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3273号 2023年2月8日

「ストレス」が発生する要因と、そのメカニズムとは

(本日のお話 3155字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

さて、本日のお話です。

本日のテーマは、

「ストレス」

でございます。

ストレスが多い今日この頃。

どのように対応するのかを
理論などからみていきたいと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【「ストレス」が発生する要因と、そのメカニズムとは】

それでは、どうぞ。

■「ストレス」。

仕事をしていても、
はたまた生きる上でも
重要なキーワードの一つですね。

よく言われるように、

”適度なストレス”は、
仕事にも人生にもポジティブな影響を
与えてくれるものではある一方、

”過度なストレス”は、
心身に支障をきたしてしまう
ネガティブな影響をもたらすものにもなります。

そんな
ストレスの取り扱いは、
なかなか難しいものですし、

身近であるからこそ、
適切に対処したいもの。

■さて、そんな「ストレス」。

もともと「圧力」「圧迫」を
意味する言葉でありました。

そこで、カナダの生理学者セリエ(1907~1982)が、

”心身の適応能力に課せられる要求と、
その要求によって引き起こされる
心身の緊張状態を包括する概念”

として提唱したことから

職場におけるストレス(=心身の緊張状態)の
概念へと繋がり、

現在のメンタルヘルスにも繋がる課題にも派生し
一般的に認知されるようになったようです。

■しかしながら「ストレス」は、
一体なんなのか?

どうして発生するのか?

このあたりについては

「なんか忙しいから」
「人間関係がヤバいから」
「上司がパワハラだから」

などと、その要因は断片的に
理解していたとしても、

”ストレスが発生する全体像”

についてはあまり知られていない、
と思われます。

■逆に言えば

ストレスが発生する全体像と
そのメカニズムを知っておくと、

ストレスへの上手な対処にも
繋げることができる、とも言えそうです。

、、、ということも踏まえ

以下、代表的な
「ストレスの理論」について
ご紹介したいと思います。

やや説明っぽいですが、
さらりとお読みいただければと思います。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【ストレスについての理論】

<(1)職務ストレスモデル>

・クーパー&マーシャル(1976)によって提唱されました。

・”組織や職場におけるストレス”は、

- 「個人の特徴」(不安の程度、神経質さ)などで調整され

- 「不健康の兆候」(血圧の上昇)などに結びつき

- 「長期的な結果として疾病」(メンタルヘルス不全、心臓血管系疾患)に至る

としたモデルです。

※(補足でひとこと)
・仕事上のストレスが疾病につながるシンプルなモデルですね。
個人の特徴(神経質さ)が結果を調整する、というのも
感覚的なものと合っていて、納得させられます。

**

<(2)NIOSHモデル>

・米国国立労働衛生研究所(NIOSH:National Institute for Occupational Safety and Health)
が提唱した、「職業性ストレスのモデル」のこと。

・それによると

- 「仕事のストレス要因」(仕事の負担量、対人関係、身体的負担など)が

- 「仕事外のストレス要因」(家族・友人関係、借金、子育てや介護)などと相まって

- 「心身のストレス反応」(イライラ感、活気、不安感、抑うつ感、疲労感)をもたらし、

長期化すると身体面、あるいは精神面の健康障害に至る としました。

・なお、この流れに影響を及ぼす要因として

- 「個人要因」(性格・価値観・考え方など)

- 「緩衝要因」(上司・同僚・家族や友人からのサポート、仕事の満足度)

があるとします。

※(補足でひとこと)
・職務ストレスモデルを、個人を取り巻く社内外の状況に広げ、
また要因も細分化したモデルですね。

ストレス要因には、仕事のストレス以外にも、子育てや介護などの仕事外のストレスもあり、
それを一個人が抱えているというのは、より現実に即した考え方と思われます。

また、全員を十把一絡げにするのではなく、個人の特性に応じて対処が必要であること、
どのように緩衝要因を設けるかなど、それぞれに必要な対処が違うことを考えさせられます。

