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2883号 2022年1月12日

診断型組織開発とは何か(その6)~評価/終結~

(本日のお話 2597字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は3件のアポイント。
並びに研修の企画などでした。

*

さて、本日のお話です。

年明けより参加をしておりました、
南山大学、立教大学、玉川大学合同の
診断型組織開発を学ぶ3日間の合宿。

本日もその学びを皆様にご共有させていただきつつ、
長らくお伝えして来ましたが、今回で最後となります。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【診断型組織開発とは何か(その6) ~評価/終結~】

それでは、どうぞ。

(ここまでのお話は以下ステップで
お伝えしてまいりました)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<「診断型組織開発」の流れ>

1)エントリーと契約
2)データ収集
3)データ分析
4)フィードバック
5)アクション計画
6)アクション実施
7)評価 →   本日はここ
8)終結 →   本日はここ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

■あらゆる介入は、

「7)評価」

があってこそ、

・効果があったのか
・効果がなかったのか

・どこが機能したのか
・どこが機能しなかったのか

などがわかるようになります。

しかし、

人材開発でも組織開発でも
その「評価」の仕方は、
意外と議論されていなかったりします。

■ゆえに、これまでの
研修アンケートの聞き方に従って

「研修の満足度はいかがでしたか?」

ととりあえず聞いて
評価としているというケースが
多いように感じております。

■では、実際のところ、
どのような「評価」を行うことが望ましいのか。

それを考えるにあたって
以下評価における課題が参考になります。

~~~~~~~~~~~~~~~
<「評価」における課題>

・目標を再確認する
・進展を査定する
・新しい学習を定める
・(必要な場合)再度方向づけ
~~~~~~~~~~~~~~~

■評価とは、

・目的に対してどうだったか?
・どこまで進んだか?
・やり残したことはなにか?

等を測って、
終結に向かうために考え
整理することです。

そして、上記の
”評価における課題”をクリアするために、

1)評価手法の理解
2)目的と成果を繋げる

ことを向き合うことで
信頼性がある評価を行い、
プロジェクトの終結に向かうことができる、

となります。

■では、上記の
評価の課題をクリアするために
”具体的に”何を気をつければよいのでしょうか?

以下、ポイントをまとめてみました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

<ポイント1:2つの評価を使い分けよ!>

(説明)
研修には2つの評価があります。
・「この研修のカイゼン点はどこにあるのか?」という形成的評価
・「この研修は効果があったか、目的を達成できたか」という総括的評価
この2軸を押さえることで、研修の投資対効果を測りつつ、
次回実施する際にどこをどう改善すればよいかも判断できます。

(1)形成的評価
(Formative Evaluation=形を整えるための評価:Forコンサルタント)
・プログラムをカイゼンするための評価
・研修のハイクオリティ化のための評価

(2)総括的評価
(Summative Evaluation=まとめるための評価:Forクライアント)
・主にプログラムとの最初と最後にデータ取得を行い
プログラムの効果をアカウントするための評価
・さらなる成果創出
・研修のサステナビリティ(持続性)の確保

<ポイント2:評価手法のバリエーションを知ろう!>

評価手法も研修後アンケートだけではなく、
事前事後で測定したり、対照群を設けることで、
より信頼性の高い評価を行うことができます。

工数がかかるため、現実性も考える必要もありますが
「これは肝いり!」というプロジェクトには、
以下の考え方を取り入れることもおすすめです。

◯一群事後
・特徴:事後のみに測定を行う(事後アンケートのみ)
・メリット:運営側に工数がかからない
・デメリット:beforeーAfterで変化側からない

◯一群事前事後
・特徴:事前と事後に、反復で測定を行う(事前と事後で比較)
・メリット:2回測定するので”のび”がわかる
・デメリット:事前データをとる工数・準備がかかる

◯二群事前事後
・特徴:統制群(何もしない群)を設ける。
事前事後2つの群(研修を行った群:何もしない群)で測定し、
効果測定をより精緻に行う。
・メリット:研修の効果の信頼性が高まる
・デメリット:工数がかかる

<ポイント3:介入直後のアンケートはこの3つの質問>

満足度評価はよく使われている項目でありますが、
例えば、研修においては「満足してもらう」ために行うことは主目的ではありません。
今回の介入施策(研修等)が仕事に役立つと感じられ
その学びが現場に活用され、経営に資することを目的です。
(主催者・スポンサーの意図にもよりますが)
そして、研修転移のために、以下の3項目が質問として効果的とされています。

◯「研修転移」を確認する3つの質問

Q、研修で学んだことは、自分の仕事に関連していると思いますか?(関連度)
Q、研修で学んだことは、自分の仕事に役立つと思いますか?(有用度)
Q、研修で学んだことを、自分の仕事で活用できると思いますか?(自己効力感)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

他にもありますが、
主要なところをまとめています。

■これらの評価手法のポイントを抑えた上で
必要に応じて、

・プロジェクトの目的を達成できたか確認するための
「質問項目を設定」する

とか

・評価が高かった研修参加者にインタビューを行い
研修前と後何がどのように変わったのかを
「物語」として聞く(=サクセスケースメソッド)

等を加えて行うことで、

様々な角度から「評価」を
解像度高く行うことができます。

■そうした「評価」を経て、
最後には、

「8)終結」として

・持続したいというニーズの査定 or 終了の決定
・終了の場合のフェーズアウト
・(必要なときに連絡が取れるように)開いておく

等をクライアント、コンサルタントで行い、
一連のプロジェクトの終結、

となります。

■さて、全6回に亘って

「診断型組織開発とは何か」

を解説してまいりましたが、
いかがでしたでしょうか。

上記はあくまでも一部の理論。
実際に体験した内容のごく一部を
おすそわけさせていただいているのみです。

合宿での経験は、
その数倍濃厚なものでした。

また自分自身の課題を含めて
考えさせられる体験でした。

ただ、体験はなくとも
「基本の型」を知っておくことは、

組織開発という
なかなか見えづらいプロセスにおいて、

役に立つ武器であり、
立ち戻る指針になると感じます。

人材開発・組織開発の世界は広いです。
私もまだまだ経験を積む必要がある、と感じました。

そして、学びは続きます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>
完璧だと思っても、
もうひと押しすれば、おまけが手に入る。

トーマス・エジソン(米国の実業家・発明家/1847-1931)

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