メールマガジン バックナンバー

3115号 2022年9月1日

「フィードバック募集」で自分を知る ーこの対話は役に立てているのかー

(本日のお話 2482字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は外部パートナーとして
関わらせていただいている人事の皆様との
相談会やコーチングなど。

その他、夕方から1件のアポイント。
また夜からはコーチングの練習会でした。

コーチング祭りでした。



さて、本日のお話です。

仕事柄、「コーチング」という言葉に
教える、教わる両面において
ますます触れる事が多くなっています。

学べば学ぶほど、
向き合えば向き合うほど、

この深く広い世界に
自らを省みて、未熟さを覚える日々でもあります。。。

今日はそんな中で、
自らの対話の技術を高めるために、

「大事だな」と思ったことについて
振り返り感じた学びをご共有させて頂きたいと思います。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは、

【 「フィードバック募集」で自分を知る ーこの対話は役に立てているのかー】

それでは、どうぞ。

■「誰かと対話をする」

この当たり前の行為を通じて

「誰かの役に立つ」

ということは
シンプルなようで
なかなかに難しいことだな、

と改めて感じています。

■きっとメルマガの読者の皆様の中にも、

上司やコーチとして
対話を通じた他者支援をされている方が
いらっしゃると思っています。

対話の基本的な行為として、
例えばコーチングでは、

・観察する
・聞く
・質問する
・フィードバックする

等の行為が挙げられます。

ただこれは自由度が高いので
ある程度「型」はありこそすれ、
それでもなお、無数の選択があります。

対話で起こっている
どんな言動などにアンテナを立てるのか、

自分自身の直感や視点を使いながら、
そこを深掘りしていきます。

■なんとなく雰囲気が変わったときは、

その変化について多くの人が観察しても
実は共通して「おや?」と思ったりします。

ただ、それでも

「じゃあ、本当に言動の背景にある課題等の想定が
その通りなのか?」

というと、コーチ側の解釈が
どうしても入ってしまうため、

何が正解か、というのは
結局わからないのであろう、

とも思うわけです。

■加えて言えば、

コーチが立脚する
コーチングの手法の考え方や哲学によっても
何が正解かは変わってくるのでしょう。

例えば、

「感情」を大切にするコーチングの流派では
非言語的なものと取り扱うことが
「Excellent」であるかもしれないけれど、

「目標達成」を大切にするコーチングの流派では
その点を深掘りすることよりも優先することがあり、
「Not Bad」みたいになるかもしれません。

より具体的にいえば、

「マネジリアルコーチング」
(管理者のためのコーチング)

という観点では

上司・部下間を想定しているため
推奨されるコーチング行動として、

”具体的な指導”

が挙げられたりします。

(具体的な指導 =

・現状のパフォーマンスについて分析する手伝いをしている
・改善が必要な点について建設的なフィードバックを提供している
・パフォーマンスを向上させる方法について有益な提案をしている など

Heslin(2006))

■一方、国際コーチング連盟(ICF)の
コーチングのコンピテンシーだと、

”具体的な指導”

はありません。

その代わりに上記で挙げた
マネジリアルコーチングの視点に
ないものを挙げてみると、

・相手のノンバーバル(非言語)について
質問したり話題にして掘り下げる

・相手が十分に話したいことを
表現できるように働きかけている

等、

”感情や表現に関わる部分”

が強調されたりしています。

■そうすると、

選択するカードが増えますから、
扱う側としてはより難易度が高まります。

もちろん、それぞれの知識・スキルを理解し、
トレーニングを重ねることで

文脈に応じてうまく使い分けていくことも
可能になるのだろう、と思います。

まさにそれがコーチや
対話によって人に役立つ人の
「熟達への道」なのだろう、とも思います。

■ただ、繰り返しになりますが、

「それでもなお、人の心はわからない」

と私は思うのです。

結局、生きて、
見てきた自分の経験、
価値観、哲学を背負って相手に対峙する以上、

自分の囚われから完全に
自由になることはできない。



では、結局何で
「この対話の価値」を判断するのか?

考えてみると、それは
行き着くところ、

『相手視点で、役に立ったかどうか』

というシンプルな1点に
集約されるのであろう、

と思うのです。

■役に立つという意味でも、
視点がわかれます。

・短期的に「よかった」といってもらえること

・短期的には良くなかったが
「振り返ると良かった」と思えること

前者では

・クライアントの提示した
短期的なテーマにフォーカスをする

後者では、

・クライアントの長期的な視点にたって
根源的な課題にあえて突っ込む

等もあると思います。

■ただ、どちらを選ぶのかという判断も

良かれと思って関わったのが
独りよがりで終わってしまっていたのか、

それともきちんと役に立てていたかどうか、
という観点においては、

最終的には

『(この対話の価値についても)答えは相手の中にある』

としか言えないのだろう、と
やっぱり思うわけです。

■そしてこの行為を、

マネジリアルコーチングにおける
”効果的なコーチング行動”として

【フィードバック募集】

(自分とのやり取りがメンバーの役に立つように、
メンバーからのフィードバックを募っている)

という言葉で説明されています。

■コーチングには答えがありません。

そして

良かれと思ってけれど
実は独りよがりになっていたり

役に立てていると思いこんで
でも実はそうでもなかったり、

、、、そんなことが
自分の知らないところで起こっているのだろう、

と自らを振り返りつつ思います。

そういった意味で

【「フィードバック募集」 ー「この対話は役に立てているかどうか」を探りにゆくー】

で自分のことを正しく知る、
という心構えを常に持っておきたい、

と思ったのでした。

■そして同時に、

相手も言いづらい
本音のフィードバックの募集を実現するために、

・「自分が役に立ちたい」と思っている意図を
相手に伝わるように伝えること

・本音を言ってもらえるように、
自らの本音を積極的に「自己開示」すること

等、あれやこれや
行うことが必要なのでしょう。

自分のことは、自分で見えない。

だからこそ、正しく知るための勇気を持ち、
行動をしてきたい、

と思った次第です。

自戒を込めて。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

些細なことだといって、ひとつ妥協したら、
将棋倒しにすべてが壊れてしまう。

黒澤明
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