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3311号 2023年3月18日

「強み」に注目することには、科学的根拠があった

(本日のお話 2553字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、午後から
人事系の独立した小規模経営者の方、
合計10名ほどでの「戦略合宿」でした。

また夜は別の会合での懇親会。

奮闘している他者のお話は
実に刺激になります。

自分ももっと頑張ろう!
と思いました。

(皆様、ありがとうございました!)



さて、本日のお話です。

今日も引き続き、
ポジティブ・コーチングをテーマに
お届けできればと思います。

本日のテーマは

”強みの研究”

に関するお話です。

”理論や研究”というと、
この言葉だけで説得力が生まれる気がします。

そんな力を、ぜひ上手く
使いこなしたいもの。

それでは、早速まいりましょう!

タイトルは

【「強み」に注目することには、科学的根拠があった】

それでは、どうぞ。

■ちょうど昨晩の話。

上場企業でCHROをされている方と、
会食の帰り道、話をしていました。

その中で何気なく
このようなお話がありました。

「やっぱり理論は大事ですよね。

何か人事系の施策を
展開するときでも、

”この考え方(理論など)を元にすると・・・”
と言われると、なんか説得力があるんですよね」

■曰く、

前任のCHROの方は
MBAを持たれており、
経営陣に施策を提案する際も、

「”経営学などの理論”をベースにして
なぜこの施策を行うのか?」

を説明しており、
そこにとても説得力があった、
だから理論は大事だなと思う、

、、、そんなお話でした。

確かに

”「理論」には
人を説得するパワーがある”

のは、皆様も
実感として納得できることでは
ないでしょうか。

■誰かを動かす上では、

「感情」と「理性」

どちらのアプローチも大事です。

人が判断する際は、
理性だけではなく「感情」も
大きく影響してきます。

情熱を持って、
感情を伴って伝えることは
誰かの心を動かしますし、

”乗ってみようかな”

という気にもさせる力があります。

■しかしながら、

より多くの人を巻き込もう、
説得をしようとするのであれば、
”感情的なアプローチ”だけでは不十分です。

熱っぽく語っても、
それがあまり響かない
合理的な人も当然います。

そうすると、
価値観が合う人は良くても、
そうではない人にとってはまるで響かない、

ともなり得ます。

しかし、

多様な考え、価値観の人を含めて
巻き込もうとするのであれば、
そこには「合理性」が必要になります。

■ゆえに、

知性や論理に訴えかける
”理性的なアプローチ”も重要なのです。

・それを行う合理的な理由は?

・どのようなメリットがあるのか?

・何を根拠にそれが言えるのか?

などを

順序立てて、
事実とデータを元に
伝えることができると、

より多くの方を納得させ、
動かすことが可能になるものです。

■まあ、当たり前といえば
めちゃくちゃ当たり前の話。

しかし、

この両者(感情と理性)の
アプローチのバランスをとるのは
意外と難しいことも。

特に、事実やデータは
どこにいけばそれがあるのか
知っている人は知っているけれど、
わからない人はずっとわかりません。

ゆえに、(わからないので)

・情熱で一点突破を試みる

・冷静に突き返されて玉砕

となるシーンも
しばしばあるかもしれません。

(はい、自分の事です)

■ゆえに、

上手に科学的根拠を
装填する必要があります。

そしてこれは、

「強みに注目したアプローチを
職場内に紹介する」

という場面でも同じです。

例えば、よくある話が、

・ストレングス・ファインダーを受けてみて
とても良かった

・ゆえに、職場内でも展開をさせたい

と思うとき、

「強みを認め合ったほうが、
なんかいいじゃないですか」

と伝えて玉砕する、
という話はしばしば聞きます。

■もし話を持っていくのでも
何かしらの

”根拠となる説得材料”

が欲しいわけです。

そして、その説得材料として

「強みの先行研究がある」

ので、これも使わない手はありません。

■と、だいぶ前置きが
長くなってしまいましたが、

「強みについての先行研究」について

以下のようなことが
これまで言われております。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<強みの先行研究の>

○パフォーマンスが高まる

・業績の良いマネジャーは、強みに注目する傾向がある。
業績の悪いマネジャーに比べ、彼らは生産性の高い部下たちと過ごす時間が長く、
部下の才能と仕事をうまく適合させ、年功よりも強みに力点を置く。
(Clifton, &Harter,2003)

・マネジャーの楽観性とプロジェクトのパフィーマンスには関わりがある。
(Arakawa, &Greenberg, 2007)

○幸福感が増し、抑うつを減らす

・自分の強みを見極めること、また自分の強みを意識的に使うことは、
幸福感を増し、抑うつを減らすことにつながる。
(Steen, Seligman, Peterson, & Park, 2005)

○病気の回復が早まる

・強みの中でも、勇気、親切、ユーモアなどは特に、
病気の回復の仕方に関係する
(Peterson, Park, & Seligman,2006)

※参考:ロバート・ビスワス=ディーナー ,(2016)『ポジティブ・コーチングの教科書』. 草思社 P47

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここまで)

とのこと。

■このように先行研究から

「強みに注目する」

ことは、

・パフォーマンスが高まる
・幸福感が増す(≒ウェルビーイング)

結果につながることが
示されています。

■そして、
こうしたものを並べると、
やっぱり「説得力が増す」もの。

もちろん、

その理論や先行研究で示された結果は、
特定の文化や文脈の上での研究であるので、
「いついかなる時も必ず通用する」とは限りません。

理論の限界もあるとしても、
それでもなお、力を持ちます。

■ということで、
少し話が散漫になってしまいましたが、
以下、まとめます。

・誰かを説得する、巻き込む上では、
「感情」と「理性」、どちらのアプローチも重要である

・感情だけで伝えても
価値観や信条の相性などで伝わらず
玉砕する可能性もある

・その中で「理論」のアプローチは
合理的であるため、多様な人を説得する、
巻き込む上で、力を持ちうるアプローチである

・「強みに注目するアプローチ」も同様である。
なんかいいよね、ではなく、
どんな結果が期待できるのかを先行研究から示すこと
科学的根拠を示すことで巻き込みやすくなる

こんなお話でございました。

■そしてこうした話は、

今流行りの「ChatGPT」に

「○○についての
先行研究を教えて」

と聞いてキーワードを抽出、

その後、
Google Scholarで詳しく調べる、
なんて方法も今では可能です。

おそらく、
そんな風に活用しつつ
理論や研究などの話も含めて
説得力のある話をすることも、

今後はよりやりやすくなるのだろうな、
そんな事も思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<本日の名言>

他の人の書いたものを読んで、自己を向上させよ。
他の人が苦労して得たものをそれで容易に得ることができる。

ソクラテス
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