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4524号 2026年7月15日

ニューロダイバーシティとHRM:企業のリアルな取り組み6領域

(本日のお話 2756字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、大学のリーダーシップ概論の最後の授業でした。

最後の発表を聞いて、それぞれの学生さんが、
それぞれの経験をしていたんだな、と嬉しく思うとともに、
あっという間に終わってしまったという時の早さも感じた次第です。

その他、午後から3件のミーティング。
夕方は6kmのランニングでした。

今週は研修が続くので、体調を大事にしつつ、
走り抜けたいと思います。



さて、本日のお話です。

先日より「ニューロダイバーシティ(脳の多様性)」に関する記事を
書き進めておりますが、今日もその続きです。

本日ご紹介するのは、

「企業がニューロダイバーシティに対して
どのような取り組みを行っているのか」

を、実務ベースでレビューした研究です。

研究チームは、ニューロダイバーシティに関するプログラムや実務を導入している組織を
インターネットで検索し、新たな情報が得られなくなる「飽和点」に達するまで、
その施策や方針、プログラムの内容をひたすら記録していきました。

その結果、「6つの領域で具体的な取り組み」が抽出されたとのこと。

今まさにニューロダイバーシティを活かすための組織づくりを考えている方にとって、
一つの参考になるのではないかと思います。

それでは、どうぞ!

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<今回の論文>
・タイトル:Neurodiversity and HRM: a practice-based review and research agenda
(ニューロダイバーシティとHRM(人的資源管理):実務に基づくレビューと研究課題)
・出版:Equality, Diversity and Inclusion: An International Journal, 2024年, 第43巻第7号, 1119-1129頁
・著者:Sophie Hennekam, Kayla Follmer
・所属:Sophie Hennekam(フランス、Audencia Nantes, School of Management)/Kayla Follmer(アメリカ、West Virginia University, Department of Management)
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■30秒でわかるこの論文のポイント

・世界人口の約15〜20%がニューロダイバージェント(神経非定型)と推定されており、その割合は増加傾向にある

・企業の取り組み(実務)は、学術研究よりも先行して進んでいる

・大手企業のウェブサイト情報をもとに、
「選考・採用」「オンボーディング」「ジョブデザイン」「柔軟な働き方」「研修」「ERG(従業員リソースグループ)とサポート」という6つの領域に整理された

・多くの施策はまだ実証的に検証されておらず、今後の研究課題として残されている

■研究の背景と目的

・背景:
世界人口の15%〜20%がニューロダイバージェント(自閉症、ADHD、失読症など)と推定されていますが、
労働市場では高い失業率や偏見に直面し、不安定な立場にあります。
一方で、彼らは組織にとって貴重な未開拓の才能プールでもあると考えられます。

・研究の目的:
組織がニューロダイバージェントな人材を包摂(インクルージョン)するための
効果的なHR方針や実務を明らかにし、共有して発展させることを目的とします。
「ニューロダイバーシティに関するHR施策から何を学べるか」を追究します。

■研究の方法

学術的な関心が高まる一方で、
実際の企業の取り組みの方がずっと先を行っている。
そのギャップを埋めるために、研究チームは「実務ベースのレビュー」という手法を採りました。

具体的には、
ニューロダイバーシティに関するプログラムを導入している組織をインターネット上で探し出し、
新しい情報がもう出てこなくなる「飽和点」に達するまで、
施策や方針、プログラムの内容を丹念に記録していったとのことです。

■6つの領域に見る、企業のリアルな取り組み

調査の結果、企業の施策は大きく6つの領域に整理されました。

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◯⑴ 選考と採用
・会話力ではなく、実際の業務能力を見るスクリーニングへの移行(Bank of America)
・数週間かけてじっくり適性を見極めるインターンシップ形式の選考(Westpac、Chevron、Ultranauts)
・目を合わせない、体を揺らすといった行動を不採用の理由にしないための研修(IBM)

◯⑵ オンボーディング・統合・定着
・孤独感をやわらげる「ランチメイト」の用意(JPMorgan Chase)
・専門研修を受けた「バディ」やジョブコーチの配置(EY)
・個人の強みを丁寧に評価し、力を発揮しやすい職務へ配置することで定着率を高める工夫(Westpac)

◯⑶ ジョブデザイン
・テキスト・音声・動画など、複数のコミュニケーション手段の用意(Ultranauts)
・複雑な指示をやさしい言葉に変換するアプリの導入(IBM)
・失読症や失書症のある社員を支えるアシスティブ・テクノロジーの提供(Microsoft)

◯⑷ 柔軟な働き方とリモートワーク
・勤務時間を自分の能力やライフスタイルに合わせて選べる仕組み(Ultranauts)
・完全在宅勤務による「マスキング(周囲に合わせて無理に取り繕うこと)」の軽減
・音や光といった環境刺激を自分でコントロールできることによるパフォーマンス向上

◯⑸ 研修
・管理職・リーダー向けの無意識バイアス研修(Dell)
・配属先の同僚全員を対象にした自閉症理解プログラム(Westpac)
・専門コンサルタントによる意識向上研修(DXCの「Dandelion Program」)

◯⑹ 従業員リソースグループとサポート
・当事者同士がつながり、理解者を巻き込むコミュニティづくり(AT&T、Westpac、Dell)
・特性ごとに細分化された個別グループの設置(Microsoftでは20以上)
・業務スキルだけでなく、財務管理やセルフケアといった「生活スキル」までを支える包括的なプログラム(DXCの「Dandelion Program」)
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採用の入り口から、日々の働き方、そして仲間づくりまで。

企業はすでに、かなり具体的なところまで手を伸ばし始めている、

というのが今回の調査から見えてきた実態です。

■まとめと感想

改めて内容を見返してみると、
選考と採用の場面でバイアスの排除と外部連携を行っていたり、
オンボーディングの場面で「ランチメイト」を用意したり「バディ」を採用したり、
ジョブデザインの場面でテクノロジー支援を行ったり、様々な施策があるのだな、と思いました。

こうした施策が、
大手企業ですでに具体的なかたちで行われているというところに、
少しずつこの領域への注目が集まってきているのだなと感じます。

一方で、こうした施策の多くはASD(自閉症)の事例に偏っているというのも事実です。

失読症のような識字に関わる特性や、
いわゆる「発達グレー」と呼ばれるようなADHDなど、
そうしたグレーゾーンにいる人たちへの施策というのは、
まだまだこれからなのかもなと感じた次第です。

一人ひとりの特性の違いに丁寧に向き合っていくこと。
その積み重ねの先に、誰にとっても働きやすい職場があるのかもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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