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3424号 2023年7月9日

今週の一冊『心理的安全性をつくる言葉55』

(本日のお話 3864字/読了時間5分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日は、午前は大学院の
「若手を対象にしたフィードバック」
をテーマにしたワークショップイベントの参加、

そして午後からは、
「強みを活用したワークショップ(VIA)」
への参加でした。



ちなみに、
強みのアセスメントにおいて

米Gallup社の

「ストレングス・ファインダー」

はツールとして理解を
深めてきましたが、

世界的に有名な強み診断のアセスメント
(ペンシルバニア大学で開発)

「VIA(Value in Action)」

については詳しく学ぶ機会が
ありませんでした。

今回の土日はそんな
「VIA」を深める時間になっており
大変興味深い時間を過ごしております。

ここからの学びの共有は、
ぜひ改めて行えればと思います。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、
お勧めの一冊をご紹介させていただく、
「今週の一冊」のコーナーです。

今週の一冊は、

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『心理的安全性をつくる言葉55』

原田将嗣 (著), 石井遼介 (読み手) /飛鳥新社


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です。

■先週、友人のお誘いで

『心理的安全性AWARD2023表彰式』
(ZENTech主催)

なるイベントに、
一部参加させていただきました。

このイベントは、

”年に一度、心理的安全性づくり
取り組むチームを讃える祭典”

です。

株式会社から学校法人まで、
またチームから全社的な取り組みまで
幅広いチャレンジについて
表彰がされていました。

壇上にて発表されたチームの皆さまが、
お互いに信頼しあっているような様子を感じ、
きっとよいチームづくりができているんだろうな、、、

と想像させられる、
素敵なイベントでした。

■さて、そんな「心理的安全性」。

少し前から
人と組織の取り組みにおいて、
注目されてきました。

試しに、「Googleトレンド」で

キーワード:心理的安全性で調べてみると

「2015年は人気度=1」と
ほぼ検索されていない状況でしたが、

2019年頃から徐々に知られはじめて
2021年に注目度が急上昇し始めました。

そして、

「2022年は人気度100(最高評価)」

と広く膾炙したことがわかります。

■ちなみに

「心理的安全性」ですが、
その定義は、

”チームの他のメンバーが
自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと
確信できる状態”

と組織行動学のエイミーエドモンドソン(1999)によって
定義されています。

誤解されがちですが

・厳しい事を誰も言わない、
・みんなめっちゃ優しい

とかそういう話ではありません。

”自分の意見を言っても
干されたりしない”

ことです。

「心理的安全性」が高いと、

「組織の中で自分の考えや気持ちを
安心して発言できる」

ことに繋がります。

すなわち、会議などで
質問やアイデアの提案も
出やすくなります。

すると、自ずと
チームや個人の学習が進みます。

結果としてパフォーマンスが高まります。

つまり、

・心理的安全性の向上 とは


(一次成果)
・チーム学習、個人学習の向上 へと繋がり


(二次成果)
・チームパフォーマンス、個人パフォーマンスの向上

と繋がっていくのです。

こうしたことは、
これまでの研究で明らかになってます。

■、、、というように、
日本においても少しずつ

「心理的安全性って
どうやら大事らしいぞ・・・」

という共通認識が高まってきている、
といえるでしょう。

しかし、まだまだ
ハードルは高いものです。

「心理的安全性」という概念だけが
独り歩きしたとて、

実際に職場で、
何をどうすればいいのかがわからない、、、

ゆえに何も変えられない、

というのも起こりうることです。

■そんな中で、

先述ご紹介した
「心理的安全性AWARD」など行い、

また心理的安全性を高めるために
サーベイシステムを開発、
6000社に提供する中で

日本の組織に対して
心理的安全性を高める取り組みをしてきた
ZENTech社のコンサルタントの具体的ノウハウを

『心理的安全性を高める言葉55』

として、シーンに応じた
具体的なアクションを教えてくれている、

というのが本書の特徴です。

■この著書の素晴らしいところは
3点あると感じました。

まず1つ目が、

・心理的安全性を高めるには、
「日常使う言葉を変える」こと”と
コンセプトを絞って届けていること

です。

「言葉」は、思考が表出したもの。

ゆえに思考が完全に変わらないとしても、
「言葉」は思考よりも影響力が強いです。

それが「言葉が文化を作る」という所以でもあります。



しかし、「言葉」とは

多くの場合、組織の中で
当たり前のものとして使われており

自分が使う言葉と、
その背景にある思考を
見直す機会もなかなか少ないもの。

特に上司など立場が上だと

「自分が使っている言葉」は

立場の違い→権力の違いとなり
その力が増幅され

”チームメンバーに
強いインパクトを与えてしまう”

