メールマガジン バックナンバー

3267号 2023年2月2日

カウンセリングにおける5つのアプローチとは? ーキャリアにおけるカウンセリングの理論(社会構成主義的アプローチ)ー

(本日のお話 2456字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は3件のアポイント。
そして1件のコーチング。

夜は大学院&大学生の仲間との
打ち合わせでした。



さて、本日のお話です。

本日にて、

「カウンセリングにおける5つのアプローチ・シリーズ」

の終了でございます。

今日は、

「社会構成主義的アプローチ」

なるものがテーマです。

それではまいりましょう!

タイトルは

【カウンセリングにおける5つのアプローチとは?
ーキャリアにおけるカウンセリングの理論(後編/社会構成主義的アプローチ)ー】

それでは、どうぞ。

■「社会構成主義」。

この言葉は、

・「言葉によって現実は構成される」と捉える。

・人々が現実として認識しているものは、
社会的に構築されたもので変化していく動的な過程である

と説明されます。

※引用:浅野浩美(2022).『キャリアコンサルタント・人事パーソンのためのキャリアコンサルティング』.労務行政 p.110

■なるほど、、、

といいたいのですが、
これだけだとちょっとわかりづらいかもしれません。

、、、ということで
せっかくなので(?)今話題の
『ChatGPT』に聞いてみました。

回答は以下の通り。

”社会構成主義(Social Constructionism)は、

社会的な規範や価値観が
人間の認識や行動を形成することを強調する考え方です。

この考え方によれば、私たちが認識する世界や現実は、
社会的な枠組みによって構成されていると考えられます。

さらに、これらの構成要素は時代や文化などの
社会的な変化によって常に変容するとされています。”

、、、とのこと。

専門家からすれば、
違うところもあるでしょうが、
総じてわかりやすい。

AIおそるべしです。

■さてさて、

この社会構成主義の考え方を
キャリアに当てはめたのが、

「キャリアの社会構成主義的アプローチ」

であり、

”検査や情報だけのみに頼るのではなく
人と話し、社会と向き合う中で
自分と職業との関係を見出していこう”

というアプローチでございます。

■そして、その代表的なものが

(1)ナラティブ・アプローチ

(2)キャリア構築カウンセリング

(3)ソシオダイナミック・カウンセリング

の3つと紹介されていました。

■以下、それぞれ簡単に
解説したいと思います。

まず、

(1)ナラティブ・アプローチは

カウンセリング心理学者のコクラン(1944~)が導入しました。

ナラティブ=物語つまり、
”「キャリアの物語」を描いていく”というアプローチです。

物語には、「最初・中間・結末」という
3つのパートがあります。

そしてこれまでの人生を
「ライフライン(これまでの人生を上下する曲線で描いたもの)」
などを使ったインタビューを通じて、その物語を強化します。

そして、結末(これからの未来)に向けて
物語を構築していくことをカウンセリングで行っていきます。

自分の人生を物語として語る、

このことを通じて
主観的なキャリアの見通しの視点が生まれ、

検査や心理テストのなどの
客観的な視点だけでは得られないものが得られる

と述べられています。

なるほど、物語の結末を
どう描いていきたいかを考える。

未来志向的で、
興味深いアプローチです。

■次に、

(2)キャリア構築カウンセリング

です。

こちらは、サビカスにより提唱され、
クライアントとカウンセラーが

”キャリアストーリーを構築すること”

に取り組むものです。

具体的に、以下のプロセスで
行っていきます。

1,オープニング:
・クライアントとカウンセラーで目標の共有と、関係を築く

2,構築:
・キャリアのストーリーづくりをはじめる
・「ロールモデル」「好きな雑誌やテレビ番組」「お気入りの本や映画」
「モットーとしている言葉」「最も昔の記憶」を質問する

3,脱構築:
・カウンセラーは話してもらったストーリーから、
クライアントが自らの可能性を制限していないかを検討し、
可能性を広げる考え方ができるような援助をする。

4,再構築:
・3で新たな意味を見出したストーリーを結合し
より大きなストーリーを作り上げられる援助をする

5,協働構築:
・カウンセラーとクライアントが協力して、
新たな可能性を拓くために何に取り組むべきかをはっきりさせる

6,実行:
・行動すべきことを定め、新たな意味を持つキャリアストーリーを実行に移す。

7,クロージング:
・目標を達成できたことを確認し、まとめる。

とのこと。

ポイントは、
「2,構築」のロールモデルなどの質問です。

これらの問いは
自分の価値観や信念が反映され、
どんなストーリーに生きているのかが
見えてくる質問とされています。

私も友人らとやってみましたが、
その人が生きている信念が見えて来て、
実に面白いと感じました。

■そして、最後が

(3)ソシオダイナミック・カウンセリング

です。

なんだか必殺技のような名前ですが
(チープな感想ですみません)

こちらはピーヴィー(1929~2002)が提唱しました。

内容は、

・「ライフ・スペース」
(仕事や家族などの様々なストーリー)を

・「対話的な傾聴」を行うことで

「マッピング」
(位置づけを明らかにする)

事を行っていくことで、
その人の全体像を明らかにすることを行います。

■ということで、以上

「キャリアの社会構成主義的アプローチ」

のご紹介でございました。

このような手法を並べて整理すると
社会構成主義的アプローチとは、

これも、

”自分が生きている物語を見つめ、
より望ましい物語を、再構築する”

アプローチのようです。

キャリアにおける正解についても
色々な議論になりますが

新しい考えでは、
キャリアにおける成功とは、
その人の主観による心理的成功である、

という話もあります。

そんなキャリアの中で

その人が生きている物語が信念となって、
その人に力を与えることもあれば、
あるいは制限していることもあります。

それらの「キャリアの物語」を
あえて意識下から取り出してみる。

そして見つめて、
必要に応じて描きなおしてみる。

そうすることで
自らの見えていない可能性も
見出すことができるアプローチなのだろう、、、

そんなことを感じた次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

負い方一つで重荷も軽い。
見えにくいものでも、視点を変えれば見えてくる。
難しいことでも、方法を変えれば解決する。

ヘンリー・フィールディング
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