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3494号 2023年9月18日

フィードバックも大事だけど、「批判者から理解者になる」ことはもっと大事

(本日のお話 3789字/読了時間4分)

■おはようございます。紀藤です。

皆様、3連休はいかがお過ごしでしょうか。

私は朝から大学院メンバーとの
皇居ランで10kmのランニング。

また家族で買い物、
公園へのお出かけなどでした。

(電動自転車買いました。めちゃ高い・・・)



さて、本日のお話です。

最近、マネジメントに関する研修を
受講したり、あるいは企画して分析する事が増えています。

そこで毎度のことでてくるのが

「フィードバックをいかに行うか」

というテーマ。

今日はこのフィードバックを行うに当たって
ハーバードビジネスレビューの記事から
大事な視点だな、と思うものがあったので
本日はそのお話からの学びを共有できればと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【 フィードバックも大事だけど、「批判者から理解者になる」ことはもっと大事 】

それでは、どうぞ。

■「フィードバック」は

人を成長させ、パフォーマンスを高める、
有用な方法として知られています。

知られている方法としては
相手に対してギャップがあったときに、

・S:Situation(どんな状況で)
・B:Behavior(どんな行為が)
・I:Impact(どんな影響を与えたか)を伝え
・「それについてどう思うか?」を尋ねる

など。

こうしたステップを踏むことで、
メンバー自身が客観的な視点から
自分自身を見つめる機会となり、
行動を改善するチャンスにもなり得ます。

■、、、一方、
そうした事がわかっていても、

”フィードバックは
感情的に難しい”

ものだし、

”フィードバックが機能する場合としない場合がある”

とのもお察しの通りかと思われます。

■このことについて、
ハーバードビジネスレビューの論文、

『フィードバックを行うだけでは、従業員の成長を支援することはできない

部下のパフォーマンス向上を実現する4つのステップ』
by ピーター・ブレグマン ,ハウィー・ジェイコブソン

というタイトルの論文にておいて、
少し違った角度からフィードバックについて
書かれておりました。

読んでみると「たしかに」と
納得できる内容でもありました。

まず、「フィードバック」の課題として
本論文では以下のように投げかけています。

以下、引用です。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

フィードバックの目的は、従業員のパフォーマンスの向上を助けることだ。

技能を高め、潜在能力を発揮し、自分のチームに大きく貢献して、
同僚とうまく関係を築いてほしいという狙いがある。

そして組織に求められるのは、
従業員たちが自身の成長とパフォーマンスの向上に取り組みながら、
互いに巧みで率直なコミュニケーションができる場になることだ。
どれも価値のある目標である。

しかし、ここで問題がある。
目標の未達を指摘することと、目標の達成を支援することは同じではないのだ。

(中略)

あらゆるコミュニケーション形式の中で、
発信と受け取りが最も難しいのはおそらくフィードバックである。

与える側は批判しなければならず、相手の感情を傷つけるかもしれない。
ゆえに、そもそも対話を避けてしまう。

よしんば対話が行われるとしても、受ける側が聞かされるのは何であれ
「あなたは力不足であり、変わる必要がある」という意味の言葉であり、
恥ずかしく思う可能性が高い。

人は恥ずかしい思いをするのを避けるためなら、あらゆる手段に出る。

問題を認めなかったり(問題がない=恥ではない)、
他者のせいにしたりする(自分の過ちではない=恥ではない)こともそこに含まれる。

たとえフィードバックを前向きかつ「大人の態度」で受け取っているように見えても、
内心ではえてして闘争・逃走モードになっているものだ。

一方で、相手の成果に焦点を当てる
ポジティブなフィードバックの場合はどうだろうか。

それもある種の批判だ。
相手の行動の特定部分は評価できるということは、
他の部分は評価できないという意味でもある。

加えて、ポジティブな部分に焦点を当てることは必ずしも、
パフォーマンスを妨げている弱みへの対処にはならない。

※引用:"Feedback Isn't Enough to Help Your Employees Grow," HBR.org, December 10, 2021.
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

■なるほど、、、実にわかります。

(首がもげそうになるくらい頷いてしまいました)

ギャップを伝えるフィードバックでは

発信者は、相手を批判することになり
言いづらい。

受け取る者も、「力不足で変わる必要がある」、
と言われていることと等しく、
受け取りづらい。

恥ずかしい思いは、したくないから
闘争or逃走モードになる。

じゃあ、ポジティブなフィードバックがいいか?というと、
これまた課題がある。

特定の部分を評価することで、
他の部分は評価しないというメッセージでにもなるし、

課題を迂回しているので、
直接的な「弱みの対処」にも繋がらない。

、、、うーん、じゃあどうすりゃいいんだ?!

