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1960号 2019年7月3日

「私は被害者である」と固く信じる人に、変化変容の兆しを届けるために何ができるのか

(本日のお話 3235字/読了時間4分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日は、2件のアポイント。
並びに、夕方より出張のため仙台に移動でした。



さて、早速ですが本日のお話です。

最近、研修プログラムを同時進行でいくつも作っているのですが、
自分の頭の中での内省の時間が増えており、
ぐるぐるといろいろな思いが渦巻いています。

今日は、その中で
「人が変わるための前提条件」について思うことがありましたので、
皆様に共有させていただきたいと思います。


タイトルは、


【「私は被害者である」と固く信じる人に、変化変容の兆しを届けるために何ができるのか】


それでは、どうぞ。



■人材育成に携わる上で、
365日24時間、、、(とまではいかずとも、かなりの割合)
常に考え続けている”問い”があります。

それが、

「どうすれば人は変われるのか?」

という問いです。



「7つの習慣」の営業として携わるときも、
自分自身が研修講師として携わる時も、
個人のコーチとして関わる時も、
この”問い”は根本的な話であり、
なかなか頭から離れることがありません。

そもそも、

「人は変わる必要があるのか」
「生きているだけで十分じゃないのか」

という哲学的な問いを含めて。


■私の個人的な意見だと、
”基本生きているだけでOK”ですが、
願わくばその「生」に、

「喜びや、楽しさ、幸福」

という感情がセットになっていることは、
多くの人にとっても望ましい、と思っています。


人にとって「幸福な人生でありたい」というのは、
どんな形であれ共通の願いであり、そしてそのためには、
仕事をする、しない、などではなくもっと大きな、

”自分で何かを変えられる感”

というようなもの、コントロール感とか、
自己効力感とも呼べるものが、
やっぱり必要になってくると思うのです。

それがないと、

”自分で何も変えられない=すべての出来事は誰かのせい”

という思いになりますので、振り回され感がすごく、
どうしても被害者意識が生まれてしまいます。

それはやっぱりハッピーではないよな、、、
と私は思うのですが、いかがでしょうか。



■私の周りにいらっしゃる、

個人的にコーチングを申し込んでいただける方、、
土日に自分のお金で研修を申し込まれるような方は、
”そもそも自分に対する期待値が高い”傾向があるので、

自信がない、ツライ、などと思っているとしても、
「こんなはずではない」「もっと良くなれるはず」という、
エネルギーが渦巻いていることが多いです。

ですから半年ほど、
その人に必要な考え方、知識やスキルをお伝えし、
アクションを促していけば(けしかけていけば)、
思ったよりも早く現実が変わっていくものである、

という感覚はあるのです。


■しかしながら本当に難しいのは、
”そうではない人たち”なのです。

そうではない人たち、というのは、
自分への期待値が低い方のことです。


「自分なんてたいした能力もない。
 そもそもなりたい自分なんてない」

「私こそが被害者である」

と、その人自身が思っている
(=信じている、思い込ませている、思うとしている、
  ともいえるかもしれない)

