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2903号 2022年2月1日

「ジョブ・クラフティング」を振り返るワークシートのご紹介

(本日のお話 2710字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

さて本日も引き続き、

「ジョブ・クラフティング」

をテーマに学びを皆さまに、
ご共有させていただければと思います。

一つのテーマでも掘り下げると、
色々見えてきて、実に面白いですね。

本日は書籍『ジョブ・クラフティング入門』を中心に
「ジョブ・クラフティングの振り返り方」について
ご紹介させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、

【「ジョブ・クラフティング」を振り返るワークシートのご紹介】

それでは、どうぞ。

■ジョブ・クラフティング。

”仕事を手作りする”

という考え方です。

そしてジョブ・クラフティングには3つの次元がある、
とご紹介させていただきました。

(ちなみに、研究によって
上記の枠組みの作り方も違っているようですが

今回のシリーズではその中でも有名な
Wrzesniewski & Dutton,(2001)による、
以下、3つの次元の考え方を軸にご紹介しています。)

こんな内容でございました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ジョブ・クラフティングの3つの次元>

1)タスク境界(task boundary)
→仕事そのもの(を創意工夫する)

2)他者との関係性(relational boundary)
→人との関係(を築く)

3)認知的な境界変化
→仕事の捉え方(を変え、意味や意義を見出す)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■そしてこれらの行動を個人が行うことができると、

個人のエンゲージメントが高まり、
離職の防止や生産性向上等、
組織にもプラスの影響があることもわかっています。

では、このジョブ・クラフティング、
どのようにして「できているか」を判別できるのでしょうか?

そのためには、より日常に即した
いくつかの振り返り項目があると便利かと思います。

以下、書籍『人事のためのジョブ・クラフティング入門』
よりご紹介させていただきます。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<日頃のジョブ・クラフティングを振り返る>

(※しているものを■、したいものに”レ”をつけてみましょう)

{A、仕事のやり方への工夫の具体例}

1)仕事に新しいチャレンジを取り入れる
□自分の中で作業量などの目標を設定し、チャレンジしている
□新しいプロジェクトに挑戦している
□後輩の教育方法に新しいやり方を取り入れている

2)自分のスキルUPを図り、自信につなげる
□研修や本から自分が不足している知識について、情報を集めている
□人を通して、仕事の知識を増やしている

3)時間の活用・目標設定の仕方を考える
□朝、30分早く出社して準備している
□朝の時間を活用している
□無理に遅くまで仕事をしないようにしている
□翌日の仕事のやることリストを前日のうちに書いている

4)仕事の仕方を工夫する
□資料がすぐに取り出せるような、整理の工夫をしている
□同じ仕事をまとめて行って、効率を高めている



{B、周りの人への工夫の具体例}

1)職場の人からサポートを集める
□同僚からアドバイスをもらっている
□先輩に相談に乗ってもらっている
□他の人に依頼できる仕事がないか考えている

2)先輩・同僚・後輩を知り、接し方を工夫する
□朝の挨拶を自分からするようにしている
□後輩にこまめに話しかけて、指導に役立てている
□出張時に土産を買って、交流のきっかけにしている

3)他の職場の同僚と話す
□楽しく職場の同僚と話し、情報交換をしている
□社外の勉強会に参加している



{C、考え方への工夫の具体例}

1)いまの仕事の意味を考える
□「自分の仕事が会社の未来を変える」と考えている
□自分が仕事の適任者である。仕事を任せられると考えている
□苦手な仕事の学習も、将来の自分への投資と考えている

2)仕事の目的を再確認して、意義を実感する
□いまの仕事は「誰」のためにやっているのかを考えている
□受け取る相手の笑顔を想像して仕事に向かっている
□商品が社会的にどのような役割を果たしているか想像している

3)自分の好奇心を大切にする
□自分の好きなことと仕事を結びつけて考えている
□仕事でワクワクする事は何かを考えている

※引用:川上真史 (著), 種市康太郎 (著), 齊藤亮三 (著)
『人事のためのジョブ・クラフティング入門』P136

※上記各項目は、Effects of a Job Crafting Intervention Program on Work Engagement Among Japanese Employees: A Randomized Controlled Trial
を元に作成された
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここまで)

とのこと。

■さて、上記内容について見てみると、確かに

「自分次第で変えることができる」

ものばかりであることに気が付きます。

外的な状況としては同じだったとしても、

・自分が楽しむために仕事をどう変えられるか
・その状況にどのような意味付けをするのか、
・どのように人と協力をしていくのか、

これらのことを考え続けると、

計画の仕方も、仕事の進め方も、
日々の学び方も、

同僚や上司との関わり方も、

日々の貢献意欲を自分で掻き立てるための
組織との意識のすりあわせの仕方も、

できることはまだまだある、
と感じさせられます。

■私自身の話で恐縮ですが、ふと振り返ると、

新卒入社で、飲食店で働いていた時は
「この料理でお客様をハッピーにするのだ」
とピュアに思っていましたし、

あるいはその次の求人広告の支援をしていたときも
「この仕事で目の前のお客さんが喜んでくれるのだ」

というように、

”自分の貢献意欲をかきたてるため、
働く意味、やっていることの意味を、
自分に言い聞かせ、楽しもうとしていた”

と思い起こされます。

そして、今の振り返ってみると

「正直しんどかったけど、楽しもうとしていた」
(そして実際楽しかったような気もする)

という状況だったと感じます。

■個人と組織は、
どうしても違う存在です。

ゆえに、100%の思い通りになることは
なかなか難しいのかもしれません。

でも、

”自分で意識して近づける”ことはできるし、
”楽しもう”と工夫することもできるのは確かです。

話は変わりますが、
ビジネス書の名著『7つの習慣』では
「第一の習慣 主体的である」において

”「影響の輪」に集中せよ”

といっています。

これは、

関心があっても
自分が変えることができない”関心の輪”ではなく

関心がある中で
自分が変えることができる”影響の輪”に
意識とエネルギーを集中させることで「影響の輪」が広がっていく、

という内容です。

ジョブ・クラフティングとは、まさに仕事における
「影響の輪」の解像度を高めた研究である、と私は感じます。

■今、自分はどれくらい
ジョブ・クラフティング出来ているだろうか?

そう振り返ることで、

自分がどれくらい、自分自身を駆り立てて、
”仕事をつくり出す”ことができているかを
俯瞰的に考える機会になるかと思います。

上記、振り返りワークシートも含めて
自己省察をすることで気づくこともあるのかもしれませんね。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

とにかく、考えてみることである。
工夫してみることである。
そして、やってみることである。
失敗すればやり直せばいい。

松下幸之助

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