とツッコミたくなります。

■ここで本論文で提案をしていたのが、
以下の4つのステップでした。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<ハイパフォーマンスの文化を築く方法>

◯ステップ1:批判者から理解者に変わる

・批判者と話をしたい人はいない。「理解者」となら誰もが話したい。
「理解者」は、相手への配慮、信頼、強い関心を示す。
「理解者」の前ならば、相手は恥ずかしい思いをせず、
防御的な態度を解き、パフォーマンスの向上に注力するようになる。

・批判者ではなく、「理解者」であることを伝えるのは
以下の3つのポイントがある。

1. 共感する:相手が苦労している場合、それがいかに困難か、悩ましいか、やっかいか、苦しいかを認める。
2. 信頼を表明する:「あなたならば、その困難に対処する能力があるはずだ」というこちらの信念を表明する。
3. 許可を求める:その状況について、一緒に考えてもよいかを尋ねる。

◯ステップ2:望ましい結果を特定する

・人は問題、「悩ましい過去」に話を戻したくなる。
相手が実現したい「望ましい未来」に焦点を当てる。
それは直面している問題よりも、もっと大きな未来である。

・具体的には、「どのような結果を目指しているのですか」と尋ねる


◯ステップ3:隠れた好機を発見する

・望ましい結果について両者の間で明確になったら
次は問題に戻ってよい。しかし「解決」に努めるのではなく、尋ねる。

・「望ましい結果を実現するために、この問題をどう活かすことができるでしょうか」

・重要な価値や目標の実現を目指す中で、新たな行動を実践する好機ではないか。
この問題の根底にある、もっと大きな問題に対処する好機ではないか。と考えることを促す

◯ステップ4:レベル10の計画を立てる

・「レベル10」の計画とは、
「その計画を実行する自信は、1~10段階でどの程度ですか」と尋ねた際、
答えが明確に10であることを意味する。

・重要なのは、計画が成功することではなく
新たな行動を起こし、結果を検証して、継続的に前進するというプロセスを、
相手にしっかり遂行してもらうことである。

※引用の上著者より一部編集:
"Feedback Isn't Enough to Help Your Employees Grow," HBR.org, December 10, 2021.
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

とのこと。

■フィードバックも大事。

でも「批判者から理解者」になることで
相手が受け取れるようになる、

というのが本論文のポイントのようです。

まさに、

「縦の関係」から、
「横の関係」へと降りるようなイメージで

相手とともに、相手が考えている課題を
伴走者として見つめる感じです。

■確かに読んでいて、特に

<ステップ1:批判者から理解者に変わる>

は重要であろうと感じます。

フィードバックをしても
相手を批判している空気とは
なんとなく”におう”もの。

そして、自分を批判しているスタンスの話は
どうしても受け取り難いのも心理として起こるもの。

「批判者=敵との遭遇ですから、
大人の対応をしていても、内心は闘争or逃走になるものです。

■そこでもし、聞いてくれる人が

「批判者」→「理解者」

に変わり、

共に相手の人生やキャリアを
良くしようと考えてくれている、
それが相手に伝わったとしたら。

そのときには、

時に耳が痛いギャップフィードバックも、
ポジティブフィードバックも、
相手が純粋に受け取りやすくなるのかもしれない、、、

そんな風にも感じられます。

■上記はコーチングのスタンスにも
極めて似ていると感じます。

相手には、相手の人生があり
そしてそこにはその人それぞれの論理がある。

そこにまず寄り添うことが
結果的に相手にとってポジティブな影響があるのかもしれません。

■もちろん、
これが「魔法の杖」というわけでもなく、
効くときは効くし、そうでないときもあるでしょう。

上司は、マネージする(やりくりする)というように

時間・期間など投資できるリソースや
その限られた中で達成しなければいけない目標や
解決しなければいけない課題があります。

実際に上記のアプローチをやろうと思っても
ハードに思うこともあるでしょう。

本人の成長志向や自己効力感が著しく低い、
という場合もあるかもしれません。

それでも

「相手にとっての理解者になっているか」

このスタンスは極めて重要であるし、
フィードバックをする前にこの場所にたっているかは、
常に見極めていきたいものだ、、、

そんなことを考えさせられた次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

もしこちらが親切を続ければ、
たとえ良心のひとかけらもない人間でも、
必ず受け入れてくれるだろう。

マルクス・アウレリウス
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