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4283号 2025年11月16日

今週の一冊『30キロ過ぎで一番速く走るマラソン サブ4・サブ3を達成する練習法』

(本日のお話 1954字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。
現在、沖縄と鹿児島の間にある「与論島(よろんとう)」なる場所に来ています。

映画「めがね」という作品の舞台にもなっており、
「黄昏れられる島」ということで、経営者の友人家族と共に来ましたが、
実に落ち着く、海のきれいな場所でした。

ちょうど島一周が21キロ(ハーフマラソン)とのことで
朝から素敵なランニングもできて、満足でございます。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は最近読んだ本の中からオススメの書籍をご紹介する「今週の1冊」のコーナーです。
今週の1冊はこちらです。

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30キロ過ぎで一番速く走るマラソン サブ4・サブ3を達成する練習法 (角川SSC新書)

小出 義雄 (著)
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先週もご紹介させていただきましたが、小出監督によるサブ4・サブ3といった、4時間切り・3時間切りを目指す人のための指南書がこちらの本です。

先週ご紹介した『マラソンは毎日走っても完走できない』は、主に完走を目指す人のための基本編でしたが、
今回の本はよりタイムを目指そうとする人に向けた、具体的な練習メニューなどが紹介されている実用的な内容になっています。

実際に私もこの練習メニューと照らし合わせながら、自分の現在の走力や練習メニューを見直す大変良い機会になった必読書でした。

それでは早速内容を見ていきましょう。

■30キロ過ぎで一番速く走るべし

本書の主要なメッセージとしては、「フルマラソンは後半型で走るべきである」という話です。

フルマラソンを走ったことがある人であれば納得できると思いますが、30キロ過ぎに急に足がなくなってペースダウンする。
前半でつくった貯金で逃げ切ろうと思ったもののガス欠がひどくて一気に切り崩してしまう、そして息も絶え絶えにゴールする

……という状況は、かなりよく起こります。

実際に30キロ過ぎになると、ゾンビのようによろよろと歩いている人も少なくありません。

人の体は大体8〜10キロほど走るとふっと軽くなります。
すると、そこから調子に乗って20キロ、30キロと飛ばしてしまう。
すると、30キロで急に失速してそのままゴールまで持たない……という人が本当に多い。

この状況をどう打破するか?

その答えが「体力を30キロまで残し、30キロから一気にスピードを上げて走り切る」というパターンであると本書では述べています。

言うは易く行うは難しのこのコンセプトについて、小出監督がどうすれば実行できるのかを、当日までの練習メニューと心構えを丁寧に解説されます。

そのために、実際のマラソン選手──Qちゃんこと高橋尚子選手や、有森裕子選手など──の練習メニューも紹介され、説得力を持って説明されています。

何度も30キロまで調子に乗って走り、ガス欠になって失速してゴールする……ということを繰り返している人にとっては、
理論と経験に裏打ちされた“目を開かされる”ような一冊になるのではないかと思いました。

■サブ3の練習メニューを見て、己の力量不足を知る

さて、この後半型の走りを実現するには、当然ながら後半にスピードアップできるだけの能力(脚の持久力と心肺機能)が必要になります。

特にサブスリーにおいては、「とにかく心肺機能が重要」であることが繰り返し強調されています。具体的には、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・1キロあたり4分〜4分5秒までスピードを上げても息が上がらない状態
・20〜30キロの距離を、1キロ4分〜4分5秒のペースで走れることを目指す
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などです。こうした状態を作れれば、30キロ以降で4分〜4分5秒を維持できる“後半型”の走りが可能になる、というわけです。

そのためには、週3回ほどのインターバル走やタイムトライアルなど、息が「ゼーゼーハーハー」状態の極めて厳しい練習を約3ヶ月にわたって繰り返し、心肺を鍛えていくことが必須だと書かれていました。

私のランナー仲間でサブスリーを達成した方も、

「サブスリー達成前は、4分15秒で30キロ走っても寝ながら走れるくらいの状態だった」「10キロを4分ペースで走るのは普通にできる状態だった」

と話していましたが、まさにそこまで仕上げなければいけないということでしょう。
さらに男性であれば、体重を57〜58キロ程度まで絞ることを勧める、という話も書かれていました。

60キロ以上でも走れなくはないものの、体重が重くなるとどうしても不利になるため、軽量化は必須の策──という説明は非常に納得感がありました。

■まとめと感想

12週前からの具体的な練習メニューが2週ごとに記載されている点は非常にわかりやすく、「少なくともこれくらいのメニューができるようになる必要がある」という目安にもなりました。
自分の練習内容と比較しながら足りない点を確認する良い機会にもなりました。

少しずつ努力は積み重ねているものの、まだまだサブスリーには全く届いていない──そう痛感した一冊でした。

“全体の2.5%”という極めて高い壁。その壁を越えるためには、自分を追い込み、積み重ねるしかないのだと再認識させられる本でした。

2月の埼玉マラソン、そして4月の長野マラソンに向けて、少しでもそこに近づけるようまた頑張っていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!
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