そんな方と遭遇した時です。



そういう方を目にしたり、
出会うことがあると、

「このような方に、どのように
 プラスの変化をどのようにもたらせられるのだろうか?」

と考えることがあります。

他人の人生をどうこう、、、などというのは、
おこがましいことかもしれませんが、
職業柄、つい、思ってしまうのです。


■しかも加えて言うなら、ある側面から見てみれば

・そもそも、成長なんてしなくてもいい。
 今のまま粛々と続いていけばいい

という考えもあってしかるべきだし、

・そもそも、なんで働くの?
 人間以外は、働くことではなく生きるだけで十分なのに。

という考えも理解できるし、

・職場や、友人の人間関係が苦痛で仕方がない。
 早くこの環境から逃れたい。ただそれだけ。

という状況もわかります。


ただ、どんな別に仕事をしていようがいまいが、
どんな職種や立場であろうが、気持ちの奥底に、

「本当はより良くなりたいとどこかで思っているのだけれど、
 難しいから、その思いに蓋をしている」

という人がほとんどではなかろうか、と思うのです。


そもそも、日常で常に鈍い痛みを抱えているのに、
「このままでいい」と言い切れる人、本当にいるのでしょうか。

それは痛みに慣れすぎて、
”諦め”へと形を変えてしまって、
自分でも気づいていない、ということはないだろうか、


変えることが難しいから、

「自分には大した能力は無い。
 自分には自分と周りを変える力は無い」

という”安心領域”(と敢えてここではいいます)にいることを選んでいるのではなかろうか。



■私は、”人が変われない根本的かつ深い部分”は、
この”諦め”にあると感じています。

この諦めと言うのは、
自分でも気づかないほど心の奥底に癒着しているので、誰かが

「自己肯定感を持とうよ」
「自分の力を信じることだよ」
「その考えは愛着障害という理論があってね」

などと感情や理論に訴えかけて語ったところで、
長い時間をかけて少しずつ堆積してきた地層は
簡単に剥がすことはできないものです。

まるで深海の奥底に光が届きづらいかのように、
誰かの言葉や、新しい考え方が届きづらくなっている。

これもまた1つの事実である、と感じます。


■では、このような人に対して、
どうすれば、「変化変容」を届けることができるのか。

本人が気づくタイミングがなく、
「他者からの介入」によって、変化を与えることができるとしたら、
どのような方法があるのか。

簡単ではないし、時間もかかります。
しかし、そのヒントの一つになりえるエピソードを、
先日、私が信頼しているコーチ仲間の体験として聞きました。
それが大変、納得感があるお話だったのでした。


結論を申し上げると、


【その人の可能性を信じ、寄り添い続ける】


という話です。


■そのコーチの方は、こんな話を聞かせてくれました。

その方のお母さんが、いわゆる
”人のせいにしがち”とか”愚痴が多い”というタイプ。

電話をするたび、ネガティブな話が多く、辟易されていたそう。

ただ、ある出来事がきっかけで
「お母さんのことは自分が引き受けた」と、
そのコーチの方は心に決められました。

そして、”母親と向き合い続ける”という選択をしたそうです。

彼女は当時、仕事も忙しくて、プライベートも大変な中だったそう。

でも、ほぼ毎日母に電話し、
母親がこぼすグチをひたすら聞き続けて、
ただその上で、否定も指導も意見も言わず
「ひたすら受け止める」ことをしたそう。

聞いて聞いて、
「そうなんだね、そう感じたんだね」
というやり取りを、言いたい思いをこらえて繰り返す。

来る日も来る日も同じような行為が続くのですが、
ある時、小さな変化が見られたそうです。

「いつも、話を聞いてくれてありがとね」

そんな、普段なら絶対に言わないであろう言葉が、
母親の口から出てきたそうです。

そしてそれから、愚痴も減っていったし、
「あなたはどう思う?」というような意見を聞く事もできてきた。

、、、そんなお話でした。


■そのお母様の内的な変化に、
どのようなことがあったのかは、想像しかできません。

しかし、一つ大きなインパクトをもたらしたのは、

「寄り添ってくれる」
「自分の存在を認めてくれる」

という”強力なパートナー”だったと思われます。

そのサポートによって、
少しずつ自分の内側の自尊心を、
取り戻すことができたのではないか、
そう私は感じました。

そして、そうやって
”自分を認める”ことができたとき、
初めてその人の中に、

「本当はもっとこうしたい」

という”欲求・願い”が、
恐る恐る顔を出し始めるのではないかと思います。


■寄り添って、その価値を証明する、
そのためには、大変な時間と労力が発生します。

ゆえにその変化の兆しを、
出会ったすべての人に届けることはできないでしょう。

それでもなお、

【自分の大切で、身近な周りの人】

で「自分は被害者」「どうしようもない」と思う人がいるならば、
”寄り添う””受け止める”ことをして、その人の「存在価値」を承認し、
その人が蓋をしていたより良くなりたい思いを表出させることくらいは、
できうるのではなかろうか、と思います。

もちろん、素人が手を出せる部分、そうではない部分とありますので、
その領域はきちんと見極める必要がありますが、

【「私は被害者である」と固く信じる人に、変化変容の兆しを届けるために何ができるのか 】

という一つの答えとして、

『その人の可能性を信じ、寄り添い続ける』

青臭いようですが、そして簡単にはできないことですが、
非常にパワフルな解決策になりえるのではないか、

そんなことを思った次第です。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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<本日の名言>

人々は悲しみを分かち合ってくれる友達さえいれば、
悲しみを和らげられる。

ウィリアム・シェイクスピア
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