティングの概念の操作を測り、
 量的測定尺度を開発したことが、研究に寄与している(高尾,2019)”
 
そうです。

ジョブ・クラフティング研究が飛躍するきっかけになった論文とのことで
実に楽しみでございますね。

それでは参りましょう!

タイトルは



【「ジョブ・クラフティング行動」を測定する尺度 ~4つの因子と21の質問~】



それでは、どうぞ。



■ジョブ・クラフティング。

”仕事を手作りする”

という考え方。

これまで、

・ジョブ・クラフティングとエンゲージメントの関係
・ジョブ・クラフティティングの3つの次元
・ジョブ・クラフティングが組織と個人にもたらす意義
・ジョブ・クラフティングとジョブデザインの違い
・ジョブ・クラフティングに影響を与える3つの動機と2つの要因

等についてお伝えしてまいりました。

※詳細はバックナンバーより↓↓
https://1lejend.com/b/HSfoIRnMfw



■さて、今日は具体的に、

”ジョブ・クラフティング行動を測定する
 尺度についての研究”

お伝えいたします。

これはオランダの心理学の博士課程の研究者が3名で
それらの因子の信頼性を検証した論文です。



以下、研究の内容と、
そこから導き出された4つの因子と21の質問を
見てまいりましょう。

(ちょっと論文を引用しているので
 堅苦しい感じになっておりますが、、、
 雰囲気を掴んでいただければと思います)

 (ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ジョブ・クラフティング行動」を測定する尺度の開発の研究(論文より抜粋)

<研究の方法>

・オランダのウェブサイト上のオンラインアンケートを用いて収集
・参加375名。平均して週に1時間20分以上働いている人を対象にした
 女性比率が66.9%。平均年齢は44.5歳。学士号以上が70%と教育レベルが比較的高かった
・殆どの従業員は、ヘルスケア部門(19.6%)、サービス部門(18.2%)、教育部門(10.2%)、情報技術部門(7.6%)、卸売・小売部門(7.3%)に勤務


<尺度の構築方法>
・ジョブ・クラフトのモデル「JD-Rモデル(仕事の要求-リソースモデル),Bakker&Demerouti 2007」と呼ばれるものを活用
 内容は1)仕事資源の増加、2)挑戦的な仕事の要求の増加 3)妨げとなる仕事の要求の減少 となる
・ジョブ・クラフトの3つの次元を捉える42の項目を構築した
 そこには先行研究の職務特性モデル等を活用した
・博士課程の心理学者3名でレビューをし、尺度の因子構造と信頼性を調査
・結果、42の項目→21の項目、3つの因子→4つの因子 となった
・以下を1=全くない、5=頻繁にある、を用いて回答した


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<ジョブ・クラフティング尺度>

●仕事のリソースを増やすこと(因子1)
1,自分の能力を高めるために努力している
2,自分をプロフェッショナルに育てようとしている
3,仕事では新しいことを学ぼうとする
4,自分の能力を最大限に発揮することを心がけている
5,自分の行動は自分で決める

●仕事の要求が減少すること(因子2)
6,自分の仕事が精神的にきつくならないように配慮する
7,自分の仕事が感情的にならないように心がける
8,感情的に影響を与える問題を抱えた人との接触を最小限にするように仕事を整理する
9,非現実的な期待をしている人との接触を最小限にするように仕事を整理する
10, 仕事で難しい決断をしなくて済むようにしている
11,一度に長時間集中する必要がないように、仕事を整理している

●仕事の支援のリソースを増やす(因子3)
12,上司にコーチを依頼する
13,上司に自分の仕事に満足しているかどうかを聞く
14,上司から刺激を受けている
15,自分の仕事ぶりについて他人にフィードバックを求める
16,同僚に相談をする

●挑戦的な仕事への要求の増加
17,面白いプロジェクトがあれば、自分から積極的にプロジェクトに参加する
18,新規案件があれば、真っ先にそれを知り、試してみる
19,仕事でやることがないときは、新しいプロジェクトを立ち上げるチャンスだと思う
20,余分な給料をもらっていないのに、定期的に余分な仕事を引き受けている
21,仕事の側面間の根本的な関係を検証することで、仕事のやりがいを高めるようにしている
=================================

※MariaTims、Arnold B.Bakker、DaantjeDerks(2012)
『Development and validation of the job crafting scale』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

■さて、いかがでしょうか。

研究の方法は少し専門的な雰囲気もありますが、
ジョブ・クラフティング行動の尺度については
見てみると、感覚的に納得できるのも多いのではないでしょうか。



個人的に、興味深いな、と思ったのが、
ジョブ・クラフティングの因子に、

「仕事の要求を減少すること」
(=感情的に影響を与える問題を抱えた人との接触を最小限にする、
  非現実的な期待をしている人との接触を最小限にする等)
 
など自分のストレスを減らすことも
ジョブ・クラフティングとされているところ。

実に現実的だな、と感じます。
(確かに感情的、あるいは面倒くさい人と一緒には
 仕事はしたくないのが本音ですよね←少なくとも私はそう)
 


■これが即、
仕事に繋がるというわけでもありませんが、

「ジョブ・クラフティング行動」を
それを構成している要素に分けてみると、

”どのような行動を
ジョブ・クラフティングというのか?”

がより明確になるかと思います。

そして明確になったものは、
活用がしやすくなるものです。


■もちろんあくまでも
「ジョブ・クラフティング」とは一つの概念。

より上位概念であり、
業績に資すると考えられる
「ワークエンゲージメント」を高めるための要因
すなわち、”ひとつの登り方”にすぎない、

とも言えます。

ただ、こういった

「ジョブ・クラフティング行動」と呼ばれるものを
4つの因子、21の質問のように因数分解したものを知っておくことで、
現場にも活用しやすくなるのだろう、とも感じるので、
知っておくことも意味はある(はず!)。


、、、ということで、今日は
”「ジョブ・クラフティング行動」を測定する尺度”について
皆さまにご紹介させていただきました。


明日は、『ジョブ・クラフティング入門』という書籍で
これらの尺度をセルフチェックシートのような形で
活用しやすくなっているものがありましたので、
そちらをご紹介させていただければと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

幸せを与えてくれるのは、富でも豪華さでもなく、
穏やかさと仕事である。
トーマス・ジェファーソン(アメリカの第3代大統領)

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