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2758号 2021年9月9日

事実とデータが正しいとは限らない!? フッサールの「今、ここの経験」から、組織開発を考える

(本日のお話 1556字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は4件の打ち合わせ。

ならびに夜は本間正人先生の、
コーチングのワークセッションの受講。
コーチングは、実に奥が深いです。



さて、本日のお話です。

「組織開発」を考える上で、
大きな影響を与えた哲学者がいます。

エトムント・フッサールなる人物。

今日はこの哲学者のご紹介と、
そこからの学びと気づきを
ご紹介させていただければと思います。

それでは、まいりましょう!

タイトルは、

【事実とデータが正しいとは限らない!?
フッサールの「今、ここの経験」から、組織開発を考える】

それでは、どうぞ。

■フッサール(1859~1938)。

彼は『現象学』という
哲学の分野を提唱した哲学者です。

フッサールが生きていた19世紀。

近代自然科学の発展により

「客観的で測定できるものが
素晴らしい!」

という流れが生まれていきました。

■元々、学問の王様は
「哲学」だったのです。

しかし、

ガリレイやニュートンなどが活躍し、
数学、物理学を中心に「自然科学」が発展していくのです。

数字、データなど、
論理的かつ自明のものは実にパワフルです。

ゆえに、客観的な自然科学が哲学を圧倒し
その副作用のように

「個人の経験や主観」などの”人々の感覚”が
次第に軽視されるような風潮が生まれていきました。

■この状況に、
フッサールは危機感を覚えます。

そして思うわけです。

「、、、とはいっても、
そもそも我々が見ているこの世界すら、
存在しているかどうかなどわからない」

そうして、

『今、ここの経験』(Here&Now)

の重要性を語ったのでした。

、、、と、ざっくり私は理解しております。
詳しくは著書を読んでみてくださいませ。

■客観的なデータや数字が
主観的な”個人の感覚や経験”を
駆逐してしまう。

「数字は?データは?根拠は?」。

そうして客観的な事実に着目して、
それらが意識下で膨張していくと、

確かに存在している”個人の感覚”、
つまり「今、ここの経験」から
乖離していってしまうという懸念は、

現代の私たちを振り返っても
しっくりくるように感じます。

■そして、

このフッサールの考えは、
現在の「組織開発」にも
大いにリンクしているといえるそうです。

例えば、現在
「データドリブン人事」などと言われます。

なんだかややこしそうな

・エンゲージメント・パルス・サーベイとか、
・タレント・マネジメント・システムとか、
・ウェルビーイング・スコアとか

色々なデータを測定するテクノロジー、
ツールがたくさん出てきています。

ちなみにそれ自体は否定するつもりはなく、
現実を客観的に捉えることを助ける
便利でありがたいツールです。

■、、、しかし、です。

それらの”データのみ”が先行して、

「あなたの職場は、
サーベイ結果からこういう部分が
よろしくないようだ」

と事実と理論をもとに、
課題を特定されたとしても、

”それだけで何かが変わることはない”

と思うわけです。

■客観的データ以上に、
本当に大事なのは主観。

組織であれば

『そこで働く人々の感覚
「今、ここでの経験」』

こそが主役である、と私は思います。

今、ここにいる私たちが、

「何を問題と捉えるのか」
「皆でどんな未来を作っていきたいのか」

という、

”今ここの経験”にこそ光が当てられ
大切にされてこそ現実が作られていく。

データや事実など測定可能な科学だけが
前に出たとしても、出来ることは限られている、、、

と私は思います。

これは、フッサールが語った、

「反科学」の精神
『今、ここの経験』(Here&Now)

が現代の私たちに
問うているように感じます。

■理論やデータ至上主義になってはいまいか。

そこにいる人々の感覚を、
ないがしろにしていないだろうか。

大切なものは、目に見えない(by星の王子さま)。

目に見えるもの(科学)だけではなく、
目に見えないもの(直接経験)に光を当て、
大切にしてこそ、組織は開発されていく、

そんなことを考えさせられた次第です。

「今、ここの経験」。

大事にしたいものですね。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

一人で見る夢は、それは夢にしか過ぎない。
しかし、みんなで見る夢は現実となる。

エドゥアルド・ガレアーノ(ウルグアイのジャーナリスト/1940-)

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