今週の一冊『自分の強みを見つけよう ~「8つの知能」で未来を切り開く~』
(本日のお話 2853字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、ピアノのレッスンでした。
ピアノ発表会(カンパネラ)まであと22日。
カンパネラ=鐘 という意味で、美しい鐘のようになり続ける高温が特徴の曲ですが、
きたねぇ鐘の音しか鳴らせない今現在です(涙)
全く完成していませんが、少しでもマトモな状態に近づけられるよう、もがいてみたいと思います。
その他、家族で公園でお花見。
またランニング10kmなどでした。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、最近読んだ本から一冊をご紹介する「今週の一冊」のコーナーです。
個人的な話ですが、来年「強み」に関連する書籍を出版する中で、「強み」というタイトルがあるものを、ひたすらに読んでおります。なるほど、色々な切り口なものがあるんだなあ、と思いながら出会った一冊が本日ご紹介する本でございました。
今回の本のテーマは、ズバリ「多重知能理論」です。
「知能は8つに分けられる、そして8つの知能のでっこみひっこみのギザギザが形作るのが個性であり強みである」と提案しているのが、こちらの書籍です。
さて、ではどんな事が書いてあるのかを早速みてまいりましょう!
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『自分の強みを見つけよう~「8つの知能」で未来を切り開く~』
有賀 三夏 (著)
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<目次>
一人の中にいろんな知能が眠っている?!
「8つの知能」とは何か?
1. 論理数学的知能
2. 言語的知能
3. 音楽的知能
4. 空間的知能
5. 博物的知能
6. 身体運動的知能
7. 対人的知能
8. 内省的知能
「ギザギザ」の個性をどう活かすか?
まとめ:頭の良さを一つに求めない
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■一人の中にいろんな知能が眠っている?!
私たちはこれまでテストの点数や偏差値、IQテストの数値で「知能」が語られることのほうに、なれていたかもしれません。
そして、そうしたIQなどの「基礎的な知能の高さ」のようなものが、学力や、将来の進路、そして職業にまで影響する。そうした考えが比較的一般でした。
その中で、「頭の良さ=ひとつの尺度」という考え方に異議を唱えたのが、ハワード・ガードナー博士の『多重知能理論』でした。1983年、彼が発表した「多重知能理論」は、知能をひとつの数値ではなく、8つの異なる側面からとらえるというものです。
この考え方は、「人の能力は一律に測れるものではない」「誰もが違った“得意”を持っている」とし、「一つの能力観(一般知能のg因子の存在)」に反論するものとして、多くの人に支持されました。
■「8つの知能」とは何か?
繰り返しますが、本書の核心にあるのが、「人は誰しも8つの知能を持っている」という多重知能理論です。むしろそれが全てと言っても過言ではありません。
そして、それぞれの知能には得意・不得意があり、その組み合わせが私たちの「個性」や「知性のかたち」をつくっています。そして本書では、この「8つの知能」のスコアのばらつきによって、レーダーチャートがギザギザになる様子が「その人の個性であり強みである」としています。
ちなみに、これはその人の元来持っている素質的な知能に、「経験や学び」が加わることで、この知能が変化していくとしています。
それでは、どのようなものが8つの知能なのか。その分類分けを以下から見てみましょう。
<8つの知能の概要>
1. 論理数学的知能
数字や論理を使って、物事の関係性を理解し、順序立てて問題を解決する力。複雑な計算や理論的思考が得意な人は、この知能が高いとされる。
たとえば、会社の経理担当者、複雑な分岐を扱うプログラマー、論理的な設計を行うデザイナー、そして化学の研究者などが該当する。
この知能を伸ばすには、数学の問題に取り組んだり、論理パズルに挑戦することが効果的。
2. 言語的知能
文字や言葉を理解・表現する能力で、文章の読み書きや会話、説明、説得などに活用される。読解力や表現力が高く、新しい情報への理解もスムーズ。
詩人、小説家、弁護士、教師などがこの知能を多く活用している。
本を読み、自分の意見を言語化する習慣を持つことで、言語的知能はより高まる。
3. 音楽的知能
リズム、音感、音程、ハーモニーなど、音のパターンを感じ取り、表現する力。優れた耳を持つ指揮者や、感動を与える作曲家・演奏家などがこの知能に秀でているとされる。
楽器の演奏や作曲はもちろん、日常の中で音楽を聴くことも、この知能を育てる助けになる。
4. 空間的知能
視覚や空間の関係を捉え、イメージを思い描いたり構造的に理解する力。建築家や画家、彫刻家、パイロット、戦術的な判断を要するスポーツ選手などがこの知能を多用するとされる。
絵を描く、3D制作を行う、地図やパズルに取り組むことが、この能力の発達に有効である。
5. 博物的知能
自然界に存在する動植物や鉱物、人工物を識別・分類し、違いを理解する力。医師、動物園の飼育員、植物園の職員、農業従事者、または美術評論家や自動車整備士などがこの知能を活かしている。
図鑑を読む、身の回りのものに関心を持ち、それについて深掘りすることが博物的知能の成長につながるとされる。
6. 身体運動的知能
身体を使って自己表現をしたり、精緻な動きをコントロールする能力。スポーツ選手やダンサー、舞台役者、または手仕事を得意とする職人や大工、画家もこの知能が発達している。
この能力を高めるには、日常的に体を動かすことが第一歩。身振り手振りを交えて話すなどの行動も、身体運動的知能の刺激になる。
7. 対人的知能
他者の気持ちや感情を理解し、良好な人間関係を築く力。教師や医師、政治家、営業職、販売職など、人と関わる仕事をする人に多く見られる。
この知能は、人との関わりを通じて磨かれる。また、自分の行動を振り返ること、他人の話をよく聞く「聞き上手」であることも大切。
8. 内省的知能
自分自身の内面を深く見つめる力で、「自分は何者か」「何をしたいのか」といった問いに向き合う能力。探検家や芸術家、思想家のように、自らの内面と向き合いながら表現する人に多く見られる。
この知能を育てるには、自己分析を重ねることが有効。「自分とは何か?」という問いを、繰り返し心に投げかけてみることが第一歩となる。
■「ギザギザ」の個性をどう活かすか?
面白いのは、人の知能のプロファイルは“ギザギザ”であるということ。
すべての知能が平均的に高い人はいません。
むしろ、特定の知能が突出していることこそが個性であり、それを「レーザー型」と呼びます。たとえば、発明家やアーティストのように一つの才能が際立つ人は、レーザー型の典型です。
一方で、大きな偏りはなく、バランスよく複数の知能を発揮できる人もいます。こちらは「サーチライト型」と呼ばれ、特にビジネスの場などでは重宝されると言います。
このように、自分の知能の“ギザギザ”を知ることで、自分の強みや役割、可能性が見えてくると本書では述べています。
■まとめ:頭の良さを一つに求めない
本書が伝えているのが「頭の良さを一つに求めない」(一般知能への反論)であり、8つの知能に変えた時に「誰もが違いを持っている」というメッセージだと思います。
子どもにとっては、偏差値や点数に縛られず、自分の強みを信じるヒントになるでしょうし、大人にとっても、自分のキャリアや働き方、生き方を見直す視点をもたらそうとする一冊だと感じました。
一方「8つの知能」でも、どれか一つに抜きん出ているレーザー型だとわかりやすいですが、全体的にバランスが取れているサーチライト型だと特徴が見えづらい、というのはあるかもしれません。
いずれにせよ、「多重知能」という観点から強みを捉えようとする興味深い一冊だと感じた次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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