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3573号 2023年12月6日

年齢・職業で違いがある?!「強み」と「仕事満足度」の関係とは

(本日のお話 3125字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日も引き続き、リーダーシップアセスメントの
読み解きセッションでした。

誰かの歩みに対して、踏み込んで伝えるのは
受け取ってもらえないかもしれない、という躊躇もあります。

しかしその方と、その方の周囲にいるメンバーや組織の
さらなる可能性を信じて、伝える事が大事だと思い、
データを見ながら、直感も働かせつつ対話をさせていただいた時間でした。

少しでも、皆様のプラスになれば、と願うばかりです。



さて、本日のお話です。

今日の論文は「強みと仕事満足度の関係」について明らかにした研究です。

本論文の特徴は、「仕事満足度」をざっくり見るだけだけでなく、キャリア・給与・会社の評価etc…細分化した上で、強みとの関連を調査しています。
年齢層ごとの違い、職業ごとの違いも調査している、興味深い内容です。ということで、早速見てまいりましょう!

タイトルは

【年齢・職業で違いがある?!「強み」と「仕事満足度」の関係とは】

それでは、どうぞ。

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今日の論文はこちら
『性格的な強みと仕事満足度:職業グループと成人期における違い』
Heintz, Sonja, and Willibald Ruch. 2020. “Character Strengths and Job Satisfaction: Differential Relationships across Occupational Groups and Adulthood.” Applied Research in Quality of Life 15 (2): 503–27.
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■10秒でわかる論文のポイント

・本調査は、「どの強みが職場で最も重要であるか」を検討した。
・具体的には、仕事を8つの職業グループ(看護師、教師、管理職、事務職など)と、6つの年齢層(18~61歳)にわけ、性格的な強みと仕事満足度の関係を調べた。
・その結果、24の性格的強みの中で「熱意」「希望」「好奇心」「愛情」「感謝」が仕事満足度と強く関係していることがわかった。
***

<<調査の概要>>

■強みがもたらすもの

これまでの研究で、性格的な強みは、”グッドライフ”に貢献することがわかっています。
グッド・ライフとは、人生満足度が高いこと(Park,2004)、仕事や家族の領域において満足度が高いことなどです。また幸福感にも影響を与えるようです。
また強みの活用は、職場でのポジティブな影響もあります。たとえば、仕事の生産性、パフォーマンス、エンゲージメント、仕事の意味付けなどにも影響をしていることがわかっています。

■本調査の目的

強みがポジティブな成果に繋がることはわかりました。
しかし研究者は、より探求したい点があると考えます。それは以下の3つのポイントです。

1)「仕事満足度」をより細かく調べること
(一般的な仕事満足度だけでなく、給与の満足、キャリア機会の満足、リーダーシップスタイルへの満足度など、細分化して調査する)

2)「職業ごとの違い」を調べること

3)「年齢層による違い」を調べること

このことによって、職業の違いや、年齢層の違いに合わせた「強みの開発」ができるのではないか、と考えたのでした。

■調査の対象者

さて、本調査はスイス、ドイツを中心にした合計12,499人をサンプルとしています。
8つの職業グループ(看護師、医師、監督者、事務職、臨床心理士、社会福祉士・教育者、 経済学者、中学教師)で各200名以上、
6つの年齢層で各200名以上のデータを、2008~2017年にかけてインターネットによって収集したものを活用した調査となります。

■調査項目

さて、本研究では、以下の項目を調査しました。
強みについては「VIA」という強みアセスメントを活用し、仕事満足度は37項目にわかれたものを活用しているのが特徴です。

・「性格的な強み」= VIAの24の特性

・「仕事満足度」= 仕事満足度評価尺度(SAZ; Fischer and Lück 1972)37項目(一般的な仕事満足度、給与、キャリア機会、リーダーシップスタイルへの満足、尊敬と参加、会社の評価、圧力と仕事のストレス、自分の能力の開発と応用、 退職、離職意図)

