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2001号 2019年8月13日

今週の一冊『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』

(本日のお話 3551字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

現在夏休みをいただき、
宮崎の祖父母の家に来ております。

宮崎でゆっくりしておりますが、
台風20号の影響で早くも帰れなくなる恐れあり。

九州に来るたびに、何かしらの理由で、
閉じ込められているイメージがあります。
(去年の徳之島トライアスロンも台風、、、)

何か悪い事したかな。



さて、本日の話です

毎週日曜日に、お勧めの1冊を紹介する
「今週の1冊」のコーナーをお届けしておりましたが、
今週、すっかり忘れておりました(汗)

火曜日になってしまいましたが、
今週のオススメの一冊を皆様にご紹介させていただければと思います。


今週の一冊は、

======================================

『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』

ハンス・ロスリング (著), オーラ・ロスリング (著), アンナ・ロスリング・ロンランド (著),



=====================================

です。


■「賢い人ほど世界の真実を知らない」。

「ビルゲイツが大絶賛し、大卒の希望者全員にプレゼントした名著」

「名作中の名作。
 世界を正しく見るために欠かせない一冊だ」

「世界100万部のベストセラー。待望の日本上陸!」

、、などと帯に書かれているこの本。

私の周りでも読んだ人が「これはめちゃくちゃ面白い!」と言っていたので、
楽しみにしつつ、ようやく今週読むことができました。


結果、思ったのが、

「評判に負けない良書である」

そう思える、文字通りの名著でした。


■さて、この本は何が書かれているのか?

その話題に入る前に、
皆様に以下の質問をしたいと思います。

これは本の中でも紹介される質問。


Q1,世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?

A,低所得国
B,中所得国
C,高所得国

Q2,世界人口のうち極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう?

A,約2倍になった
B,あまり変わっていない
C,半分になった

Q3,自然災害で毎年なくなる人の数は、過去100年でどう変化したでしょう?

A,2倍以上になった
B,あまり変わっていない
C,半分以下になった


、、、さて、上記3つの質問に答えるとしたら、
皆様はどれが正解だと思われますか?


■この質問について、
世界中で何千人もの人たちに対して質問したところ
ほとんどの人が不正解であった、と言うのです。


例えば、

「Q1、世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?」
の答えは、正解率が平均で7%(!)。

ちなみに答えは、

「B,中所得国」

です。

1番正解率が高いスウェーデンでも正解率は25%。
イギリス、カナダ、オーストラリア、ドイツ、アメリカ、ベルギー、
韓国、フランス、スペイン、ハンガリーは10%以下の正解率でした。

ちなみに日本は10%の正解率。

そして「Q2」に関しても、
正解率は30%を切ります。
(ちなみに答えは「C、半分になった」です)


著者曰く、チンパンジーが、適当に
「A、B,C」のカードを引いて答えた方が、まだ正解率が高い、

すなわち、きちんと教育を受けたはずの人が、
チンパンジーよりも正解率が劣る、という。

しかも驚くべきことが、
これらの問いを世界の名だたる科学者や、
有名企業のエグゼクティブなどに行っても同じようや結果になったそう。


■これは「何かしらの認識違い」が、
世界中の知識人に起こっているに違いない。

すなわち、

”貧困、教育、環境、エネルギー、人口問題―
 賢い人ほど世界の真実を知らない”

これはどうやら事実のようなのです。

そして当然、問題を正しく認識していなければ、
正しい解を提案できるはずもなく、

間違った認識の下、我々社会の問題を解決する、より良くする社会人が、
とんちんかんな解決策を探し続けるということにもなりかねません。



、、、ではどうすれば、
私たちは真実を正しく認識することができるのか?

そのために、著者は

【ファクトフルネス】
(=データを基に世界を正しく見る習慣)

が必要であるといい、そのためには、

『「10の思い込み」を知ること』

が重要である、というのです。


そして、この『ファクトフルネス』では、
豊富な事例と、データと著者のエピソードのコラボレーションで
我々が持つ「10の思い込み」を350ページの著書の中で、
見事に”論破”してくれるのです。