こともあるわけです。

では、どうすればよいかというと、

「職場の様々なシーン(会議や1on1の場面)で
使っている言葉を見直すこと」

そして、

「使っている言葉のインパクトを理解し、
必要に応じて、修正していくこと」

です。

そのための着目点と
変えるべき言葉のレパートリーを
豊富に提供してくれています。

■そして、本書の2点目の魅力は

”心理的安全性を高めるとされている
4つの要因に紐づけている”

ことです。

ちょっと斜に構えた見方をすると、
とにかく色んなやり方をリストアップしました、
だと、少し枠組みが雑になりがちです。

ですが、
心理的安全性を高めるための4要因

1,話しやすさ
2,助け合い
3,挑戦
4,新奇歓迎

を明確にし、上記4つを
高めるための手段としての言葉を提案することで
その言葉を使う納得度が高まっていると感じます。

■そして、3つ目の魅力が

”職場のシーン別に、
実用をイメージできる形で
自然な言葉を提案してくれる”

ことです。

例えば、

・「毎日の何気ないシーン」で使う
(心理的安全性を高める)言葉

・「会議の場面」で使う言葉

・「1on1」で使う言葉

・「クライアントや取引先」で使う言葉

において

あー、あるある、、、という
「言ってしまいがちなNG例の言い方」を

「心理的安全性を高める言い方」に
変える提案をしてくれています。

■例えば、

「1on1の場面」の例だと
こんな例が紹介されていました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✕:そういえば私も・・・

◯:もうちょっと聞かせてもらえますか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1on1で、相手から
自分の興味がある話題がでると、

ついつい自分が話したいことを
話してしまうことがあります。

例えば
「部下が週末キャンプに行った」
という話がでたら

「そういえば私も、
キャンプ好きなんだよね!

僕も3年前からハマっていてね、
この間は湖畔で楽しくてさテントも買ったんだよね!」

みたいに、

相手の話ではなく、
自分(上司)の話になってしまった、、、

というのはよく見るシーンです。

■しかし、

”部下がたくさんを話をして、
それを受け止めてくれたという感覚”

こそが、信頼感を生み出し、
そして心理的安全性を醸成するのです。

そのときに、

「そういえば私も・・・」
と言ってしまっているのであれば、
そんな自分に気づいて一歩立ち止まって

「へー、そうなんですね
”もうちょっと聞かせてもらえますか”」

と言い方を理解して、

”相手に焦点を当て、
話を広げていく言葉を選ぶ”

ことができれば、

自然と相手の話を
引き出すことができるようになります。

55のケースで表現されていますが、
それぞれその背景理論も紹介されているため、
とても説得力があると感じさせられます。

■こうした言い方は、

ゼロから編み出すのは、
とても難しいです。

ゆえに、

先人の誰かが実践して
効果を発揮した言い回しを、

”TTP(徹底的にパクる)して、
自分のモノにしていく”

ことで、経験をショートカットすることができます。

そうした

「TTPできる心理的安全性を高める
イケてる言い方」

を日本の組織の文脈において
使えそうなものについて紹介していただいている、

そんな風に私は感じました。

■以下著書の紹介です。

(ここから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

いま大注目の「心理的安全性」を
取り入れるなら、
本書の言葉から

いつものひと言を変えることで......

会話が増える!
チャレンジが始まる!
チームが変わる!

「言い換え」でわかりやすくお伝えします!

×じゃあ任せたから、頼んだよ →
〇誰に相談すると進みそうですか?

×ムリでしょ →
〇その視点はなかった!

×仕事は増えるけど頑張ろう →
〇やめたほうがいい仕事ってなんだろう?

「多くのリーダーが変化を体感した言葉が厳選されています」
『心理的安全性のつくりかた』著者/石井遼介

※Amazon本の紹介より
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■これまでの時代では

・できないことを追求する”
・ビシっといって改善を促す”

というギャップに注目し、
相手に迫る歴史のほうが影響が強かったかと思います。

ただ、時代も変わり、
またマネジメントに関しても、
明らかになってくることは増えてきました。

その中のキーワードで
今向き合う大切なものの一つが

「心理的安全性」

でもあるように思います。

人は、恐怖や批判の中で
責められないために行う行動よりも、

目標に向かって様々なことを
チャレンジしていく、その中で学ぶ方が
ずっと生産的でいられることもわかっています。

■そのための一つのヒントとして
職場のリーダーやマネジメントに関わる方を始め、
お手にとっていただき、

1つでも2つでも言葉を変えると
職場の雰囲気もどんどん変わっていくのだろうな、

そんな可能性を感じさせられる著書でした。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<今週の一冊>

『心理的安全性をつくる言葉55』

原田将嗣 (著), 石井遼介 (読み手) /飛鳥新社

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