メールマガジン バックナンバー

今週の一冊『絶対悲観主義』

今週の一冊『絶対悲観主義』

3083号 2022年7月31日

(本日のお話 2554字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

夏真っ盛りですね。

昨日土曜日は家族でお出かけ。
東京ドームシティの「アソボーノ」なる子供と遊べる場所にいきましたが、
なかなか楽しい時間でございました。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日はお勧めの一冊をご紹介する、
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は、

=========================

『絶対悲観主義』

楠木建(著)


=========================

でございます。

■絶対悲観主義。

このたった6文字なのに、
なんとも言えない力を感じます。

この本の帯には、こうあります。

「心配するな。
きっとうまくいかないから」

、、、。

残念な言葉なのになぜか、
ちょっとホッとする。

それは、ポジティブに頑張ろうとするけれども、
心の何処かでちょっと疲れている時もある、

そんな普通で一生懸命な方にとって、
「それでいいんだよ」という承認と、
癒やしにも見えるからかもしれません。

■さて、著者の楠木建さんといえば、

『ストーリーとしての競争戦略』
https://www.courage-sapuri.jp/backnumber/9202/

がベストセラーとなったことで
知られている方です。
(すごい名著です)

また競争戦略の第一人者として、
一橋大学イノベーション研究センター助教授として、
また様々な企業の戦略における
顧問としても活躍されている方。

そんな方が、言葉を巧みに操り
非常にユーモラスかつ、説得力を持って

『絶対悲観主義』

の素晴らしさを語られています。

フツーの人が幸せに頑張るために、
大切な心構えを教えてくれているようで、
私はこの考えの虜になってしまいました。

■ではこの『絶対悲観主義』。

どんな内容かというと、
以下のようなお話となります。
著書より、まとめてみました。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<絶対悲観主義とは>

◯「絶対悲観主義」の背景

・全力を出して100%やるのは大変である。
フツーの人は、勝ち負けにこだわれず、
モチベーションもわかず、頑張りが効かないこともあるよね。

・しかし著者は思う。
『007』のジェームズボンドのように余裕綽々な姿はカッコいい。
なぜ余裕綽々かというと、「8割の力でタスクを遂行できるから」。

・じゃあ、我々も「8割の力」でやれば、余裕綽々感は出る。
健康にもイイ。しかし残念なのは、私たちはジェームズボンドではないので、
タスクを完了させられない(=客観的に見れば手を抜いているだけとなる汗)

・じゃあ、どうすればよいのか。
フツーの人が日々幸福感を持ちながら、
”実用的な仕事の哲学”としてどんな考えを持てばよいのか。

ここで、『絶対悲観主義』にたどり着いた。

◯「絶対悲観主義」の考え方

・「自分のような大甘の凡人にとっては
うまくいくことなんてほとんどないのが当たり前」という前提に立つ。

・特に仕事は「お客」がいるので、
”絶対に”、自分の思い通りにならないと割り切ること。

・ポイントはただの悲観主義ではなく「絶対」とつくところ。
仕事の種類は性質、状況に関わらず、
あらゆることについてうまくいかない前提を持つ。

・具体的にはこんな感じ。
思考「まあ、うまくいかないだろうな」↓
行動「ま、ちょっとやってみるか・・・」

◯絶対悲観主義の理想のパターン

1,事前にうまくいくと思っていて、やってみたらうまくいった
2,事前にうまくいかないと思っていて、やってみたらうまくいった
3,事前にうまくいくと思っていて、やってみたらうまくいかなかった
4,事前にうまくいかないとおもっていて、やってみたらやっぱりうまくいかなかった

・理想の順番は「2」。
事前にうまくいかないと思ったが、やったら意外とうまくいった。
最悪なのは「3」。
事前にうまくいくと思っていたのに、うまくいかなかった。

・こういう前提で捉えておくと、うまくいったときに大変気分がイイ。
幸福度もとても高い。失敗しても別に落ち込まない。

※楠木建(2022)『絶対悲観主義』.講談社出版、P12-14より一部抜粋
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

■さて、いかがでしょうか。

非常に面白いです。

実に合理的だし、
かつ幸福度は高そうです。

この「絶対悲観主義」を持っていたら、
新しいチャレンジにも手を付けやすいようにも思われます。

自分は非凡である
→うまくいかない
→自信をなくす

という凹み方よりも、

自分は大甘の凡人である
→でも、やってみるか・・・
→あれ、うまくいった。嬉しい

というスタンスを貫いたほうが
常に謙虚に、チャレンジし続けられそうです。

■この話を見て、思い出すことがありました。

それは昔、「飛び込み営業100件」を
やっていた頃の話。

その時のスタンスは

「どうせまた断られるだろうな」
「でもやるだけやってみるか」

でした。

飛び込み自体は大変でしたが
確かに、アポイントが取れた時、
あるいは優しい対応をしてもらえた時、
極めて嬉しかったことを覚えています。

■しかし、年を経ると、
人はどこか驕ってしまうようです。

別に何がすごくなったわけではないですが、
自分にちょっとした自信がついてくると、

たまたま人に恵まれただけだったり
運が良かっただけなのに、

下手に調子に乗ってしまうことも確かにあるな、、、
と振り返り思います。

そうやって、凡人が非凡のふりをして
「うまくいかない」と悲しい気持ちになるのは、
エネルギーの無駄遣いのようにすら思えます。

■と、いうように、
一つの思考方法(絶対悲観主義)を持つと

日々の幸福感を高めて、
自分の背中を押してくれる可能性があります。

そんな「絶対悲観主義」に立った様々な発想法を
著者の楠木建さんの視点から、
独自のユーモラスな語り口で、

「こんな考え方はどうでしょうか?」

と提案してくれる一冊です。

項目としては以下のように幅広く触れています。
きっと参考になる考え方が見つかるのではないでしょうか。

<目次>
第1章 絶対悲観主義
第2章 幸福の条件とは
第3章 健康と平和
第4章 お金と時間
第5章 自己認識
第6章 チーム力
第7章 友達
第8章 オーラの正体
第9章 「なり」と「ふり」
第10章 リモートワーク
第11章 失敗
第12章 痺れる名言
第13章 発表

最後に、以下著書より本の紹介文です。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
みなさん、がんばりすぎていませんか?

そんなに心配することはありません。
なぜなら、そもそも仕事で自分の思い通りになることは、ほとんどないから。

この元も子もない「真実」を直視して、
成功の呪縛からもっと自由になろう。

そうすれば目の前の仕事に対し、
もっと気楽に、淡々と取り組むことができる。

絶対主義者の著者が実践してきた
「普通の人のための」思考のストレッチ。

※Amazon本の紹介より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

納得するとともに、
癒やされた一冊でした。
これからもたまに、見返したいと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

==========================
<今週の一冊>

『絶対悲観主義』

楠木建(著)


==========================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す