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2458号 2020年11月13日

質問の技術(6) 〜『空白効果』。その場で答えられない深い質問は、時限爆弾のように効いてくる〜

(本日のお話 2056字/読了時間3分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は朝から1件のシステムコーチング。
また、夕方から2件のアポイント。

あと私事ですが(どうでも良い話ですが)
夕方から頑張っていたご褒美として
マッサージ110分コースに行きました。

60分2980円のマッサージ店なのに
ものすごく上手な方がいて、
その方を指名して施術をうけました。

癒やしって大事だなあ、と思った夜。




さて、本日のお話です。

さて、気づけば20回以上に渡ってお届けしてきた
コーチングシリーズのメルマガ。

終局に近づいてまいりました。
もう少しだけ続けさせていただきます。

本日も引き続き「質問」をテーマにお届け致します。
それでは早速まいりましょう。


タイトルは、


【質問の技術(6) 〜『空白効果』。その場で答えられない深い質問は、時限爆弾のように効いてくる〜】


それでは、どうぞ。



■コーチングなどで
お話をさせていただく際に、

こんな問いをさせて
いただくことがあります。


「5年後、どうなっていたいですか?」


というような問い。

未来に思考を飛ばす問いです。



■この手の質問は、
好き嫌いがわかれます。

未来を考えるのが好きな人は
喜々として考えますし、

今を生きることを大切にしたい人は、
いや、5年後なんて状況変わっているから
あんまり考える気がしない…

という人もいます。


ただ、総じて言えるのが、

”「5年後、どうなっていたいんですか?」
みたいな質問は、されたことがほとんどない”

ということです。


その他、
「どんなマネージャーになりたいんですか?」とか、
「目標はなんですか?」みたいなものそう。



■すなわち、目の前の現在のことは
日常で聞かれることはあっても

・「未来」に思考を飛ばす質問、とか
・「価値観」に深くふれる質問

などは、日常で
めったに問われることがない、

ということかと。

多分、このあたりは
皆さまの職場を見渡しても、
同意いただけるのではないかな、と思います。



■すると、いざ質問された時に、

「え、5年後…ですか?
考えたこともなかったです」

となりますし、

「どんなマネージャーになりたいか?
うーん、なんですかねえ…」 とか

「え、目標ですか?
そりゃ今期の数字達成ですよ」
と、すぐに答えが出てこず立ち往生したり
目先のよく考えている思考パターンにとどまる
ということが、ままあるわけです。

これは悪いことではなく、
実際、そういうものだと思います。



■ゆえに、

「ぜひ考えておいてくださいね」

なんて終わるのですが、
面白いのがしばらくたったその後です。


それから再度くらいして
同じ方にコーチングをすると、
こんなことを口にする方が出てくるのです。


例えば、

「どんなマネージャーになりたいか?

あれから考えてみて、
”大仏のように動じないリーダー”に
なりたいんだなって思いました」

とか

「5年後なんですけど、、、

自分で独立をしてプロのコーチとして
社内・社外で活躍できるスキルを身につけておきたい、
と思いました」

など、口にすることがあるのです。

頻出ワードは、

『あれから考えていたのだけど…』

という枕言葉です。

そうなのです、
人の人生は続くし、
問いも頭の中で続いているのです。



■質問は、実にパワフルです。

そのパワフルさは、
時間を超えて働き続ける


【空白効果】


に、質問の効果を
見て取ることができます。



ちなみに、空白効果とは
何かというと、

”質問に対して、
答えが見つかるまで
脳が答えを探し続ける”

という効果のことです。


そのため、その時に答えられなくても、
深く意味がある問いであれば、
自動追尾ミサイルのように、
時限爆弾のように、

”問いの答え”を見つけるように
脳が無意識下で働き続けるのです。

これが、実に面白い。



■この作用、心理学では、
『ザイガニック効果』とも言われます。

よくある、

「あー、顔は分かってるんだけど、名前が出てこない!」とか
「あの曲、タイトルなんだっけ、、、?ほら、あのドラマの!」

というモンモン感のあとの、突然の、

「そうだ!あの人の名前、斎藤さんだ!」とか
「あ、あの曲のタイトル、◯◯だ!」

と忘れていたのに
数日後閃くように思い出す、
、、、というアレです。

つまり、繰り返しますが

”人間の脳には、
答えが出るまで探し続けるという習性”

があるということ。



■質問も同じ。

答えを発見できたら
とても重要な価値を持つ質問。

例えば先程お伝えした
未来や価値観を問うもの。


Q、あなたの目標は何か?
Q、あなたの強みは何か?

Q、どんな自分になりたいのか?

Q、自分を制約している思い込みには何があるか?

Q, なぜ、人前で発言することを恐れているのか。
いつから、そのような思考が働き始めたのか?


などなど、

・未来の可能性を考える
・無意識のバイアスに気づく

等の問いを投げかけたとしたら。

その場では答えはでずとも、

問いが回り続けて
何かしらの答えを見つけたとしたら

その人の考え方や人生に
大いなるインパクトを与えるはず。


人は、自覚なくして
自己改善はできないのですから。



■コーチングでは(1on1でも)、

”継続性の原則”

があります。

コーチングは1回やったからといって
必ずしも何かが劇的に変わる、
というわけではありません。


コーチングは”継続”して、
コーチとクライアントが共に、

目標、ありたい姿を認識し、
現在の場所を認識し、
そして常に、進むべき方向を
模索しながら歩み続けるプロセスにこそ

真価を発揮するものです。

ゆえにコーチは、
その場で答えられなかったとしても、

その人が気づいていない
でもとても大切な深い問いを投げかけ続けること。

そして、


【空白効果】


を発動させること。

質問の技術として、
とても大切なことの一つであろう、
そのように思っている次第です。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。


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<本日の名言>

いかにして待つかを知ること、
これこそが成功の最大の秘訣である。

ジョゼフ・ド・メーストル(フランスの思想家/1753-1821)

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