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59号 2013年5月28日

「詐欺師」が幸せになれない理由

■おはようございます。紀藤です。

先日、私たちのチームで勉強会がありました。

私の所属するチームはダイレクトセールスチーム。

法人のお客様に、弊社のプログラムを通じて、
企業様の持つ可能性を解き放つことが私たちのミッションです。

そのために、色々なお客様の事例やナレッジを共有して、
ご要望にお応えする力を蓄えるようにしています。
(もちろん売り上げの話も出てきますが…苦笑)


■その中で、社会人として、コンサルタントとして
ぜひ知っておくべき本として共有されたものがありました。

それは『影響力の武器―なぜ人は動かされるのか』という本。

私も大きく感銘を受けた本で、7年前、
「時計詐欺」に会ったことがきっかけで(!)この本と出会いました。

詐欺にあったその直後、友人に電話でそのことを相談したときに、

「あー!『影響力の武器』を読んでいれば、きっと引っかからなかったのに!」

と慰めに変わる、衝撃的なフレーズで友人から紹介され、
その後、むさぼるように読みふけりました。
(そしてなぜ騙されたか100%理解することができました)


■この本は心理学の本であり、
人の意思決定を支配している、目に見えない「影響力」について書かれています。

例えば、
欲しくもない高級布団をあれよあれよという間に買ってしまったり、
良く分からないツボを高値で売りつけられたり…
普通に考えればありえないようなことになぜ騙されてしまうのか、
を実際の実験に基づいて、論理的に証明をしています。

詳しくはぜひ読んで頂きたいのですが、
社会的な動物である人には抗うことが難しい、
物事を決める強力な「6つのトリガー」があると述べています。

詐欺師と呼ばれる人は、そのは「6つのトリガー」を使い、
相手に影響を与え、思い通りに操ることができるそうです。

そして、私は身を持って証明させられました。
(詐欺によって…)

ちょっと恥をしのんでその時のお話をご紹介します。


■ある晩、私は友人とお酒を飲み、
ほろ酔い気分で板橋のアパートに帰るために、
ふらふらと薄暗い小さな通りを歩いていました。

そうすると、ふと隣に高級そうな黒い車が止まりました。

運転席の窓がスルスルと下がります。
中には身なりの良い、スーツを来た男性が2名乗っています。

どうやら仕事帰りのような雰囲気。

詐欺師:「すみません、道に迷ってしまったんです。
     どうやったら〇〇街道に行けますか??」

私  :「この道を右に曲がってまっすぐ行けば出ますよ」

どうやら人のよさそうな感じだ。

詐欺師:「あっ!そうなんですね、親切にありがとうございます。助かりました。
     ちなみに、実は一つお願いがありまして…」

私  :「何でしょうか?」

詐欺師:「実は…、仕事で失敗してしまって。
    今日、銀座で時計の展示会があったのですが、
そこで発注ミスをして「LAZER(仮)」の時計が余ってしまったんです。   
ちなみに私こういうものです。
(「和光 マネージャー〇〇」と書いてある立派な名刺を出す ※1)」

私  :「へえ…」

それなりの人なんだろうか。車も身なりも、立派。
よく分からないけど、何だか有名そうな時計のブランド名だし…。 
(⇒ ※1「権威」というトリガー)

詐欺師:「それで余った時計があって、持って帰ってもミスを晒すだけになるので、
     捨てるかどうかしようかな、と思っていたんです。
     で…、もし良ければ、貰っていただけませんか?」
    (おもむろに高級そうな時計をさし出す。※2)

私  :「えっ!いいんですか??」
    (何だか高級そうな時計をくれた!ラッキー!)

詐欺師:「ええ、ええ、もちろん。親切にしてくれたお礼です。
     ただ・・・もし良ければ、
     これから後輩と飲みに行こうと思っているんですが、
     少しカンパして頂けませんか?」

ん、ちょっと怪しいぞ…。
でも何だか良さげな時計貰っちゃったし、悪いから、少しくらいならいいかな…。
(⇒※2 「返報性」というトリガー) 

私  :「えっ、カンパですか…。まあ、財布にある3000円くらいで良ければ…。」

そして、3000円と時計を交換し、
車は去っていきました。

家に帰り冷静に時計を見てみると、
まるでUFOキャッチャーの景品のような、
軽くて、ものすごく貧相な時計が目の前にありました。

…今考えれば、「何とバカな」と思うのですが、
当時、無知で何も知らなかった私は、
見事にその手口に引っかかりました。


■この詐欺師が使ったテクニックは、

※1「権威」= 警察官、医者、先生など、肩書きがある人が言うとホントに聞こえる
※2「返報性」= 何か貰うと、お返しをせずにはいられない

という『影響力の武器』で紹介される2つのスキルでした。

その巧みなスキルを利用することによって、
彼らは望んでいた「お金」という結果を手にすることができました。

しかし、ここで考えたいのですが、
スキルを酷使して望む結果(私の3000円)を手に入れた彼らは、
これからも成果を得続け、望む人生を送ることができるのでしょうか。


■『7つの習慣』のセミナーでは、

長期・継続的に成果を上げ続け、望む人生を送るためには
「効果性のルーツ」を知ることが大切である、

とお伝えしています。

「効果性」とは、
「長期・継続的に期待通りの良い結果を出す状態・性質・力」のこと。
そして「効果性のルーツ(根源)」は、「人格」にあると述べています。

成果を出すためには、木に例えると
スキルやイメージ、テクニックなど(「個性」と呼んでいます)
目に見える葉や枝の部分ももちろん大切ですが、
根の部分である「人格」が弱ければ、
長期・継続的に成果を出し続けることはできない、と言われています。

もし、スキルやテクニックだけに偏り
「人格」を育てることを怠れば、
きっとどこかで歪みが起こり、
メッキが剥がれる時が来るように思います。

詐欺師の彼らは、一時的にお金を得ることができるかもしれませんが、
スキルに頼り続けるかぎり、いつかは警察に捕まる、
など望まない結果に繋がるのは想像に難くありません。


■私がかなりのおマヌケであったことは言うまでもありませんが、

「スキルに頼って一時的に成果を出す」
ことの危うさを、
身を持って感じた思い出でした。

私事で長くなってしまいましたね。
朝から長文お目通し頂き、ありがとうございました。


今日も皆様によって良い一日になりますように。

【本日の名言】 自分の人格に基本的な欠陥、二面性、
あるいは不誠実さを持ちながら、
テクニックや手法だけで人を動かしたり、
仕事をさせたり、士気を高めようとしたりすれば、
長期において成功することは出来ない。      
              
           スティーブン・R・コヴィー

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