メールマガジン バックナンバー

3254号 2023年1月19日

変幻自在のキャリア ープロティアン・キャリアー とはなにか(後編) ~プロティアン・キャリアを促進させる10のステップ~

(本日のお話 2354字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は1件のコーチング。
その他アポイントなど。



さて、本日のお話です。

昨日に引き続き、「キャリアの学び」を
おすそ分けさせていただきたいと思います。

テーマは昨日に引き続き

「変幻自在のキャリア=プロティアン・キャリア」

でございます。

それでは早速まいりましょう!

タイトルは

【変幻自在のキャリア ープロティアン・キャリアー とはなにか(後編)
~プロティアン・キャリアを促進させる10のステップ~】

それでは、どうぞ。

■変幻自在のキャリアを意味する
「プロティアン・キャリア」。

提唱したダグラス・ホール曰く

”組織によってではなく、
個人によって形成されるものであり

キャリアを営むその人の欲求に見合うように
そのつど方向転換されるものである。”
(Halll, 1976)

とプロティアンキャリアを
説明しています。

すなわち、

「自分自身が目指していきたい方向に対して
変わり続けていく」

そんなキャリアです。

■「伝統的キャリア」と「プロティアンキャリア」は
以下のように対比されます。

主体: 組織 →個人

価値観: 昇進・権力→ 自由・成長

成果: 地位・給与→ 心理的成功

もちろん、
上記が当てはまる組織もあれば
そうではないところもありますが、

世の中としては、
プロティアン・キャリアで言われるような
流れに近づいているように思います。

■では、

「プロティアン・キャリア」を
実現するために何が必要になるのでしょうか?

ホールはそのための
”2つのメタ・コンピテンシー”として
以下のものを挙げています。

**

1)アイデンティティ

・「自分の価値観・興味・能力・計画に気づいている程度」と
「過去と現在と将来の自己概念が統合されている程度」
の2つの構成要素から成り立つ。

・サブ・アイデンティティというものがあり
(例えば、父親アイデンティティ、地域一員アイデンティティなど)
その中に「キャリア・アイデンティティ」が存在する。

アイデンティティの中にある
サブ・アイデンティティの占める要素は
人によって異なるが、キャリア・アイデンティティが
分化、成長する事によってキャリア発達が生じる。

2)アダプタビリティ(適応する力)

・「適応コンピテンス」と「適応モチベーション」の
2つの掛け合わせで生まれる。

・「適応コンピテンス」は
1,アイデンティティの探索= 自己に関して知ろうとする継続的な努力
2,反応学習= 変化し続ける環境に気づき、対応していくこと
3,統合力= 変化し続ける環境に対応するための行動とアイデンティティの一致を図る

・「適応モチベーション」は
適応コンピテンシーを発達・応用させようとする意思のことである。

**

とのこと。

■ふむ。

ちょっと聞き慣れない言葉かもしれませんが、
乱暴に単純化してしまうと

・自分について解像度高く、理解し続ける
(=アイデンティティ)

・変化する環境の中と自分を一致させる
(=アダプタビリティ)

とも言えるのかな、と思いました。

いずれにしても、

”自分を知り、周りをしり
それらを一致させる”

努力が大事なようです。

■またその他にもホールは、

「キャリアの意思決定」に必要なものとして

・日々の選択
・目標の設定
・自尊心
・人間関係の影響

などを挙げています。

結局、これも主語が
「自分」にあるように思えて
興味深いです。

■そして、

『プロティアン・キャリアを促進させる10のステップ』

として、以下の10項目を挙げています。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『プロティアン・キャリアを促進させる10のステップ』

1,「キャリアを有しているのは個人である」という認識からスタートする。

2,個人が発達の努力をするための情報やサポートを作り出す。

3,「キャリアの発達は関係的なプロセスであること」を認識する。

4,キャリア情報、アセスメント技術、キャリア・コーチング、キャリア・コンサルティングを統合する。

5,キャリア・サービスや新しいキャリア契約に関して、従業員と十分なコミュニケーションをとる。

6,キャリア・プランニングではなく、仕事のプランニングを促進させる。
(※たとえば、3~5年のスパンでどういう仕事をしたいか、といったことを考えることは、
個人のアイデンティティを明らかにしたり、方向性を決めることに役立つ)

7,人間関係や仕事を通じての学習を促進する。

8,キャリアを発達させる仕事や人間関係への介入を促進する。

9,職務に熟達することではなく、「学習者としてのアイデンティティ」を重視する。

10, 「発達のために自分の周りにある資源」を使うという思考傾向をのばす。
(※資源=仕事やチーム、フィードバックやメンタリングなどの発達関係のこと)

※渡辺三枝子(編著)(2018)『新版 キャリアの心理学[第2版] キャリア支援への発達的アプローチ』.ナカニシヤ出版 p179-180
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。

■なるほど。

まず一丁目一番地としては

「キャリアを有しているのは個人である」

ここから始めることが大事とのこと。

すなわち、

”会社は、キャリアに対して
何をしてくれるんですか?”

という考えから、

”あなたは、自分のキャリアについて
どうしたいのですか?”

と、

主導権を個人に握らせることが
まずもって重要なことだと言えそうです。

その上で、
組織の個人に対しての支援も含めて

・人間関係から学ぶ

・必要に応じてキャリア・コーチングや
アセスメントなどを行う

・周りの資源を使って学ぶ

そうやって、

あらゆる物を使い学び、
自らのキャリアを発達させ続けようとするのが
プロティアンキャリアのポイントのようだ、

そんな風に感じました。

■結局、

こういった理論は

「聞いてみれば当たり前」

という話なのだと思います。

ただ、こうした考えを持ち、
日々の選択をできるかどうかが、

きっと5年10年と経つにつれ
大きな変化になっていくのだろう、

そんなことを思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

==========================
<本日の明言>

人生のほとんどすべての不幸は、
自分に関するあやまった考えをするところから生じる。

スタンダール

==========================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す