■例えば、その「10の思い込み」の一つを紹介すると
そこには、

『分断本能』

と呼べるものがあると言います。


例えばよく言われるのが、

世界の中にある「先進国」と「途上国」という表現。


しかし、事実を正しく見ると、
そのように二つに分けるのは、
現実に即していないといいます。

そもそも、世界はそんなにシンプルではなく、
一つの国でも、色々な層(=高所得者、中所得者、低所得者)が混ざっている。

そして分け方は「所得」により暮らしが変わるという、
実にシンプルな話です。


「高所得者」。
これは1日32ドル以上で消費する裕福な人です。
これはベット。毎日が違う食事。歯ブラシも電動歯ブラシが買える。
(レベル4=世界で10億人。日本もここ)

次に、「中所得者(上位)」
1日8ドル消費できるレベルで貯金もできる。
自転車はあるし、水道も使えて、歯ブラシも、1人一本使える
ガスコンロを使えるし、毎日違うご飯が食べられる。
(レベル3=世界で20億人)

そして次に、「中所得者(下位)」。
1日3ドルの消費。しかし裸足からサンダルを買える余裕ができて、
停電がないときは、電気の明かりで宿題ができる。
マットレスを買って地べたで寝る生活をしなくても良いレベル。
ただ、病気をすると薬が必要。でも学校には行ける、
(レベル2=世界で30億人)

そして、「低所得者」。
1日1ドル。裸足で数時間かけて歩き、ぬかるみにたまった泥水を組み、
泥混じりのお粥を食べる人。毎日同じご飯で、風邪を引くと命に関わる。
学校に行く余裕はない。
(レベル1=世界で10億人)


■そして、それぞれがグラデーションのように分布をしており、
同じ国でも「レベル1~4」が混ざっていることがあるのに、

「物すごく豊かな先進国」と「極度の貧困」

しかないように誤解をしていることがある、
というのです。


例えばこの「ファクトフルネス」のような本を読んだり、
このような議論に参加する人たちは、レベル4の人たちであり、

その人たちにとっては、
レベル1と2の違いがわからず、”いっしょくた”にしがち。

しかし、その生活は当人にとっては、
大いなる違いで、教育や情報もトイレも水も、
使える時間もリスクもまるで違ってくる。

しかし、自分を中心に考えると、
まるで高層ビルの上から下を眺めて、
どの建物も同じような高さに感じるから同じように、
”貧困層”だとまとめてしまう。

実際はそこにいる人たちには大きな違いがあるにもかかわらず。


■わかりやすいし、シンプルだし、
対立する「豊かな人」と「貧しい人」という構造は、
ドラマチックで人の感情を煽る。

だから、「豊かな国が搾取している!」と、
問題を単純化してしまいそうになるけれども、
実際は”貧困層は激減している(20年で半分になっている)”のです。


もし、貧困層の問題が全く解決されていない!
と思っているとしたら、私達は事実を捉え違えているのかもしれないのです。



■その他にも、

・ネガティブな情報に引っ張られる「ネガティブ本能」

・自分が知っているパターンに当てはめたくなる「パターン化本能」、

・恐ろしい話(事故とか事件とか)に目が行きがちで誇張して捉えてしまう「恐怖本能」

・目の前の数字だけが重要に感じる「過大視本能」

、、、などなど、

私達の認識に、
どれほどの”バイアス”がかかっているのかを、
見つめるためのエピソードが盛りだくさんです。


この本を読めば、

・高齢者事故増加のニュースとか、
・自然災害のニュースとか、
・日本の貧困問題なども、

また違った視点で見えるはず。


(例えば、高齢者事故は、データを見ると、
 実際は「総数は減っている」のです。
 
 むしろ交通事故率は、10代が一番多い。

 しかし、ニュースで報道されると
「過大視本能」(それが全部だと思えてしまう)が働いて、
 事実が見えなくなるのです)


■自分のかけている「メガネ」(ものの見方)は、
知らず知らず、曇ってしまっています。

それは良い悪いでなく、
人の本能として、賢い人も皆、
そうなってしまうもの。

でも、自分がかけているメガネについて、
客観的な視点を持つことができれば、
”感情”ではなく”事実”として問題を捉えられるはず。

世界を俯瞰的に見たい知的探究心が高い方に、
是非オススメの一冊です。

(ちなみに、冒頭の問題の回答まとめは、

 Q1、B、中所得国
 Q2、C、約半分になった
 Q3、C、半分以下になった です)

レベル4の高所得国の私達は
きちんと知っておく必要があるな、とも思いました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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<今週の一冊>

『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』

ハンス・ロスリング (著), オーラ・ロスリング (著), アンナ・ロスリング・ロンランド (著),



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