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2967号 2022年4月6日

チームの効果性を高めるための”5つの条件” ~「TDS」のご紹介(後編)~

(本日のお話 3156文字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は大学院のプロジェクトに関するインタビューの実施。
また夕方からは15キロのランニングでした。

5月の100キロマラソンまであと約1ヶ月。
息抜きがてら走り続けたいと思います。



さて、本日のお話です。

今日も昨日に引き続き、

「チームの効果性」についての論文、

Wageman and Hackman(2005)
Team Diagnostic Survey Development of an Instrument

を、皆さまにご紹介させていただきたいと思います。

現場でも活用できそうな、
「チームの効果性を見定める視点」が
手に入る内容になっていると感じます。

それでは、早速まいりましょう!

タイトルは、

【チームの効果性を高めるための”5つの条件” ~「TDS」のご紹介(後編)~】

それでは、どうぞ。

■成果を上げることができる
「効果的なチーム」とは、

どのような特徴を持つのか?

組織に所属し、
チームとして働く多くの人が、
気になるテーマではないか、

と思います。

そして昨日のお話では、
「効果的なチーム」の基準として

1,「クライアントの期待を超えて」いるか

2,「チームプロセスがメンバーの能力を高めて」いるか

3,「チームでの経験がメンバーの学習と幸福を高めて」いるか

の3つの視点で見ることができる、
というお話をご紹介しました。

■ではそのような「効果的なチーム」を作る上で
何が必要なのか?

今回ご紹介させていただく
TDS(Team Diagnostic Survey=チーム診断アンケート)には
ベースとなる「理論」があります。

そしてそこでは、

”「5つの条件」が揃ったときに、
チームの効果が発揮される可能性が高くなる”

と述べています。

その内容が、成果を出すチームづくりのために
大変参考になるな、と思ったのでした。

以下、まとめてみました。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【チームの効果性を高める「5つの条件」】

(1)本物のチームである(Real Team)>

・「本物のチーム」とは3つの特徴がある。
第1に、メンバーと非メンバーを区別する明確な境界線がある。
第2に、メンバー同士が何らかの目的のために相互依存しており、連帯責任を負う結果を生み出している。
第3に、メンバーがある程度安定しており、お互いに協力する時間と機会が与えられている。

・要は、”チーム”と名前はついているものの、
上記のような状況でなければ、お互いが個々でバラバラに集まっているだけになってしまう。
よって、上記の特徴を満たしていることがチームの効果性を高める。

(2)説得力のある方向性(Compelling direction)

・「説得力のある方向性」とは、
”チーム全体の目的を特定すること”である。

・良いチームの方向性は、
ー挑戦的で(メンバーに活力を与え)
ー明確で(主たる目的に向かわせる)
ー結果的で(メンバーの才能を発揮させる)ものであること。

・ポイントは「目的」は明確にするが、「手段」はチームメンバーに任せること。
そうすることでモチベーションが高まる。

(3)実現可能な構造(Enabling Structure)

・チームには、しばしば構造的な問題により、成果を発揮できないことがある。
有能なチームワークのために、以下「3つの構造的特徴」が重要である

a)タスク設計:
・チームタスクが全体として意味がある作業である
・メンバーが作業手順について判断できる自律性がある
・メンバーが定期的に、結果や知識を提供できる

b) チーム構成:
・チームの規模は、達成すべき仕事に対して、”可能な限り小さくする”こと。
・また、十分な”タスク&対人スキルを持つメンバーで構成”する必要がある。
・お互いのリソースが重複せず、かといって異なりすぎて調整できないこともない
”多様性のあるメンバーで構成する”こと。

c)コアとなる行動規範:
・メンバーの行動に関する基本的な規範を明確に定める必要がある。
・そのことによって、グループ内で許容される行動の種類について理解でき、
チームの課題と状況に応じた行動がしやすくなる

(4)支援的な組織の状況(Supportive Organizational Context)