・「8つの職業グループ」(看護師、医師、監督者、事務職、臨床心理士、社会福祉士・教育者、 経済学者、中学教師)

・「6つの年齢層」(10代~60代まで)

***

<<調査の結果>>

では、調査の結果どのようなことがわかったのでしょうか。主な発見は、以下3点でした。

■わかったこと1:強みと仕事満足度の関係(全体)

性格的な強みのうち、「希望・熱意・好奇心・愛情・感謝・忍耐力」が仕事満足度に関係していたことがわかりました。
また、仕事満足度における性格的な強みの分散(仕事満足度に、何%くらい性格的な強みが影響しているか)は12%でした。
また、強みと仕事満足度の関連の内訳をより細かく見ると、性格的強みは「退職」と「一般的な仕事満足度」への影響が多く、「給与」「リーダーシップ」が最も影響が少ない結果となりました。

■わかったこと2:職業グループと強みと仕事満足度の関係

次に、8つの職業グループごとに、性格的な強みと仕事満足度の関係を調査しました。
結果、監督者→看護師→医師の順で、仕事満足度に性格的な強みが、より強く影響していることがわかりました。
逆に、経済学者、事務職は仕事満足度に性格的な強みはあまり影響していませんでした。

より細かく見ると、「医師・監督者・ソーシャルワーカー/教育者・経済学者」では「忍耐力」が高いと仕事満足度が高まる傾向があり、また、「看護師・教師・臨床心理士」では「チームワーク」が高いと仕事満足度が高まる傾向がありました。(他、監督者はユーモア、看護師と教師はリーダーシップが高いと仕事満足度が高い)

全体としては「熱意」「希望」は仕事の満足度と高い関連性を持つことがわかりました。(わかったこと1と同じ)

■わかったこと3:年齢層別の性格的な強みと仕事満足度の関係

次に、6つの年齢層(10~60代)にて、性格的な強みと仕事満足度の関係を調べました。
その結果、最も若い層(18-20歳)と最も上の層(61歳以上)が、仕事満足度に性格的な強みがより影響していることがわかりました(26%の分散)。
一方、20代(21-30歳)と30代(31-40歳)は、仕事満足度に性格的な強みはあまり影響していない結果となりました。

なお、VIAの性格的な強みは24種類に分けられますが、これを別の研究では、『5つの強み要因』としてさらに分類をしました。「対人関係(Interpersonal)」「感情(Emotional)」「抑制(Restraint)」「知性(Intellectual)」「神学(Theological)」5つです。

この『5つの強み要因』で見てみると、すべての年齢層において5つの強み要因は仕事満足度に影響があることがわかりました。(「感情」が特に影響が強く、「知性」「抑制」は影響が少なめのようです)

***

■まとめ

仕事の満足度と性格的な強みの関係で、「熱意」「希望」「好奇心」「愛情」「感謝」が仕事の満足度に影響しているというのは実感としても納得感が高かったです。
(シニカルに冷めたスタンスで働いている人は、そりゃ仕事満足度高くないよなと思いました)

また、「5つの強み要因」で見ると、全年齢層で『感情』が影響しているのは熱意・希望・愛情なので理解のとおりですが、仕事満足度に対する『神学(Theological)』の影響度が高めなのも興味深いです。
ドイツ語圏内という文化的特性もあるのかもしれませんが、「宗教観が仕事の意味付づけに影響する」→「仕事の満足感を高める」という構造は、自分の中で、なぜ何のために仕事をするのかという観点が、仕事満足度の上でも重要であるということを意味しているようにも思いました。

また職業によって、性格的な強みと仕事満足度が違うことも、強み介入におけるヒントを与えてくれるようで、とても参考になる論文でした。

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<本日の名言>

みずからを向上しようと試みることが必要である。
この意識は生きているかぎり持続すべきである。

クリスティーナ(スウェーデンの女王)
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