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4630号 2026年10月29日

読書レビュー『人材開発・組織開発の臨床知: 科学知ではつかみとれないプロフェッショナルたちの流儀』

(本日のお話:1950 字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、某IT企業の新入社員の皆さまへのフォロー研修の実施でした。
テーマは「プロアクティブ行動」。フィードバック探索を実際にOJTトレーナー、上司の方に行った上で個人やペアでリフレクションをし、アクションを考えるというもの。
同期同士で、振り返りをすることで、何に取り組むべきなのか、優先順位をつけていただきました。皆様のこれからの活躍、引き続き応援しております!
また、夕方からは17kmのランニング。
*
さて、本日のお話です。
本日は、人材開発・組織開発にまつわる
待望の書籍のご紹介をさせていただきます。
こちらの一冊でございます。

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『人材開発・組織開発の臨床知:
科学知ではつかみとれないプロフェッショナルたちの流儀』

中原 淳 (著)/ 東京大学出版会
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数々の人材開発・組織開発の言葉を、
私たちのシャバ(職場)に届けてこられてきた、
立教大学教授の中原先生による最新の書籍です。

ということで、これから数回にわたって、
本書の読書レビューを進めていきたいと思います。
本日は、本書の概要について、私なりにまとめてみたいと思います。
それでは、どうぞ!

■人材開発・組織開発の「新章」がはじまった

本書は、その紹介文で

「科学知を追求してきた著者が切り拓く、新たな地平。」

と書かれています。

中原先生のこれまでの書籍は、私の印象だと、
統計やデータを扱った定量的な分析が多く、
論理性と説得力を土台にして、それを構造化して、
時にユーモアも含めながら、
世に「人づくり・組織づくりの言葉やフレーム」を届けられています。

フィードバックも、越境学習も、経験学習もそう。
組織開発の3ステップ(見える化→ガチ対話→未来づくり)もそう。
実際に、外部支援者として人・組織づくりに関わる中で、
たくさんの武器を渡していただいてきました。
(感謝ばかりでございます…!)

その中で、この著書は、
それらの「エビデンスやデータに基づいた科学知」とは違う
「人材開発・組織開発の臨床知」ということで、
その道10年以上のプロフェッショナルの実践者10名の
「生々しい物語」が描かれています。

本書を手にして「人材開発・組織開発の『新章』が始まった」、
私にはそんな感覚がありました

■「高級チョコマシュマロ」を1粒ずつ味わうような本

ちなみに、私自身が中原先生から学んだ身であるゆえ、
登場される10名の方のうち、9名の方は存じ上げており、
親しくさせていただいている(と私は思っている笑)方も
何名かいらっしゃって、その「物語」を読むときに、
「一気に読んではもったいない」と思う気持ちがありました。

先日、妻がデパートで「手作りチョコマシュマロ(8粒入り)」なる、
高級そうなお菓子を珍しく買ってきました。
「プレゼント用のおすすめのお菓子を試したくって」と言いながら。
その1粒1粒がたいそう美味しく、
コーヒーとともにじっくり味わいながら、幸せな気持ちになっていました。

そして本書は、たとえるならば、
まさにこの「高級チョコマシュマロ」を1粒1粒味わうようでした。
一気に食べるのは、もったいない。
ちょっと襟を正して、一人ひとりが生きてきた物語や、
その価値観が反映された独自の関わりに触れることで、
自分自身のあり方を振り返らされる。
そんな気持ちになります。

そんな気持ちで、現在も、10名のプロフェッショナルの物語を、
引き続き、読み進めさせていただいております。

■「理論編:研究の方法」を読んで思ったこと

本書では、「はじめに」に続いて、第一章は「理論編」へと続きます。
そこでは「1.人材開発・組織開発とは何か?」という、
これまでの大きな流れや地図が描かれ、
その上で、今回の「2.臨床知を探求する方法」へと続きます。

定量的研究、定性的研究には様々な方法がある、
くらいは知っているのですが、
「人材開発・組織開発のプロフェッショナルの臨床知」を探求する上で、
どのような方法を選ぶのか?、について、
このパートで書かれていました。

「コモンセンス(多くの人に共有されている概念や考え)の上に建物を立てていく学問」と
「コモンセンスの下に潜る学問」の2つがあり、
今回の「臨床知」は、後者のものであること。

コモンセンスの下には、何かがある。
でも、何があるかもわからないし、どうやって潜るかもわからない。
これまでの研究方法を一旦脇に置いて、
どのように「臨床知」を探求していくのか。
その具体的な方法が詳しく語られる前に、こんな一文があります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コモンセンスの「下」に「潜ること」は
コモンセンスの「上」に「建物を立てる」ようにはいかない。(中略)
ただ、わたしたちは、それでも、自分の身を地中に沈め「潜る」のである。
カンテラの光さえ届かぬ世界の果てには「何が待っているのか」を知らず、
しかし、そこに「何かがあること」を祈り、深く、潜る。

P28
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これを読んだ時に、私は心が震えました。
「新しい地平」を見る覚悟とは、こういうことなのかもしれないな、
と思ったのでした。

ということで、今日はここまでといたします。
「実践編」の「高級チョコマシュマロ」については、
また後日、読んで、私が思ったことを、書いていきたいと思います。
自分もいち実践者として、読みながら、
すでに10名の物語に、自分のあり方が揺さぶられています。
そんな本です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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