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4110号 2025年5月27日

「言葉を残すこと」で組織はつくられる

(本日のお話 2052字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、宮崎のある製造業の経営幹部の皆さまへ「リーダーシップ研修」の実施でした。

最近、お仕事仲間と、地方の中小企業の人材開発・組織開発の案件をご一緒させて頂く機会がちらほら増えております。

参加者の皆様は、ミドル以上の男性が中心ですが、素直に学んだことを「まずはそのままやってみよう!」というスタンスで取り組んでいただいていたのが、大変うれしい時間でした。

さて、そんな研修のその関わりの中で、いくつか感じたことがありました。それは「言葉が大事」という話です。今日はそのお話を言葉にしてみたいと思います。

それでは、どうぞ!

■「言葉を知ること」から始まる

先日関わらせていただいた企業様は、経営幹部の皆様(50代の男性が中心)で、先日『7つの習慣』の研修を受講されていました。
冒頭に、その感想を聞いてみると「当たり前のことだけど、改めて言葉にすると、全然できていないことに気付いた」などとお話されます。
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<『7つの習慣』のキーワード>(一部)
・「影響の輪」=自分が影響できることに時間とエネルギーを注ぎましょう
・「第二領域」=緊急ではないが重要なことに、時間を投資しましょう
・「WIN-WIN」=自分も相手も、どちらもWINな方法を探しましょう
・「傾聴」=聞くふりじゃなく、感情移入して相手の話を聴きましょう
――――

こうした「言葉を知る」ことが、”自分を躾けるための道具”になり得ます。概念を端的に示した特徴的な言葉を知ることで、「第二領域」なら「自分って、日々緊急なことに流されているな」と思い出したり、「影響の輪」なら「周りの話ばかりしているな」と思い出したりする作用となります。

▽▽▽

そして、これは何も「7つの習慣」だけではなく、大学生の「リーダーシップ」の授業でもそうです。

――――
<『リーダーシップ』のキーワード>
リーダーシップの最小三行動=
・「率先垂範」
・「環境整備/同僚支援」
・「目標設定/目標共有」
――――

である、と知ることで、自分がそうした行動ができているかを振り返る機会にもなりますし、それができるように自らを律することも、できるようになるわけです。
他にも、自分を振り返るためのキーワードとしてこういうのもあります。

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<『振り返りから学ぶ』ためのキーワード>
「経験学習」=
経験:実際に何かを経験する。
内省:経験を振り返り、自己分析する。
概念化:経験から得られた学びを言語化し、概念化する。
実践:抽象化した学びを実践し、検証する。
――――

他にも、チームビルディングにおいてそうした概念を表す言葉やフレームがあったり(GRPIモデル)、OKR、7Sモデル、SMARTの法則、KPT、等々、多岐にわたります。

■「言葉を残すこと」で文化をつくる

これは、「まあそうだよね」という話なのですが、個人的に思うのが、「新しいフレームを知ること」を面白いと感じる学習者はいるもの、次から次に新しい言葉や概念を獲得するばかりになっているケースも、少なくないように思ったのです。

「7つの習慣」などは、そのタイトルの通り「習慣化すること」で、初めて価値を体現することができます。一瞬やっても意味がない、とまでは言わずとも、効果は極めて限定的です。

表されている言葉を、日々繰り返し、思い出すなんて当たり前で、それを通り越して、身体知になるくらいまでやってこそ、変化した感覚が得られるものであるはず。しかし、研修を受けてもほとんどが「7つの習慣の、7つってなんだっけ?」となるケースがほとんどなわけです。

▽▽▽

そこで大事なのが、「言葉を使い続ける」ことに意識を向けることです。
できれば、そこのリーダーとなる人が、その言葉を日常使っていくこと。
そして、その先に、「言葉をその組織に残すこと」を目指すのです。

それは、「第ニ領域」でもいいですし「リーダーシップの基本最小三行動」でも、「経験学習」でもよい。その組織やチームが大事にしたい概念を表す「言葉」を頻繁に皆で使って、思い出すようにすること。

そうすることが、学んだことを日常的に、自然と実践する上で、一つ重要な考え方になるのだろう、と私は思っております。

■まとめ:「小さな言葉」を積み重ねる

そして、そうした言葉(経験学習でもリーダーシップでも)が残ったとしても、実際に組織が劇的に変わるわけではないかもしれません。
ただ、多くの言葉が組織にストックされ、それらが変わったときに「あれ、気づけば以前とだいぶ変わっている気がする」となるのが、組織のカルチャーなのだろうな、と思います。
改めて、新しい概念を知るだけで終わるのでなく、
新しい概念を表す「言葉」を使って、残すこと。
それが、特に「組織文化」をつくる上での、目指すべき一つの中間地点になるのではなかろうか、そんなことを改めて思った次第です。

「Word create World」。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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