メールマガジン バックナンバー

3286号 2023年2月21日

「チームの率直さ」を保つための3つの方法

(本日のお話 2482字/読了時間4分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は外部人事顧問として
サポートさせていただいている会社の
人材開発の組織の皆様へ、5件のコーチング。
また2件のミーティングでした。



さて、本日のお話です。

今月号のハーバードビジネスレビューにて

「チームワーク」

をテーマにいくつかの
論文が紹介されていました。

本日はその中で学びになった論文を
ご紹介させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、

【「チームの率直さ」を保つための3つの方法】

それでは、どうぞ。

■チームが力を発揮するためには、
いくつかの条件があるようです。

論文、

『チームの力をと解き放つ新しい協働のあり方』
(原題:Keith Ferrazai. (2022), "A New Social Contract for Teams". HBR September-Octorber)

の調査によると、

大企業から成長中の企業まで
1000回位以上のチームへの診断的評価より

・チームメンバーの71%が
相互フィードバックを行っていないと回答

・チームメンバーの71%が
組織全体として重要な問題に協働で対処していないと回答

・チームメンバーの74%が
共通の目標に対して、自分のチームが責任を果たせていないと回答

・チームメンバーの81%が
自分たちのチームが潜在能力を十分に発揮しているといえないと回答

したとのこと。

■なるほど、、、。

確かにありそうです。。。

本当は、もっとチームには
多くの可能性があるけれど
その力を十分に活用できていない、、、

多くの組織、チームで起こっている
共通の課題を数字にしたようにも
感じられますね。

■さて、そんな中で

”チームの力を解き放つ”

ためにはいくつかの要素がある、
と上記でご紹介した論文で述べていました。

そして、その第一歩として

「チームの状態を知る」

ために以下のような項目に
注目することを進めています。



その項目とは、チームメンバーが

・対立を避けようとしないか
(=オープンに意見を言い合う)

・チーム内にサイロがないか
(=協働し、相互に頼り合い、価値を創造する)

・共通のミッションにコミットしているか

・ヒエラルキーや上下関係にわずらわされないか
(=ステークホルダーと全メンバーが信頼関係を構築している)

・目標やコミットメントを実現しているか
(=相互にアカウンタビリティを果たす)

・探求者であるか

・エンゲージメントが維持されているか

・お互いに深く関わり合っているか

・画期的なイノベーションを追求しているか

とのこと。

■どれも大切な問いですね。

チームにおいて、

・「共通の目標」を持つこと

・「相互信頼」があること

・「率直な関わり」があること

・「より良い成果」を目指すこと

というのは、

チームが機能する上で
大切なことです。

■そして、同論文では、

そんなチームワークを推進する
具体的な進め方が紹介されていました。

その中でも特に、

”「チームの率直さ」を保つため手法”

は、具体的で面白いものでした。

例えば

・古参メンバーが保守的
・一部のメンバーが否定的
・それらの影響でなんとなく本音が言いづらい

みたいな状況は
多くの組織で起こりえます。

そして悩ましいもの。

そんな中で

「チームの率直さを保つ工夫」

があるとすると、

それらの状況を改善・予防する工夫として
有用であると思えます。

具体的には
こんな3つが紹介されていました。

以下まとめてみます。

(ここから)
ー~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<「チームの率直さ」を保つための3つの方法>

(1)『本音の時間』

・会議中に『本音の時間』を設ける

・具体的には「まだ話していないことはなんですか?」と全体に問う

・その上でチームを3人ずつにわけ、
この問いについて話し合う。

・各グループに正直な考えや批判を記録させ、
その結果を共有ドキュメントにして回覧する。
再び全員が集合したときに口頭でも紹介する

※これを繰り返すことで、チームメンバーが
フィードバックを自発的にできるようになる



(2)『合言葉』

・議論について一時停止するための
合言葉を決めておくというルール。

・合言葉は「おじさん」とか「ヨーダ」など
なんでもよい。

・議論が本題から外れたときや
特に重要な事を言いたいときに
この言葉を使うことで、注意深く聞くことを促す。



(3)『レッドフラック・リプレー』(赤い旗を投げる)

・チームの議論の中で、直近のやり取りを振り返るための仕組み。

・フットボールのコーチが
宣告されたペナルティの再審議を求めるときに
赤い旗を投げるメタファーである

・具体的には、リーダーだけではなくメンバー全員が
「今の議論でレッドフラッグ・リプレーを行いましょう」と言って、
やり取りを見直す

・例えば、「陰で話をする」「攻撃的な態度を取る」などの
事態が起きたときにこれらを求める。

※引用:
『チームの力をと解き放つ新しい協働のあり方』
(原題:Keith Ferrazai. (2022), "A New Social Contract for Teams". HBR September-Octorber)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。

■ふむふむ、なるほど。

確かにチームの議論などのプロセスで

「振り返るルール」
「一旦停止するルール」
「本音を語るルール」

などを合意しておくと、

この雰囲気どうなんだろう、
と皆が気になっている空気がありつつも
口に出せない、、、

みたいなときに
よい機会になりそうです。

■個人的に特に使えそうと思ったのは

『本音の時間』と『合言葉』です。

『本音の時間』は

3人1組などで語り合って
正直な考えや批判を共有ドキュメントにするのは
全体でも声が出しやすく、機能しそうだなと感じます。

『合言葉』も、

議論を一時停止する合言葉だけではなく、
あえて批判的な立場に立って議論を深める合言葉
(=悪魔の代弁者/デビルズ・アドボケート)

などは会議の工夫として知られており
実際にやってみても、かなり機能します。

■これらの仕組み・ルールを
チームで設けておくことで

「議論がなんとなく易きに流れる」
「言いたいことが言えていない」

みたいな状況を避けることが
できるかと思います。

■小さなようですが、
こうしたルールを合意し
進めることは効果的です。

前へ前へ進む圧力がある中で、
チームがより機能できるように

”皆で立ち止まり、振り返る”

というプロセスを組み込んでいくことは
改めて重要だな、と思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

==========================
<本日の名言>

忠告はめったに歓迎されない。
しかも、それを最も必要とする人が、
常にそれを敬遠する。

チェスター・フィールド
==========================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す