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3007号 2022年5月16日

学びを促進 or 阻害するマネジャーの行動とは ~論文『ラインマネジャーと職場学習』より~

(本日のお話 2353文字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は朝8時から、
大学院の仲間5名と皇居ランニング10キロ。
その他、大学院の課題など。

またウルトラマラソン(100キロ)まであと6日。
完走に向けて、準備を整えて参りたいと思います。



さて、本日のお話です。

先日より「マネジリアルコーチング論」という
授業を学んでおりますが実践知に溢れており、
たいへん役立っております。

その中で

Beattie, R. S. (2006).
『Line managers and workplace learning:Learning from the voluntary sector.』
(ラインマネジャーと職場学習:ボランタリー部門からの学び)

なる論文を読んだのですが、
「なるほどな」と納得する話でございましたので

今日はその内容について、
皆様にご共有させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、

【学びを促進 or 阻害するマネジャーの行動とは
~論文『ラインマネジャーと職場学習』より~】

それでは、どうぞ。

■職場でのマネジャーの影響は、
実に大きいものですね。

冒頭から話が飛びますが
先日、友人とお茶をしていたときに、

「子供の学校の校長先生の影響は
実に大きいよね」

という話になりました。



曰く、子供が通っている学校で
ちょっと前まで荒れまくっていた中学校が、

校長先生が変わったことで
ガラリと雰囲気が変わり皆、学ぶようになった

、、、というエピソードを
教えてくれました。

■学校現場でいう”教頭先生”や”校長先生”は
いわゆる管理職と呼ばれる分類になるそうですが、
これらのエピソードは、
職場でもその他でも見聞し、時に体験する

”リーダーの影響あるある”

の話だなあ、と感じておりました。

■さて、そんな前置きの上、
冒頭でご紹介させていただいた

『Line managers and workplace learning:Learning from the voluntary sector.』
(ラインマネジャーと職場学習:ボランタリー部門からの学び)

の話に移しますと、
この論文、何が書かれているかというと、

”ラインマネジャー(管理職)が
どのような学習促進策を講じているのかを明らかにする”

という目的で研究されたことが
まとめられています。

■概要について、
以下、ざっくりですがまとめます。

まず対象ですが、

・約1000名規模のソーシャルケア慈善団体
約750名の社会福祉団体のあらゆるレベルのラインマネジャー

に対して行いました。

そして、調査方法として

・研究者が組織に約3週間滞在し、
職場を訪問し、観察し、インタビューを行う

という形でデータ収集を行い、

・マネジャーの行動を理論化する

というプロセスを踏みました。

(※専門的に言うと、
・「エスノグラフィー」という手法(現場への滞在・観察)、
・「集中半構造化インタビュー」という手法(60名へのインタビュー)
・「グラウンデットセオリー」で理論化した、とのこと)

■そして、結果わかったことは
以下のようなことでした。

まず1つ目が、

「職場の学習を促進する
マネジャーの行動とは何か?」

という問いについて。

これについては

『ラインマネジャーは、会議や日常の業務など
様々な文脈で「さまざまな学習促進行動」を取っている』

ことがわかりました。

「よし、教育するぞ!」という、
THE・教育的な場面だけでなく、

何気ない会話や業務の中で、
様々な支援をしていたわけです。



そして、どんな学習支援行動をしていたかというと、
以下のようなものでした。

※観察頻度が高かったものから順に並べています。

<マネジャーの学習促進行動>
1,配慮(サポートする、励ます、共感する等)
2,情報提供(知識の共有)
3,プロフェッショナルである(真似したいと思う行動をする、計画や準備をする)
4,アドバイス(指導する、コーチングする)
5,評価する(評価、フィードバックをする)
6,考えさせる(過去に起こったこと、起こりそうな事を考えさせる)
7,エンパワーメント(任せる、信頼する)
8,開発する(技能・知識の習得を促し、他者を育成する)
9,チャレンジさせる(人を刺激し、ストレッチさせる)

、、、とのこと。

「配慮」や「情報提供」などは、
よく観察されるけれども、

「考えさせる」とか「チャレンジさせる」などは、
あまり観察されない、というところがリアルですね。

■そして、次に、

「職場の学習を”阻害する”
マネジャーの行動とは何か?」

という問いについても
探究がなされています。

促進ではなく、「阻害」。
、、、非常に興味深いところです。

この問いについての結論は

『マネジャーである自分自身が
教育や訓練を受けないこと』

が学習を阻害する要因になっていたそうです。

うーん、これも想像に難くありませんが
現場でまま起こっていそうな、生々しい結論ですね。。。

■と論文で語られていたことの
一部を抜粋してお伝えさせていただきましたが、
どのように感じましたでしょうか?

おそらくご意見は様々でyそうが、
私が個人的に思ったことは、いくつかありました。

まず一番は

『マネジャーが
自分自身を教育することの大切さ』

です。

しばしば管理職研修で、
マネジャーに「部下育成の手法を伝える」
というシーンがあります。

、、、が、

”本人がそもそも学んでいないし、
学ぶ必要も感じていない”

のだとしたら、おそらく、
現場で学びを促すことはありません。

当たり前っちゃ当たり前ですが、
ここを考慮せずに、育成ヨロシク!
としても、あまり現実的でない、と思うのです。。。

、、、とすると、
急がば回れではないですが
状況によっては、

マネジャー自身が
変化変容する喜びや意義を知ることから
やはり始める必要があるのだろうな、

とも思います。

■そして、もう一つですが。

『自分のよくやる(orやらない)
行動を知ることとの大切さ』

です。

上記に、マネジャーから観察された
学習促進行動を9つご紹介いたしましたが、

これは古今東西、どこでも
やられているマネジャーの行動だと思われます。

その中で上記を一つの指標として
自分自身に照らし合わせてみると、

・自分がよく行っている行動
・あまり行っていない行動

があると思います。

やはり、観察が少なかった

・信頼する、任せる
・技能・知識の習得を促す
・チャレンジを促す

などは、意識的に行わないと、
ハードルが高い行動、と言えるかもしれませんし、
同時にそれは「(管理者としての)伸びしろ」
とも言えるのかもしれません。
(自戒を込めて、、、です)

■ということで、
以上論文からの学びの共有でした。

やっぱり自分が学ぶことが
大事なんだよな、

としみじみ考えさせられた
次第でございます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>

人は教えることによって、最もよく学ぶ

セネカ(ローマ帝国の政治家、哲学者、詩人/BC1年~65年)

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