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2746号 2021年8月28日

最近接発達領域~「頭一つ抜きん出た人」が成長を促す~

(本日のお話 1934字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
夜はキックボクシングジムへ。

さて、早速ですが本日のお話です。

今日は大学院で学んだ

”最近接発達領域”

なるものについて、
改めて皆さまにお伝えできればと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、

【最近接発達領域 ~「頭一つ抜きん出た人」が成長を促す~ 】

それでは、どうぞ。

■「人が学ぶ」とはなにか。

本から学ぶ。
研修から学ぶ。
他者から学ぶ。

色々な学び方がありますね。

その中でも、

『学習環境デザイン』

という考え方があります。

これは、学びには

”学習者が学習の起きる環境に
アクセスしやすくすること”

が大切である、
という考え方です。

■例えば、

・上司や先輩を育成担当として付ける、

・新人に出来る仕事を割り当てる、

・振り返りシートを提出するルールを職場に設ける

などなど。

、、、要は

「学びが起こらざるを得ない環境」を設定すれば、
人は学ぶものだよね、

ということ。

■さて、そんな
「学習環境デザイン」に関連する
有名な理論家の一人に、

ロシアの心理学者レフ・ヴィゴツキー

という人がいます。

彼は、

【最近接発達領域】

という考え方を提唱しました。

「最近接発達領域」とは何か?

これは、

・ひとは様々な「媒介(道具・他者)」を利用して、行為する

・媒介は次第に内化する(精神間機能が精神内機能になる)

・媒介を「収奪」して熟達する

・個人の中に「媒介」を介して、出来ることが増える。

・「独力でできること」と
「他者(外界)の助けを借りてできること」の差

これを【最近接発達領域(Zone of proximal development)】と呼ぶ、

というお話です。

■例えば、仕事で言えば、

”配属されたばかりの新人が、
上司や先輩の力を借りて、
企画書や見積書を作成する”

というのはまさにこれ。

つまり、

・新人は「媒介(先輩の力)」を利用して、
行為する(企画書を作る)

し、

・新人は、媒介(先輩の力)を
「収奪(パクって)」して熟達する

のです。

新人が今、自分一人の力で
出来ることは少なくとも

身近に
「頭一つ抜きん出た先輩」がいたとして、
その人(媒介)の力を借りれば、

一人でできなかったことが
背伸びをしてできるようになります。

■ただし、ポイントは

「頭一つ」というところです。

”Zone of proximal development”の
Proximalは「近位」を意味します。

ちょっと近い人だから、
発達が想像できるのです。

例えば、

その人が1段、2段上くらいの先輩ではなく、

”頭10コ分くらい突き抜けている
すごすぎる人”

の場合、

「こりゃ到底真似できないわ、、、」と
心理的に距離が開きすぎてしまいます。

すると、

【最近接発達領域】にはならない、

ということかと。

■ちなみ、私の妻に
この話の話をしていたら、

「これ、私が初めてフルマラソンを
完走できたときの話だ」

と語ってくれました。

(ちょっと話が離れますが、
お付き合いいただければと、、、)

10年ほど前、妻はフルマラソンに
チャレンジをしたのですが、

それまで何度か大会に出たものの、
完走が出来ませんでした。

理由は、

「20キロを超えると足が重たくなり、
足が壊れそうで、それ以上走れなかった」

とのこと。

■しかし、その後、
私(紀藤)が100キロマラソンに
挑戦をすることになりました。

その際、妻は応援に来ておりましたが
60キロ地点で私はほぼ完全に足が壊れて
足を引きずって走っていました。

それを見て妻は、

「こりゃ、100キロは絶対ムリ。
足壊れているしもう40キロは走れない」

と思ったそうです。

ただ、結果足を引きずりつつ
そこかもう40キロ走り、結局完走をしました。

それを見た時に妻は、

「あの状態で40キロを走れるのであれば
私も走れるのではないか」
(=完走への心理的距離がぐっと近づいた)

と感じたそう。

その後、私が練習がてら
ややスパルタぎみに

「もっといける」
「もっと長く走れる」

とハッパをかけてみた結果、
フルマラソンを完走できるようになった、

というお話。

ちょっとずれるようですが、要は

・「頭一つ抜きん出た人」の存在

・「頭一つ抜きん出た人」の支援(媒介)

により、

”自分の発達が引き上げられる”

という現象が起こったという意味で、

【最近接発達領域】

の一つの例ではなかろうか、、、

と思うわけです。

■、、、とすると、

自らを高めていく上で
「何を学ぶか」も大事ですが

『「誰と学ぶか」は更に大事』

といえるかもしれません。

自分の身の回りの「学習環境」を
意図して選ぶこと。

あえて、

・尊敬できる人、
・刺激を与えてくれる人、
・頭一つ抜きん出た人、

等の中に飛び込むことで、

自分の発達領域が
他者によって引き上げられ
さらなる成長を遂げていく、

とも考えられます。

■成長には、
「頭一つ抜きん出た人」(媒介)を活用すること。

あるいは、

自転車の補助輪的な道具で
自分の能力を引き上げ、発達させること。

【最近接発達領域】

を意識しつつ、
自分を育てることを考えてみることで、

さらなる発達が見込めるのでないか、
というお話でした。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

人間は、他人の経験を利用するという
特殊能力を持った動物である。

R・G・コリングウッド(イギリスの歴史学者/1889-1943)

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