MBTIの歴史と概念が分かる本(2) ー『心理学的経営 個をあるがままに生かす』からの学びー
(本日のお話 2451字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
先日は広島にてワークショップ。
朝からホテルから原爆ドームまで6kmのランニングでした。
その後、「MBTI®を活用した自己理解とチームビルディングのワークショップ」を実施でした。
「流行っているWEBテストはしっくりこなかったけれど、
MBTIのワークショップで自分のタイプにしっくりきた」
と参加者の方からおっしゃっていただけて、
大変嬉しく思った次第です。
MBTIますますハマってきているこの頃です。
*
さて、本日のお話です。
それに関連して、大沢武志氏のバイブル的著書『心理学的経営 個をあるがままに生かす』を読み、その中にMBTIのことが詳しく書かれている、というお話を全開の記事で書かせていただきました。
まだまだ書きたいことが出てまいりましたので、今日は先日に続いて、MBTIをもう少し深堀りしたお話を、本書の学びから引用しつつ、ご紹介させていただければと思います。
それでは、どうぞ!
■1970年代後半の管理職のタイプ
本書の中で興味深かったデータの一つが、著者がMBTIに関する学会に発表したデータが紹介されているものです。
1975~1981年の日本のデータとなります。ここでは、TJタイプ(思考・判断)が明らかに多い、Eタイプ(外向)がやや多い、などが日本・アメリカ共に多いことが読み取れます。
(画像はnoteのURLをご参照ください)
その傾向を示すと、この時代の企業において「”タフマインド”なTJタイプが、”やさしい”FPタイプより明らかに多いということになる(P184)」と解説されています。
同時に重要な注意点も伝えています。それは以下のようなことです。
・管理的な状況で求められる行動様式に適合しやすい傾向が存在することは確かだが、TJタイプでなければ管理者がつとまらないということではない。
・基本的な4つの心理的機能すべてが必要であり、それぞれの個性が所を得て発揮されることがベストである。
そして、とても大切なのがこちらの記述です。以下引用いたします。
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管理者は自らの行動特徴をこのタイプ論を通して曇りなく知ることこそ重要であり、
劣等機能に気づき、自分と異なる機能を得意とする部下を評価し、受け入れる相補性に目を開くことが企業における個性化を一歩推し進める途につながるだろう。
P185
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人は、自分の指向が使いやすく、それを当たり前のものとして思ってしまう可能性があります。
逆を言えば、自分と反対のタイプは、自分の劣等機能を持っているものであり、馴染みがないと感じ、それらに対して適切に評価できない可能性がある。
そして、相手の話がわかりづらいと感じたり、場合によっては過小評価をしてしまう危険性すらあるわけです。
その危険性を下げること、人の個性を適切に評価するためには、一つの方法として、自分の無意識のふるまいを知ることです。
そしてそのためのツールがこうしたタイプ論の心理検査と読み解きを通じて、自己理解を深め、他者理解を進めることなのでしょう。
自分を深く知ることは、他者を知ること。
だからこそ、リーダーやマネジャーなど管理者は「自分を知ること」が必須である、改めてそのように思います。
■「タイプを演じている」という虚像
さて、先程の管理者には、TJ(思考・判断)タイプが多いということについて、人間の奥深さを感じる、こんな記述が続きます。
こちらも以下引用いたします。
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思考・判断(TJ)タイプが圧倒的に多数を占めているという傾向は、
たしかにこのタイプのもつ規律と効率を思考した合理主義が、企業組織に最も適応的であることを如実に物語っている一方で、このなかにある種の虚像が見えてくるのである。(中略)
企業の管理者はTJ的行動を演ずることで組織への適応を図り、組織とともに生きているのであるが、
そのとき自分のなかのFP的な感性や情趣を犠牲にしていることがある。
もちろん、そこには個人による違いがあって、まるで管理思考の世界に本能的に融合している場合もあれば、
何かを抑圧することによって適応を可能にしている場合もあるだろう。
P190
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この「何かを抑圧することによって適応を可能にしている場合もある」というのが、大変深いところです。
たとえば、私の友人でこんな事を言っている人がいました。
「これまで、自分は内向タイプであったが、職場では外向タイプを演じて生きてきた。特
に外資系であれば、そのほうが評価もされるし、都合がよかった」
と。しかし、その一方で「抑圧している自分」「本来の自分ではない感覚」を感じていたとのことで、それらを模索するためにキャリアを探索する選択へと踏み出しました。
こういうことが、特に社会的な圧力が強かったときには、「男性/女性はかくあるべし」というジェンダー的な思考、
あるいは「社会的な役割のあるべき論」などが強く影響して、自分の振る舞いに影響を与え、心理テストの結果を左右することになります。
すると、「あなたは外向タイプです」と心理テストの結果は語るけれど、そこには「抑圧されている無意識の部分」は反映されていないということになる。
この部分を紐解かなければ、社会的な性格(Persona)ではなく、自分のコアにある性格(Character)は見えてきません。
人の心、テストで答えただけでシンプルにわかるような単純なものでもないことを、改めて感じさせられます。
■まとめ:「人が変わったようだ」も心の発達かもしれない
この書籍のデータは1980年代前後であり、出版されたのも1993年なので、いわゆる昭和的な時代。
ゆえに、「会社に勤め上げる」「終身雇用」などの考えも今よりもより濃厚でした。
それに比べると、今は認知的な多様性も受け入れられており、働き方の多様性も拡がり、社会的な性格を演じる必要は、以前よりは和らいでいるのかもしれません。
しかし、誰しもがそうした「あるべき像」の影響は受けており、その中で抑圧されている人も、大いに考えられます。
そのときに、あるタイミングで「規律正しく合理的な鉄仮面のような企業戦士が、ある時を境に、急に感情的で涙もろくなり、感性重視のアーティストのようになった」みたいな話は、そうした抑圧していた自分に出会う旅路だったのかもしれません。
それも、「心の発達」のように捉えると、見方が変わるとも言えそうだな、などと思った次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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