**

<(3)仕事の要求度ーコントロールモデル(Job Demand- Control Model)>

・カラセック(1979)により提唱されたモデルです。

・”仕事に関するストレス”を

- 「仕事の要求度(demand)」(仕事の量の負荷、突発的な出来事、対人関係)と

- 「仕事の裁量範囲(control)」(意思決定の権限、自律性)

の二軸で評価するモデルです。

・「仕事の要求度」が高く、「仕事の裁量範囲」が低い場合、
最も高ストレスになると判断されます。

※(補足でひとこと)
・これも職場あるあるですね。
確かに、仕事の量がものすごい多く、しかも急な依頼がある割に(要求が大きい)、
自分のできる意思決定の範囲、あるいはやり方を変えられない場合(裁量範囲が低い)、
苦役労働のように感じてしまうのは、分かる気がします。
・若手の頃、特にこんなことを感じていた記憶があります(独り言です)

※浅野浩美(2022).『キャリアコンサルタント・人事パーソンのためのキャリアコンサルティング』.労務行政 p.240-242
を参考に著者編
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。

■なるほど。。。

いずれも納得感のあるモデルです。

特に、自分の過去の

「ストレスがひどく、
メンタル的にやばかった状況」

に当てはめて考えると、
大変上手に説明がつくと感じます。

■例えば、
私(紀藤)の話で恐縮ですが
取り上げてみたいと思います。

私は、大学卒業後
新卒入社で入ったのが飲食店のチェーンでした。

そこで居酒屋の正社員として
働き始めました。

2004年頃です。

当時はメンタルなどは
問題視もされていない時代でした。

ブラックという言葉も、
ありませんでした。



しかし、働きまくっている1年間で
明らかに自分ではないような

”不安感、イライラ感、疲労感”

といった「心身のストレス反応」
が出ていました。

その原因を考えると

労働時間が
朝10時から夜12時のときも少なくなく、
ときには、朝10時から朝5時に及ぶこともあったりと、

『仕事のストレス要因』

が多分にあったと思われます。

具体的なストレッサーは

・長時間労働= 労働量の多さ
・立ちっぱなし= 身体的負荷
・アルバイトとのいざこざ= 対人関係

あたりかと思われます。



加えて

『緩衝要因』(周囲のサポート)

が極小でした。

ひとり上京をしてきて、

周りには友人など頼れる人がいない、
家族にも話す相手がいない
お店と社宅の往復のみ

、、、

上司も結構淡白な人であり、
自分の精神的なケアなどはありませんでした。

(死ぬまではたらけ!的な空気でした苦笑)



更にそこに
私(紀藤)の個人要因も重なります。

自分の性格なのか、価値観なのか

・「もっと頑張らないければならない」と
自分を追い込みがち

・「上司はできるのに自分はできない」と
自分を責めがち

・「対人関係のトラブルに敏感」という
人の心に敏感な性格

という

『個人の特徴』(性格、価値観、神経質さ)

があったことが、
トドメをさします。

■そうして、

「仕事のストレス要因」
「個人の特徴」
「緩衝要因のなさ」



魔の協奏曲(?)を奏で、
その結果として、

・気分の浮き沈みが激しい
・イライラして八つ当たりしたくなる
・朝起きられない(よく遅刻していた)

という結果に陥ったのでした。

■というように、

上記は一例ではありますが、
このようなストレスのモデルや理論
理解することを通じて

”自分や周りが置かれた状況を
客観的に認識しやすくなる”

といえます。

正しく認識できれば
適切な対処も行いやすくなる、

と思われます。

■改めて

「ストレスとは何か?」

「ストレスが心身のストレス反応に
繋がるメカニズムとはなにか?」

「緩衝させる上で、
今、何が足りていないのだろうか?」

、、、

そんなことを引いてみることで
上手にストレスに対処することが
可能になるかもしれません。

ということで、本日は

【「ストレス」が発生する要因と、そのメカニズム】

のお話でした。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

絶望してはいけない。
だが、もし絶望してしまったら、
絶望の中、進み続けるのだ。

エドマンド・パーク
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