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3043号 2022年6月21日

「働くことの意味」の研究(2)ー意味が発生する7つのメカニズムー

(本日のお話 2440文字/読了時間4分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
その他研修プログラムの作成、
また夕方から10キロのランニングでした。



さて、本日のお話です。

昨日は「働くことの意味」をテーマに、
メルマガをお届けいたしました。
↓↓
<「働くことの意味」の研究 ー自己実現は一部の人の娯楽かもしれないー>
https://1lejend.com/b/detail/HSfoIRnMfw/4218404/

そして書きながら思ったのが
やっぱり「意味を感じる」って大事だな、と。

何に意味や価値を置くかは人それぞれですが、

自分が特に大事にしている
「働くことの意味」を自覚することは、

自らを客観的に見つつ、
自燃するためにも大切なことだと
感じております。

、、、ということで
本日も同じテーマとなりますが、
もう一歩深めさせていただきつつ、
気付きと学びをご共有させていただければとと思います。

それでは早速参りましょう!

タイトルは

【「働くことの意味」の研究(2)ー意味が発生する7つのメカニズムー】

それでは、どうぞ。

■「意味を感じる」ことは、重要です。

そこに何の意味も持てないとき、
人は精神的に弱くなってしまい、
脆くなってしまうこともあります。

■そんな話に関連して、

『夜と霧』

という本に触れたいと思います。

ナチスの強制収容所経験に基づいて
ユダヤ人ヴィクトール・フランクルによって
1946年に書かれた作品で

心理学者としての彼の視点から、
限界状況で人がどのような精神を持つのかを描き、
生きる意味や意義とは何かも考えさせられる、
素晴らしい名著です。(本当にオススメです)

その中で、心理学者のフランクルが
肉体も精神もギリギリで、なんとか己の生命を
かろうじて支えている囚人が亡くなるときは、

「がんばり抜く意味を見失ったとき」

であると言いました。

「意味を持つ」ということは、
自分たちの心身に影響を与える
大きな要素の一つである、

そんな事を考えさせられた話でした。

■ちょっと大げさなようですが、
抽象度を高めると、
私たちの「働くこと」も同様かもしれません。

きっと、人はそこから
何かしらの「意味」を考えるものですし

それができることで
頑張ろうとすること、楽しもうとすることなどを
意図的に創出しているようにも感じます。

では、そんな

「働くことの意味が発生するメカニズム」

とは研究の観点から見ると、
一体どのようなものがあるのか?

この事をアカデミックな視点からも
見てみたい、と思います。

■そこで参照にしたいのが、レビュー論文

"On the meaning of work: A theoretical integration and review"
([日本語訳]働くことの意味について:理論的統合とレビュー)
Rosso, Dekas, Wrzesniewski(2010)

です。

論文の後半では、

『「働くことの意味」が発生する7つのメカニズム』

について先行研究からまとめています。

以下が、それらの7項目となります。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<1、真正性(Authenticity)>
(1) 自分の興味や価値と一貫して行動していると信じる度合い(Sheldon & Elliott, 1998)
(2)人のアイデンティティを確認、肯定、 または活性化する
(3)仕事への個人的な関与であり、仕事という経験に個人的に没頭し 、生きていると感じること(Deli & Ryan, 1985; Kahn, 1990)

<2、自己効力感>
(1) 自分の仕事の達成方法を自主的に変更するために行動し、そのために 自律性と支援があると感じる
(2)仕事上の課題をうまく克服することによって得られる感覚(学習、成長実感など)
(3)仕事によって組織にポジティブな影響を与えていると感じるとき

<3、自尊心>
(1) 個人または集団の達成によって個人がどのように価値と自己価値を感じるか、
そしてその自尊心から生じる意義について検討(Baumeister & Vohs、2002年)。
例)職場で生き生きとして、やりがいのある活動をしていると、組織に価値ある貢献をしたと感じる

<4、目的>
(1)(社会において)仕事の意義が認められている
(2)集団における価値システム(価値観や規範)と合致している

<5、帰属意識>
・帰属意識とは、「持続的で肯定的、かつ重要な対人関係を最低限形成し維持しようとする衝動」
(1) 個人は望ましい社会集団の一員でありたいという動機づけ
(2) 親近感などより感情的な経験

<6、超越性(Transcendence)>
・超越性とは、自我を自己よりも大きな存在、あるいは物質世界を超えた存在と結びつけること、あるいは 超越することを指す(マズロー,1971)
・所属する組織、家族、社会的集団などとの物質世界を超えた接独

<7、センスメイキング>
・文化的・対人的なセンスメイキング
・様々な仕事の意味がどう形成されるかに注目する研究
・他のメカニズムが主に自己の欲求に注目している中、社会環境の役割、それに伴う意味の形成に注目している

※Rosso, Dekas, Wrzesniewski(2010)
"On the meaning of work: A theoretical integration and review"
([日本語訳]働くことの意味について:理論的統合とレビュー)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

とのこと。

なんだか、文字多すぎで
ちょっとしっくりこない、

という感じかもしれません、、、(汗)

■ただ、上記内容を、

”自分自身が「働くことの意味」を見出したプロセス”

と照らし合わせて見てみると、

「なるほど、たしかに、、、」と
思えてくるものもあります。



例えば、私(紀藤)の場合は
"自分の興味や価値と一貫して行動している”
(=1,真正性)

というのは働く意味につながっています。
(人材開発・組織開発の仕事に携わることができるのは、
半分趣味のようなところもあります)

あるいは、仕事は全部自分で決めて、
自分が行いたい、大事だと思う仕事のみを
選ぶことができている、という意味で、

”2、自己効力感”

も働く意味として感じることが出来ています。

■その他の分野の

・帰属意識
・超越性

などについては
そこからは自分はあまり意味を
見出していないようにも感じますが、

多分それらも、別の状況下では
自分にとっても「働くことの意味づけ」に
なることもあるのだろう、と思います。

■毎日関わり続ける「働くこと」に
何かしらの”意味”を見出すことは重要です。

そしてそれにはいくつかの
「山の登り方」のようなものがある。

そしてそれが今回ご紹介した
7つのメカニズムなのでしょう。

もし全部が満たせなくても、

そのうちのいくつか、
「ここは満たせる」と思うところを強化することで、

自らの「働くことの意味」を意図的に
見出すことに近づくことが出来るの(かも)しれません。

そういった意味でも全体像を知ることは
価値があることだと感じております。

■、、、となんだか
わかったようなクチを聞いてしまいましたが、

働くことの意味と
それが出来上がるメカニズムは
実に幅広いんだなあ、、

と私自身、とても勉強になった次第。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

海よりも広いものがある。それは空だ。
空よりも広いものがある。それは人の心だ。

ヴィクトル・ユーゴー(フランスの詩人/1802-1885)

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