・チームが行う仕事に対して、人事制度が専門的に設計され、
支援されている状況であることが、チームの効果性のために重要である。

・特に、以下の3つの特徴はチームにとって重要である。

a)報酬制度:
・優れたチームパフォーマンスに対してポジティブな結果をもたらすものにする。
・個人重視の評価・報酬制度にありがちな、コラボレーションを阻害するものは望ましくない。

b)教育システム:
・チームの自発的な意志によって、
知識・技能などについて、教育的支援を利用できるようにする

c)情報システム:
・チームのタスクと状況に対して、戦略を考案するために
必要なデータ等をメンバーに提供する必要がある

(5)利用できる、専門家のコーチング(Available, expert coaching)

・チーム設計のひどい欠陥を補うことはできないが、
専門家のコーチングによって、チームパフォーマンスを高めるために、
支援をすることができる。

・コーチの役割は、チームプロセスの損失を最小限に抑え、
利益を獲得する機会を最大化することを支援すること。

・コーチが提供できる具体的な支援策について
「a)努力」:
・メンバーの協調性とモチベーションの問題を最小限に抑える。
・グループとそのタスクへのコミットメントの構築を支援する
「b)パフォーマンス戦略」:
・タスクや状況にそぐわない習慣的なルーチンに頼ることを避ける
・タスク要件に適合した仕事の進め方をできるように支援
「c)知識と技能」:
・アイデアや貢献などに対する、評価されない点に固執することを避ける
・専門知識を共有し、チームのスキルのレパートリーを増やす

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

■ちょっと、

文字が凝縮されており、
かつ英文の翻訳ですっと入りづらい
内容だったかもしれません。

私(紀藤)なりに
情報を割愛しつつ、
あらためて平易に表現すると、

1「名ばかりチーム」ではなく
『リアルチーム』なのか?

2)チームには、ワクワクできる
『共通の目的』があるか?

3)現実的な話として、目的を達成するための
『構造(タスク設計や能力あるメンバー』はあるか?

4)頑張ったら評価される
『組織の評価制度』などはあるか?

5)チームが孤立せずに、外部的な支援として
『専門家のコーチング』が利用できるか?

、、、これが、

「効果的なチームの5つの条件」

といえるのではないか、ということ。

■このどれもが大事なのですが、
特に私が興味深い、と思ったことが、

”5)専門家のコーチング が利用できる”

というところです。

なんとなく

チーム内の問題は
チーム内で解決せよ、

という風潮があるように思いますが、

そのチームが発達し
そして成果を出せる効果的なチームに
近づくのであれば、

そのチーム内だけに完結させる必要は
決してないな、と思ったのです。

■どうしても、

・いつものメンバー
・いつものリーダーシップ
・いつもの進め方

でやっていると、

チームのプロセスも
仕事の進め方も硬直しがち。

その中で、外部の客観的な視点から
意見を投げかけたり、

あるいはそのチームに存在している
別のアイデアを引き出すことで、

「いつものパターン」→「より効果的なパターン」

へと引き上げてくれる可能性は
確かにあるな、と思います。

■今回の「5つの条件」は

あくまでも”(望ましい)条件”である、
と思ったほうが、個人的には良いともいます。

組織の状況などから、
それらの条件を整えることができないことも、
きっとあるでしょう。

それでも、上記の5つの視点をもって、

・今の自分たちのチームの
現状はどのような状態なのか?

・自分たちで変えられることは
どのようなことがあるのだろうか?

そのように考えることで、

今よりも更に良いチームへと
近づくためのヒントにもなる、

と思います。

■TDS(Team Diagnostic Survey)では

これらの5つの条件から、
サーベイを構築しています。

その質問項目については、
更にマニアックになりますが(汗)

また機会があれば
ご紹介できればと思います。

ご参考になれば幸いです。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

間違っていましたと認めることを恥じる必要はない。
それは、今日は機能より賢くなったということなのだから。

アレキサンダー・ポープ(イギリスの詩人/1688-1744)

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